1972年。ベトナム戦争さなかのアメリカ。合衆国史上初の女性大統領候補として大統領選を戦ったシャーリーの選挙戦を描く。女性初の下院議員となり大統領に向けて邁進する彼女の姿が描かれる。冒頭の議員団の記念撮影のシーンから、テンポよく展開する映画は軽快。彼女を支える夫の姿も心地よい。さらには終盤の失速からの終戦さえも潔い。
映画は彼女から始まったアメリカの新しい歴史をこの選挙戦に絞り込 . . . 本文を読む
2023年Netflix製作の韓国映画。とことんスタイリッシュだけを貫くアクション映画。ため息が出るくらいに(カッコよくて)美しい。そして潔いくらいに中身はない。ただ完璧な映像だけを見せてやる、っていう意気込みが伝わってくる。監督は『ザ・コール』のイ・チュンヒョン。上映時間は93分と実に短い。ムダをとことん排除して何の説明もしない。感覚や気分で描く。主人公のオクジャ(チャン・ジョンソ)は謎の殺し屋 . . . 本文を読む
なんとも不思議な作品。弱いことで強くなろうとする。チワワのピンバッジを付けた人が800人。知らない間に付けられていた。誰が何のために。そこから始まる社会現象と、そこから始まる恋人の失踪。そんなふたつの大問題を解決するまでのお話。社会的な問題と個人的な問題が同時に等価なものとして彼女の前に起きる。主人公は25歳の琴美。親友のミアと事件を追う。ラストがちょっと弱いのが惜しい。それまでの謎解きが簡単過ぎ . . . 本文を読む
〈場所〉と〈時間〉と〈生〉を描いた三編、と帯にはある。川のある町なんてどこにだってある。どこにでもある町のかたすみでの3つの日々を描く。別々の場所、さまざまな時間、それぞれの人生。それをさりげなくさらりと描く連作。第1話は8歳、小学3年の望子が主人公。母とふたり暮らし。でもすぐ近所におばちゃんがいるし、じいちゃんばあちゃん家も近くにある。だから3つ家がある感じ。幼なじみの美津喜とは3年になってクラ . . . 本文を読む
シリーズ完結編。30年前遠足の途中起きたバス事故で亡くなった子どもたち。彼らの未来への想いが思念となって残り続ける場所を通り抜ける旅。サバイ部の5人はいくつも門を開けて進む。3部は冒険の終わりから始まる。夢を持たない子どもたちとの出会い、無人の世界で自らと、夢の中で向き合うことになる。彼らは実際に眠りに就き、夢を見る。自分と向き合う時間を通して自閉していく。もう戻ってこれない。もちろんアキラと真一 . . . 本文を読む
配信ドラマのミニシリーズで4話からなる中編オムニバス。1話が30分から40分だから全体でも2時間30分程度。だからこの長さなら、それを一本の映画として見ても長すぎることはない。だけど、オムニバス映画としたなら少し長いくらいのボリューム。微妙な尺。これを1話ずつ分けてスマホで見る。今はこんな映画の楽しみ方が成り立つ時代になっている。
SNSで炎上する恐怖を描く連作。多少の誇張は . . . 本文を読む
ふたりの旅が描かれる。エレナと道生。アメリカ横断。ニューヨーク、ウッドストックからテキサス、エルパソ。対照的なふたつの街を結んでふたりの日系人である少女と日本から来た少年がお互いに別々の場所から反対の街に向かう旅。3月、春休みの短い旅。家族のもとを離れて、エレナはお母さんの親友と、道生は兄と旅する。一瞬ふたりは出会い、すれ違う。さまざまな人種が入り乱れ暮らす街アメリカでふたりは初めての旅をする。ア . . . 本文を読む
映画プロデューサー川村元気の原作小説はかなり前に出版されている。とてもいい小説だった。だからすぐに自らの手で映画化されるものと思ったけど、なかなかされないから、もうないのか、と思っていたら今頃になって製作された。佐藤健、長澤まさみ、森七菜の主演で贈る大恋愛映画である。監督は新人の山田智和。壮大なスケールで描かれる小さな恋の物語。なんとボリビア、プラハ、アイスランドを旅する。いささか観念的な話で甘い . . . 本文を読む
80年代にまさかの大ヒットを記録したおバカ映画だが、今見たら(当時も、だが)あまり面白くないし、なんであんなにヒットしたのか、誰もわからない映画シリーズの最新作。昨年たまたま旧シリーズのアイバン・ライトマン監督の息子、ジェイソン・ライトマンが監督したリブート作『ゴースバスターズ アフターライフ』を見たが、あれはなかなか面白かった。旧シリーズとは違い地味でいささか静かな映画で驚いた。父親とは違う世界 . . . 本文を読む
お約束通り第二弾を解禁した。昨日無事1ヶ月の常勤勤務を終えた。3年振りの通常(非常勤ではなく)高校生活は楽しかった。毎朝学校に行き5時まで働くという日常を送る。たった1ヶ月だが、それまで39年続けてきたことを久しぶりに取り戻し、まるで新任教師のように過ごす時間は新鮮だった。
さて、ここからは再び元の時間になる。そんなリスタートの始まりの4月。その最初はこの小説のその後である第二部を読 . . . 本文を読む