もう、こういうお涙頂戴「感動もの」の映画は食傷気味なのだけど、これは月川翔の久々の新作映画なので見ることにした。彼の前作はなんとNetflixドラマ『幽遊白書』。あれは期待したほどではなかったけど、彼は今(最近は)新しいタイプに挑戦している。新しい何かが生まれてくるはずだ。それを目撃したい。もちろん今回もその流れを組む。月川監督はこの題材で、まず家族を前面に押し出した。感動の押し売りはもちろんしな . . . 本文を読む
高橋源一郎の新作である。毎日新聞の人生相談で毎回辛辣なお答えをして相談者を一刀両断にしている(というか,ケムに巻くというか)高橋源一郎だ。
これは天皇ヒロヒトを描く超大作である。まさか800ページに及ぶ(少し盛りました。650ページです)分厚さ。重い。しかも字が詰まっているし、難しいし、さまざまな文献引用も山盛り。だから適当に読み飛ばしながら読んでいるフリをして、読んだ。
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昭和9年末、勾留中の河上肇の留守宅。6人の女たちのある日の物語。2幕はさらにその3日後。これは主人不在の河上家の女たちのお話。2幕2時間10分。途中10分の休憩を挟んで、堂々とした芝居。オーソドックスで完璧。老舗である劇団大阪だから可能な芝居を、狭いけどホームである谷町劇場という空間を最大限に生かして作り上げた佳作。
この作品を僕はこれまでに2度、劇団息吹、そして昨年のきづがわの . . . 本文を読む
20世紀の終わり(98年)に低予算で作った自らの傑作を、四半世紀を経て今新たなストーリーとしてセルフリメイクした黒沢清の新作。日仏合作映画だ。哀川翔が演じた主人公を柴咲コウが演じた。もちろん舞台はフランスである。わけのわからない不気味さが持続する。彼女はなぜこんなことをするのか。彼女は精神科医である。殺し屋だとか、探偵だとか(まぁ探偵は殺しはしないだろう)いうわけではない。娘を残酷な形で殺された男 . . . 本文を読む
これは2015年の台湾映画。『僕と幽霊が家族になった件』の監督、チェン・ウェイハオのデビュー作。2017年には第二章も作られた。日本では2022年に二作品が同時公開されている。ようやくAmazonで配信がスタートしたので見ることにした。とても攻めた作品だ。とんがっていて大胆。だからいささか説明不足でわかりにくいけど、作り手は気にもしないで突き進む。まぁつまらない説明をされるよりはいい。だからどんど . . . 本文を読む
失われていた記憶が戻ってくる。10年前の誘拐事件のこと。5歳だった夏の空白。海のなかの観覧車を見たこと。15歳の夏。母親の入院した後、ひとりになった彼は手紙に誘われて島に行く。そこはガス爆発によってオープン間近だった新しい遊園地が閉鎖、有毒ガスの汚染によって島全体に避難勧告が出て10年、無人島と化していた。今では除菌作業が終わり、まもなく避難勧告も解除され、博覧会が開かれることになる。5歳の時見た . . . 本文を読む
絶好調、河合優実主演の最新作。ここまでやるか、というようなある少女の転落を描くドキュメンタリータッチのドラマ。実話の映画化。入江悠監督が偶然出合った新聞記事が出発点になったらしい。ある少女の自死。映画は21歳の杏の更生への道のりを見守るヒューマンドキュメンタリー、と書くのも憚られるくらいに壮絶なドラマ。もの言わない河合優実のおどおどしたしぐさに秘められた想いが胸を引き裂く。幼い頃からの母親による虐 . . . 本文を読む
