習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『長い散歩』

2007-08-03 11:47:18 | 映画
 幼児虐待を扱い、それに行き場所をなくした老人の旅を絡めて描く奥田瑛二監督第3作。前作『るにん』には驚かされた。あれだけのスケールの映画を独立プロで撮り、しかも娯楽作品としても成立させているなんて、奇跡だと思った。しかも採算を度外視して作ってしまうという凄さである。ヒットさせないつもりでは当然あるまいが、よくぞここまで妥協のない作家性を貫いたものだ。今時これほど腰の据わった作家は居ない。これは、た . . . 本文を読む
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『アポカリプト』

2007-08-03 10:50:20 | 映画
 文明社会に対するメル・ギブソンの痛烈な批評が込められた作品。ここまで拘った完璧主義には、感動するやら、呆れるやら。ほとんど偏執狂的な作り方で、リアリティーへのあくなき追求というよりも、これは自虐的にすら見える。マヤ語で全編通すというのは、あたりまえのことだが、画期的。彼にとっては、残酷シーンも映画として当然なのだが、なんだか無茶してるだけのようにも見える。  何が彼をして、ここまで拘らすのだろ . . . 本文を読む
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HPF 報告

2007-08-03 09:46:21 | 演劇
 箕面東『それは現実に継ぐ物語』には参った。ここまでアングラしてくれると笑うしかない。彼らは心から、それを楽しんでいる。お芝居ってほんとうに楽しい。照明と音響、美術、衣装、それらを最大限に生かして舞台の上に不思議な世界を作り上げていく。芝居だからできること、芝居にしかできないもの、それを作り上げるために夢中になっている。  僕たち大人たちすらそれを一緒に楽しんでしまう。ストーリーもよく考えられて . . . 本文を読む
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HPF 金蘭会高校『僕たちの好きだった革命』

2007-08-03 08:29:44 | 演劇
 今年のHPFハイライトはこの1作に尽きる。よくぞまぁここまでやりきってくれたものだ。今という時代に向けて、これだけ熱いメッセージを声高に語りかけようとするお芝居を僕は知らない。そのストレートさは、この胸を熱くする。  70年安保なんて知らない世代に革命を語らせようとする総演出の山本篤先生は、その無謀さすら力に変えてしまう。見る前は独りよがりにすらなりかねない暴挙だと思えた。今の高校生に学生運動 . . . 本文を読む
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『ダイハード4・0』

2007-08-02 17:58:49 | 映画
 12年振りの復活になるらしい。昔ながらのアナログ刑事、ジョン・マクレーンが、ハイパーテロに挑む最新作。ネット犯罪なんていかにもな話だが、さすがによく考えられている。  都市機能を麻痺させて国家転覆すら可能にするとんでもない奴らに対して、自分の手足だけで(まぁ当然武器は使うが)、立ち向っていく殺しても殺しても死なないダイハードな男、こんな生身の人間なんているはずないが、ブルース・ウィルスが血まみ . . . 本文を読む
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安東みきえ『夕暮れのマグノリア』

2007-08-02 16:54:01 | その他
 また児童文学出身の作家が独自の世界観を持つ傑作を引っさげて登場してきた。この素晴らしい作品は、平易な(子供にも読める)言葉で、とても微妙な感覚を見事に掬い上げることに成功している。  中学1年になった灯子が、日々の生活の中で感じる数々のことを静かに綴っていく。彼女が世界と向き合い、そこに見る不思議な世界を正面から衒いなく描き取っていく。それは夕暮れ時にみた幻に過ぎないのかもしれない。だけれども . . . 本文を読む
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