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Marie fille du peuple
20世紀初頭の新しい芸術が花開いた時代、モディリアーニは薫陶を受け絵に命をつぎ込んだ。
彼の描く女達は、どこか儚く物憂げで、男達の理想とするエロスの化身のようだ。
それは、ヨーロッパが世界第一次大戦に突入するきな臭い時代、刹那的な生への衝動がそうさせたのか。
モディリアーニは、形の余分な線を排除して単純化し、流れるようなフォルムを作り出す。
それで、儚く脆い命と、人の情念の移ろいを画面に添えることができた。
日本にも、モディリアーニと時を同じくして生を受けた画家、竹久夢二がいる。
彼の描く女達も、細い姿態をくねらせて物憂げな表情をし、モディリアーニと実に似通った雰囲気だ。
時代の大きな流れが、彼らの感性を刺激し、同じような波長を受信してそうさせたのだろうか。
モディリアーニの女達の視線の先になにがあるのか。
希望とか絶望でもない、淡々とした生の営みが映し出されて、流れているような気がするのだ。
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Portrait of Jeanne Hebuterne
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Reclining Nude with Loose Hair
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竹久夢二 黒船屋