まさか今頃こんな映画が作られるなんて、もうなんでもありなのだな、と思う。もちろん主人公のふたりは70代の老人、舘ひろし&柴田恭兵。だけど高齢者になっても彼らは今でもかっこいい「探偵だけど、刑事(デカ)」を華麗に演じる。だが監督は村川透ではない。もちろん亡くなった長谷部安春でもない。これは若い原廣利が手掛ける新時代のアブデカである(はず,だったが)
彼らは何度でも帰ってくる。8年振りの復活らしい。 . . . 本文を読む
かわいいカバーのイラストだったから手にとって読み始めた。エッセイ集で薄くて軽い本なので電車の中で読むのにちょうどいい。家では今高橋源一郎のとても重い本『DJヒロヒト』を読んでいる。こちらは持ち運び不可能なので、今日はお留守番。久しぶりに映画を見るために梅田に向かってのだが、電車が延着して30分も車内で待たされた。予定していた映画はもう始まっていて仕方なく次の回まで2時間待つことになった。テアトル梅 . . . 本文を読む
最近毎日のようにプロ野球を見ている。交流戦が始まってからは特に。週末は昼から、平日は夕方からTVをつけたら阪神戦を中心にしてさまざまな試合が放送されているからだ。甲子園だけでなくどの試合にもよく人が入っている。ネットサーフィンしてあれもこれも見ていた。本当にヒマジンである。我が家は基本オリックス戦を中心にして見ている。さらには朝はドジャースの試合。大谷は毎日やってるし、山本が登板する試合は必ず見る . . . 本文を読む
こんなおバカな映画をここまで本気で作るのは山本政志しかいない。これは傑作『ロビンソンの庭』に続く庭が舞台の映画だ、なんて言わないけど、結果的にはそんな感じ、だけど、あの静かな映画とはまるで違う破天荒な映画になった。わけがわからんけど凄いエネルギー。めちゃくちゃ。大邸宅の庭が舞台でそこでお祭り騒ぎをする。親の遺産であった豪邸。破産により、一家はこの家を手放すことになった。その引っ越しの日に、娘がネッ . . . 本文を読む
なんだかこれは凄いタイトルではないか。こんなタイトルを付けた本がいったい何を描いたのか、それが気になって読み始めた。作者の青山ゆみこさんは初めて。彼女がどんな人なのかも知らないまま読み始め、そこで初めてこれが小説ではなく、自分との戦いを描くエッセイだということを知る。
2020年から23年にかけてのお話。これもまたコロナ禍のドラマだが、彼女にとってはコロナなんて関係ない。今は自分自身 . . . 本文を読む
シリーズの第4章であり最終章だと思ったのだけど、なんだかまだまだ続きそうな一作。最初の『かげろうのむこうで 翔の四季 夏』はとてもよかった。だけどその後なんだか方向性が変わってしまって戸惑う。もちろん作者である斉藤洋さんにとっては最初からこのつもりだったのかもしれないが、僕はもっと淡い感じの話を期待したみたいだ。主人公の翔を取り巻く人たち、そして彼自身の小さな成長を描く1年間の軌跡。それだけでよか . . . 本文を読む
短編小学校シリーズの④。これまでの5年生から成長して今回は6年生が舞台になる。大人ではないけど、もう子どもでもない。微妙なお年ごろ。1組の15人のお話が綴られる。今回は坂の上にある小学校という設定。もうそれだけでウェルカム。坂は好き。
二つ目の話が素敵だったから、今日授業で朗読して(読み聞かせですな)紹介したけど、2クラス目は昼からのクラスではあまり喜んでもらえなかったからガッカリ。 . . . 本文を読む
『山の上のランチタイム』の髙森美由紀の新作である。今回は小学4年の男の子が主人公だ。児童文学に分類されても構わないような内容だけど、300ページ越えの長さは小学生には厳しいかな。
まぁ子ども目線が貫かれているから、やはりこれは児童書だろう。ただあまり口当たりはよくない。髙森美由紀はストーリーテラーではない。お話で引っ張るのではなく、キャラクターとその日常描写でだんだん引き込んでいくか . . . 本文を読む