湯・つれづれ雑記録(旧20世紀ウラ・クラシック!)

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☆マーラー:交響曲第9番

2017年01月20日 | マーラー
◎バーンスタイン指揮イスラエル・フィル(LANNE/eternities:CD-R)1985/9/3live

数日ずれているとされるものに比べ録音のクリアさはなく篭っているが、音場が安定しておりノイズも極めて少ない。一部ステレオ乱れはあるものの、恐らくエアチェックもの(スピーカー前録音?)であるせいだろう。ホールがオケの雑味を吸収しており、イスフィル特有の表現の癖が目立たないぶん、BPOとのライヴに似ていることに気づかされる。数日ズレのものと壮年期の勢いぶりは同じだが、これも録音状態のせいだろうけれども、より深みを感じるのだ。いかにも第九らしいものを。いや、表現の振幅が大きい解釈は同じなのだけれども。1楽章緩徐部ではBPOライヴで行っていたファーストヴァイオリンのスル・ポンティチェルリ奏法(譜面指示無し)がはっきり聴ける。指揮台を踏み鳴らす音がティンパニより大きい。2楽章冒頭ではブラスがつんのめり気味で少しテンポが乱れるが、弦は終始ボリュームがあり凄い表現力である。荒いけれども、「音楽の空騒ぎ」を超高速でやり通しバンスタなりの見識を見せる。3楽章も荒々しくテンポは速い。弦にはとにかく歌わせ、木管にはトリッキーなことをさせる。緊張感溢れる演奏である。4楽章は涅槃ではなくあくまで地上の音楽として、ロマンティックな、寧ろ明るい音楽になている。生臭さが無いとはいえないし、メータなどの解釈に似ているように思うが、ある時期のマーラー解釈の典型を示すものでもあるだろう。終演後のいつまでも続く沈黙が演奏の素晴らしさを物語っている。この録音なら◎にして構わないと思う。激しい演奏。

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