湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆ボロディン:弦楽四重奏曲第2番

2017年06月23日 | ボロディン
○ポルトロニエリ四重奏団(columbia)SP

この楽団の国民楽派録音では他にドヴォルザークのアメリカ全曲、チャイコのアンダンテカンタービレがあるというが未聴。しかしpristineで復刻されたマリピエロが余りに素晴らしかったので盤面状態を顧みず買ってしまった。ノイズリダクションの課題はあるものの演奏自体はやはり素晴らしい。トスカニーニのようだ、という表現が正しいか。歌心を保ちながらもオールドスタイルからは一歩抜け出したテンポ設定。ボロディン2番はグズグズになりがちなので即物的なスタイルになる演奏も多くプロ奏者には決して受けない印象があるがこれは、ほんとに細かいところで作為がうまく組み込まれており、とくにソリストとしても活躍したポルトロニエリの全体の流れを乱さないフレージングの独特さ、ルバートのかけ方が素晴らしい。細かい指摘をするのが好きではないので所を明確にはしないが1楽章の「この二度目は付点音符を切ってくれ!」と常々思っていた個所、4楽章の「ここの付点音符はよたったように詰めてワルツ感が欲しい!」と常々思っていた個所が悉く解釈として提示されているのに瞠目した。俺100年前の人間だったのか。そうじゃなくて、これは決してでろでろではないが、確かに「音楽を解釈することで人を楽しませた時代のアンサンブル」なのだ。スケルツォの勢いも素晴らしい。ノクターンは全体の中ではいささか長い感じがするがSP奏者にありがちな音のヨタりがなくかといって単調な美観をはっするでもない、イタリア四重奏団の古い録音の音を思い出す良さを発揮している。◎にしないわけはハッキリ、私の盤の状態の悪さが邪魔して真相が見えないところがあるから。あと、4楽章序奏部フレーズの繰り返しがカットされているのも痛い。4楽章はどうも急いて終わってしまう(盤面にして僅か一面)。夜想曲の人気が高かったからと言ってこれは全体構成上おかしい。○。

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