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映画・演劇のレビュー

『エピデミック 疫起』

2024-02-08 08:56:00 | 映画
台湾では2023年4月公開の最新作。まだコロナ禍にある今(撮影はいつだろうか?)2003年のSARSを描いた映画が作られるって凄い。SARS感染者が出た台北総合病院を封鎖。外部からの援助もないまま過ごす日々が描かれる。ドキュメンタリータッチで複数の主人公たちが院内感染の不安と戦いながら、医療現場に踏み止まり、命を守る。さまざまな人たちの想いが交錯する中、彼らの選択が描かれる。 映画は病院内から一 . . . 本文を読む
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『時をかけるな、恋人たち』②

2024-02-07 08:53:00 | 映画
後半の7話からは監督がバトンタッチされて山口淳太になる。(と、思ったが8話からは再び山岸聖太に戻る)ここから先5話は短編連作ではなく長編スタイルになる。22分掛ける5だからちょうど110分。ちょっとした映画1本ぶん。 ふたりの恋がどうなるのか。気が気でないら、この先は一気見することに。ふたりの恋愛逃避行を描きながら前半の犯罪者たちも再び登場してお話を回収していく展開は見事。   た . . . 本文を読む
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名取佐和子『文庫旅館で待つ本は』

2024-02-07 06:58:00 | その他
こんな不思議な設定の本はなかなかない。文庫旅館って何? その旅館には私設図書館があり、初版のさまざまな本が揃っている。古書文庫の本とお客を繋ぐのは本を読めない若女将、円。本の設定とお客の問題がリンクしてなんらかの解決に至るというパターン。  5つの短編連作で登場する本は、川端康成『むすめごころ』、横光利一『春は馬車に乗って』、芥川龍之介『藪の中』、志賀直哉『小僧の神様』、夏目漱石『ここ . . . 本文を読む
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小川糸『さよなら、私(新装版)』

2024-02-06 19:26:00 | その他
2013年に刊行された本がリニューアルされて再販。3篇の中長編。モンゴル、カナダ、たぶん東京。自分のいた場所から離れて暮らす短い日々の中で新しい自分と向き合うことにする。   最初の一篇『恐竜の足跡を追いかけて』は偶然再会したかつての恋人(未満)と(中学時代の初恋の相手)なんとモンゴルに行く話。彼に誘われて彼の故郷であるモンゴルで過ごす。最悪の衣食住環境に毒づくけど、彼と向き合うこと . . . 本文を読む
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『時をかけるな、恋人たち』

2024-02-05 06:18:00 | 映画
  これは昨年放送されていた深夜ドラマだ。ヨーロッパ企画の上田誠の脚本で監督は『もっと超越した所へ』の山岸聖太と『リバー流れないでよ』の山口淳太だ。軽い気持ちで見始めたら、あまりのバカバカしさからハマってしまった。だけど、たわいないから1日1話にしている。それ以上見たらくだらないから厭きる。(たぶん)  永山瑛太の頭の寝癖(ファッションか?)がかわいいが、いきなりの告白はう . . . 本文を読む
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川上佐都『今日のかたすみ』

2024-02-05 06:10:00 | その他
ポプラ社の新人賞(特別賞)受賞作家の第二作である新刊。それだけで読みたくなる。ポプラ社の本は一番信用できる。この作家もそうだ。新しいタイプの作品で読みながらこの人は確信犯だなぁと感心する。ストーリーではなく、ほんの少しの心情のズレからの関係性を丁寧に綴る。もどかしくなるくらいに些細な展開。そう言えば前作である『街に躍ねる』も読んでいたことに後から気づく。   『愛が一番』の同棲するこ . . . 本文を読む
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武田淳志、伊藤亜衣『ある行旅死亡人の物語』

2024-02-04 17:53:00 | その他
昨日、武田操美さんの『孤独死』を扱った芝居(マシュマロテント『蛇含草ホテル』)を見た直後の今朝から読み始めた本である。これは同じように『孤独死』を扱った毎日新聞記者によるノンフィクションである。もちろんこのタイミングで読んだのはたまたまである。  それにしてもまさかのタイミングである。こんなことは僕には日常茶飯事だ。いろんなことが偶然によって連鎖する。前半部分はかなり面白い。まるで良質 . . . 本文を読む
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マシュマロテント『蛇含草ホテル』

