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スリランカのゴール

2012-10-13 23:55:06 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」”インドの涙”スリランカの最南端にある港町のゴール。
16世紀から、ポルトガル・イギリス・オランダによって東洋への貿易の拠点として、19世紀にコロンボにその座を明け渡すまで繁栄した。
植民地時代の名残りコロニアル様式の街並みは、世界遺産に登録された。
また、オランダなどで盛んであったボビンレースが伝わって、ここゴールで今なお熟練の女達の手によって、「糸の宝石」ともいわれる精緻なレースが織り成されている。
図案に沿ったポイントに打たれたピンに、百を超える白の木綿の糸を巻いたボビンを器用に素早く交差し絡ませて編みこむ手さばきは、驚嘆すべき技である。

スリランカは、カレーの食文化圏。
三食ともカレーを食べる。
”ブラウン・カレー”は、エビ・タマネギ・ニンニク・しょうが・数種類のカレースパイス、そしてココナツミルクをたっぷり加え、スパイシーなカレーに自然の甘みとまろやかさを与えたもの。
米は、ビタミンが豊富な赤米が一般的に食べる。
カレーに赤米、サンボルという調味料とパパダン(揚げた薄いせんべいのようなもの)を混ぜ合わせて食べるそうだ。
ゴールのご当地カレーに、”アングルティヤル”がある。
ゴラヤという酸味の強いスパイスは、食品が腐るのを防ぐ効能があり、ゴラヤでマグロ肉の角切りを煮込みむ。
一週間待ってから食べ始め、二~三ヶ月保存可能という。
アングルティヤルは、水分を飛ばして多少硬めなので、水気のある豆カレー、米の粉をお湯で練って作る麺のストリングホッパーと一緒に食べる。
ゴールが海に面して海産物に恵まれているため、シーフードカレーが多いようだ。
毎日三食カレーというと我々は飽きてしまいそうだが、諸外国の料理が生活に浸透し、毎日違うものを食べている民族が稀有だという事実。
三食まともに食べられることがなかなかない世界において、食べ飽きるなどという観念は存在しないかもしれないのだ。

インド文化圏のスリランカにおいても、アーユルヴェーダはかなりの位置を占める。
スリランカでは、アーユルヴェーダは許認可制を採っている。
そして、内科・耳鼻科・産婦人科の医療行為が認められているのだ。
体のリンパの流れをよくし、ツボを刺激することで、自然治癒力と調整力を向上させるからか。
アーユルヴェーダの幾種類かを紹介。
”ハーバル・ボール”は、ナチュラルコットンの布で調合したスパイスを包んだタンポン状のもので、リンパに沿って押し当ててリンパ液の流れをよくする。
”カティバスティ”は、練った小麦粉の円い輪の土手の中に温かいハーブオイルを注ぎ、リンパ液と血行を促進させる。
ブッサという巨大な種を温めて、背骨に沿って並べ、種の中のハーブ成分を使ってエステする。
他にも、その人の症状に合わせた処方があるのだろう。
アーユルヴェーダの奥は深い。

ゴールの街を流れ、インド洋に注ぐマグ川。
その河口付近には、豊かなマングローブの林があり、オオトカゲなど多種多様な生物がすんでいる。
さらにゴールの海岸には、世界の海ガメ8種類のうちの5種類が上陸するという、海ガメの聖地。
近年、海ガメの赤ちゃんの放流を、積極的に行っているという。
一時期、人間の亀甲欲しさの乱獲で、海ガメが危機に瀕したその挽回のためか。

先のスマトラ沖の大地震で起きた津波によって、ゴールでも数千の犠牲者を出した。
天災によって失われるものも多い。
しかし、人の手によって失われるものは、徐々にしかも確実に消え行くのだ。
外国の統治によってもたらされた栄枯盛衰に、ゴールの人々はなにを思うのだろうか。