クアトロの定番チーズにミモレットがある。
オレンジ色のチーズで表面は月のクレーターのように凹凸がある。
この凹凸はダニが這った痕で、このチーズはダニの働きで熟成する。
ダニといっても人を刺すダニとは違い、シロンというコナダニで、表皮のカビなどを食べて、チーズを守ってくれる優秀なダニで、チーズに味わいの複雑さも与える。
そのダニの痕の表皮は取り除いてオレンジ色の部分を食べる。
熟成の進んだものは、その美味しさをよくカラスミに例えられる。
このミモレットはそもそもルイ14世の時代にフランスとオランダが戦争になった時、オランダのエーダムと云うチーズが好きだったフランス人が、エーダムに似せて作ったもの。
色もアナトー色素という植物由来の色素でエーダムに似せたと云う。
ダニを使ったり色素を使ったりと、フランス人の食に対する執着もたいしたものだ。
そして、このミモレット、カラスミに例えられるだけあって、吟醸酒に良く合う。
戦争は良くないよと云いつつ、ミモレットと吟醸酒を堪能するクアトロの父である。
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