2024-02-04 13:14:00 | 演劇
久しぶりの武田操美作品である。なんと20年になるらしい。彼女のドラえもんのどこでもドアのコントをひさびさに見て大笑い出来たのもうれしい。それにしても、鉛乃文檎の最終公演からもうそんなにも時間は過ぎていたのか。  今回彼女は『孤独死』を扱った。前半の圧倒的なスピード感。この話がどこに辿り着くのか、まるで見えてこないままどんどん話は進む。高校時代の落研のエピソードが素晴らしい。笑いが止まら . . . 本文を読む
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刹那のバカンス『半壊の館』

2024-02-04 07:09:00 | 演劇
ウイングカップの5作目。作、演出、主演(彼は主人公ではなく脇役で傍観者役だが)は那波七歩。なんとこれは人型アンドロイドの話だ。先日見た映画『哀れなきものたち』に通じる世界だが、こちらは屋敷に閉じ込められたまま。お話はこの半壊の館の地下室からほとんど出ない。密室で七体のアンドロイドたちが外の世界の夢を見る話だ。  彼らを作った館の女主人は大切な夫を失い心を亡くした。夫そっくりのアンドロイ . . . 本文を読む
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『この心亡き者』

2024-02-03 09:38:00 | 映画
台湾の新作映画で、スリラーサスペンス。こういう映画が本国公開から日本ですぐに見ることができるって凄い時代になったものだ。傑作というわけではないし、どちらかと言うと失敗作である。だけど見る価値はある。  まず、そのルックスが素晴らしい。ひんやりとした夜の空気が確かに伝わってくる。映像がスタイリッシュで切り取られた画角が斬新でカッコいい。デビット・フィンチャーの『セブン』を想起させる。心臓 . . . 本文を読む
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望月麻衣『京都東山邸の小鳥遊先生』

2024-02-03 09:24:00 | その他
今日はちょっと軽めのエンタメ小説を読むことに。初めて読む作家さんで、帯には「エンタメ作家である私の集大成です!」とあるから信用して読み始めた。  21歳になる元アイドルダンスグループのまメインボーカル歌手だったイケメン男が役者として再スタートする。書けなくなったシナリオライター小鳥遊さん(35歳)と出会い、彼女からのアドバイスを受け入れて少しずつ芸能界で力を発揮していくというお話。よく . . . 本文を読む
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乾ルカ『葬式同窓会』

2024-02-03 06:49:00 | その他
乾ルカの新作。白麗高校3部作の完結編。前作の『水底のスピカ』が面白かったので期待して読んだ。高校時代(3年時)と現在(卒業から7年後)が交錯して描かれる。8年前のあの時何があったのか。そして担任だった水野の死の謎。ミステリースタイルでお話は展開する。主人公はあの頃虐めに遭っていた優菜。今は母校で図書館司書教諭をしている。もうひとりの主人公は自称作家の華。あの頃優菜を虐めていた。今はスーパーのバイト . . . 本文を読む
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小川糸『椿ノ恋文』

2024-02-02 12:27:08 | その他
待ちに待った新作をようやく読み始める。シリーズ第3作。あの鎌倉の代書屋、ツバキ文具店が帰ってくる。前作『キラキラ共和国』からかなりの歳月(調べたら6年だった)が経ったから、少しお話や登場人物を忘れていて最初はなんか乗れなかったけど、だんだん調子を取り戻す。   この至福の時間に入り込んでいく。結婚から出産を経て、変わっていく鳩子さんが再び代書屋を再開する。ふたりの子どもを産んで、家族 . . . 本文を読む
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『“それ“がいる森』

2024-02-02 12:25:47 | 映画
まさかこの映画がこんな映画だった、だなんて想像もしなかった。一応ホラー映画だろうとは思っていたが、安物のUFO映画だったなんて、ありえない。設定も展開も史上最悪。こんなバカな脚本とわけのわからない宇宙人👽の映画にGOサインを出したのは誰だ?   相葉雅紀は本気でこんな映画に出演したのか。松本穂香はあんなアホな先生役を演じて恥ずかしくなかったのか。野間口徹は何の疑いもなく、あの教頭のあ . . . 本文を読む
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月森乙『弁当男子の白石くん』

2024-02-02 12:23:44 | その他
この手のYA小説は数あるけど、そこにはなかなかの傑作が隠れていたりするから侮れない。今回の初めての作家は日大中国文学科卒で商社勤務を経て、オランダ、アイスランド,ハワイ、ドイツ等(この「等」って?)に移り住み、現在はアメリカのオハイオ州在住という強者らしい。今回の小説はよくある学園ものだが、そんなキャリアが作品に生かされているのか、なんてことも楽しみ。   あまりにもパターンに忠実す . . . 本文を読む
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