rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

清らかというよりも清潔、そして高潔な音楽、ベートーベン:チェロ・ソナタ

2011-05-16 23:42:05 | 音楽たちークラシック
ベートーベンは、どうも苦手だった。
それでも、年齢を重ねて分かることもあるので、あまり仰々しくないチェロとピアノのソナタを図書館で借りてみようと思った。
グラモフォン製、「ベートーベン:チェロとピアノのための作品全集」、チェロ:ピエール・フルニエ、ピアノ:ウィルヘルム・ケンプ。
チェロの潤いのある深い音色と、ピアノの鳥の囀りのような軽やかな音のハーモニーが、美しく絡み合い対話し流れるように辺りを満たしてくる。
礼儀正しく控えめに響きあう音楽は、まだ緑深くない木立に囲まれた大理石というよりは白の漆喰を施された程よい広さのテラスに聴くに似つかわしい、清涼感のある高潔な雰囲気を持っている。
いささか硬いともいえるが、節度ある生真面目な音楽も、なかなかいいものだと、再発見できた。

ベートーベンを絵画でたとえるならば、ターナーとフリードリッヒの印象が重なる。

 ターナー

 フリードリッヒ

まことに勝手であるが、いかがなものであろうか。

昨夜のETV特集「ネットワークで作る放射能汚染地図 福島原発事故から2か月」

2011-05-16 16:56:46 | つぶやき&ぼやき
昨日は、NHKのETV特集 「ネットワークで作る放射能汚染地図 福島原発事故から2か月」を見て、大変複雑な思いにとりつかれ、とても文章を書く気持ちになれなかった。
大方、政府(原発サイド)は、真実をふせて、もしくは誤魔化して、ことに対処していると思ってはいたが、放射線専門の科学者が現地に足を運んで得た客観的なデータをもとに構成された内容には、圧倒的強さを持って真実を突きつけてきた。
パニックや風評被害を慮ったにしろ、文科省のモニタリングデータが事故まもなくに得られていたのならば、早急に政府と協議し、住民の安全を確保すべきだったであろう。
放射線によって悪影響を受けやすい子供と次世代を育む青年層たちを、一刻も早く退避、または放射性物質に汚染されたものからなるべく遠ざけるよう手を尽くさなくてはならない。
理想論だが、危機的状況においては、即座に未来を見据えた英断を下しさないと、国ひいては一民族が離散・存亡の危機に晒されてしまう。
統べるべき神のいない亡国民、流浪の民へと、日本国は向かおうとしているのか。

恵み豊かな自然の恩恵を受けていた地に、降らせてしまった悪魔の微粒子。
この先何十年となく自然を蝕んでゆくだろう。
鳥も魚も草や木たちに、なんと詫びたらよいのだろう。
われらが子孫にも。
一過性のものではないところに、放射線の禍の根深さがある。
例え、線量がわずかでも、長期の被曝になると遺伝子はどの程度影響を受けるのか。
喫煙・運動不足・野菜不足などでも、発ガン率が上がるというが、子を産める世代と胎児のうちから受ける放射線の影響は、放射性物質の沈着した土地で暮らし、生産された食物を摂取し続けていくのでは、問題が違ってくるだろう。

地球は、人間の手によって化学物質や自然界に存在する以上の放射能で汚染されてしまっている。
だから、今以上汚染の速度を速めてはいけない。
いつも言っていることだが、地球は人間だけのものではない。
すべての生物は、なんらかの関係を持って補完しあいながら存在しているのだから、そのバランスを崩さないように人間文明を発展させていくことを、忘れないようにしよう。

それにしても、この番組が、日曜日の夜10時から教育テレビで放送された。
どうして、総合テレビの8時台に放送できなかったのだろうか。
いたずらに不安を煽るとはいえない内容だったように感じた。
どうか、再放送をしていただきたいものである。