rock_et_nothing

アートやねこ、本に映画に星と花たち、気の赴くままに日々書き連ねていきます。

虫歯と食欲

2014-01-14 22:42:56 | つぶやき&ぼやき
家人がとうとう歯の治療に踏み切った。
しばらく前から、治療した歯の詰め物が取れたままになっていた。
忙しさもあいまって、歯医者に行くのを引き伸ばしていると、一昨昨日から違うところが痛み出し、今日の昼には咀嚼することもままならないほどの激痛になってしまった。
田舎のせいか、それとも相性の合う歯医者がいないためか、医療難民の私たちは、1時間ほど車を走らせて歯医者に通う。
朝に電話して頼み込みやっと取れた予約は、夕方の4時。
治療を終えて出てきた家人は、痛みに耐えているようだ。
どうやらかなりひどく化膿していたらしく、あと一日遅れたなら数年前のような手術になっていたかもしれない。
医者に「ずいぶんと痛みを我慢していたのでしょう」といわれたらしいが、家人はどうやら人より痛みに強いタイプらしく、それほど長く痛みを我慢していたようではないらしい。
かといって歯医者恐怖症で治療を敬遠していたわけでもなく、お正月前後のご馳走を食べる機会を逃がしたくないという執念が原因らしいのだ。
歯医者に向かう車中で、「お正月のご馳走を食べられて良かった。一昨昨日の新年会が終わったころに痛み出したのが救いだよ。」などと、心底思っている話をしていた。
結局、今日治療に踏み切ったのも、昨日の夜の”ビーフシチュー”と”トマトとモツァレラチーズのバルサミコ酢にエクストラバージンオリーブオイル・ドレッシングソース”を美味しく味わいきれなかったことによる無念さからだ。
みんなが美味しそうにもりもり食べる様子をうらやましそうに眺めている家人の哀れな姿が痛かった。
治療から帰って来ての夕食は、痛みの残る家人のために”けんちんうどん”を作る。
それを食べながら、「麻酔が効いている側で味を感じられないから、美味しさを十分堪能できないのが悔しい。」とつぶやく家人に、恐ろしさを感じてしまった。
だから、明日の昼に、”鶏うどん”を作ると約束してなだめる。
私も、食べることが大きな楽しみであり、どうでもいい腹を満たすだけの食事など、ありえないと思っているから
家人の気持ちはおおいに理解できる。
でも、夕食後、歯が痛いといいながら、お菓子を食べ続ける家人の行動にはついていけなかった。
凄まじい食べることへの執念、やはり、伝説を作ってしまった”シーチキン男”なだけはある。
ああ怖い怖い、思い出すだけでも身震いしてしまう”シーチキン男”出現のときを。






800年が熟成させる文化都市、ウィーン

2014-01-13 22:59:27 | 街たち
「にじいろジーン 地球まるごと見聞録」13世紀よりパプスブルク家と共に隆盛を極めたオーストリアの首都ウィーン。
街に聳え立つプラーター観覧車は、100年以上の歴史あるもので、現役としては世界最古。
内陸にあるため冬の寒さは厳しく、甘く温かいホットワインは冬の定番だ。
パプスブルク家によって一大帝国を築かれたウィーンは、文化が華々しく花開く。
街には多くのカフェができて市民レベルのサロン的役割を持ち、それがカフェ文化としてユネスコの無形文化遺産に登録された。
「カフェ・グリーンシュタイドル」は、歴史あるカフェとして今も営業し、ウィーン名物の極甘の”ザッハートルテ”はもちろんのこと、お湯で温めたスポンジにチョコレートソースをかけた温かい”モアイアムヘムト”は冬に人気が高い。
「アルトマン&キューネ」は、チョコレート専門店だが、100年前のデザイン集団ウィーン工房の考案した模様の素敵な箱が魅力をプラスしてる。
チョコレートを入れて送ったあとに、ジュエリーケースなど使えそうな心憎い箱たち様々な形を取り揃えている。

ウィーンは音楽の都とも謳われ、モーツァルトやシューベルト、シュトラウスなどの大作曲家を多くが活躍した。
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団・ニューイヤーコンサートで有名な楽友協会ホールもあるけれど、王宮礼拝堂で行われる日曜日の朝のミサでは、ウィーン少年合唱団の素晴しい歌声が聴けるという。
時には、ウィーン・フィルも参加するスペシャルコンサートもあるらしいので、美しい音楽に触れてみてはいかがだろうか。

「ウィーナー・アイスラウフ・フィルアン」は、100年以上の歴史を持つ屋外スケートリンク。
ウィーンっ子たちの冬の楽しみだ。
ウィーンから車で1時間のところにあるスキー・リゾート地「ゼメリング」では、なんと木製のそりを楽しめる。
1~2人用のそりで、3キロメートルほどのそり専用コースを最高時速30キロメートルのスピードで滑走できるが、のんびりと景色を楽しんで見るのもいいだろう。

ウィーンのグルメ。
「トゥルツェスニェフスキー」は、ウィーンのファストフードともいえるスモールサイズのオープンサンドウィッチ”ブレッチェン”の店。
様々な具材をのせたブレッチェンはなんと22種類もあり、小さめのグラスで飲むビールを一緒にどうぞ。
「シュロス・コンコルディア」は、ウィーン伝統料理のシュニッツェルの店。
薄くたたいてのばした豚肉に衣をつけてかりっと揚げた、いわばとんかつの元祖。
最近では、変わりシュニッツェルもあるらしく、チーズをほうれん草を巻いた細長い形のものや、チーズとソーセージ、ラザニア入りなど、その数16種類だとか。
ウィーンもグルメの都なので、あれこれ食べたくなって困ってしまう。

芸術の伝統もまだ失われてはいない。
「レナ・ホシェック」は、8年前にウィーンに生まれたブランドで、民族衣装をモダンにアレンジしている。
女性らしさを際立たせた細く絞ったウエストに膨らんだスカートなど、ロマンティックなデザインだ。
「ガバラージュ」は、古い物を使って新しい物を作るアップサイクリングの品を扱う店。
信号の三色のライトカバーが素敵なペンダントライトに変身したり、エスカレーターのスッテプがロングチェアーになったりと斬新なアイディアで、専属のデザイナーによって作られているのだ。

ウィーンの文化には底力がある。
800年の歴史の重みがそうさせているのか。
おそらく、800年が支える自信のなせる業であろう。
古いものを否定せず、新たな歴史を積み重ねていく、それが文化を育てる土壌なのだと思うのだ。

もしかして冬眠モード

2014-01-11 00:01:17 | つぶやき&ぼやき
天気が下り坂にかかった一昨日から、朝寝起きでもう頭痛がしていた。
最低限度の家事をこなし、あとはコタツでゴロゴロ、横になるといつの間にか眠りに落ちてしまう。
それが今日まで続いている。
しばらく気を抜けるときがなかったその疲れが噴出したのか、それとも強い寒気が押し寄せて厳しい冷え込みになったおかげで冬眠モードにスイッチが入ったせいなのか。
だらだらしている時間はないと思ってはいても、心の隅では「たまにはいいんじゃないの」とささやく自分がいる。
どうせコタツで何もしていないなら、じっくり本を読めばいいと手に取ったのがカポーティの「叶えられた祈り」。
全体に低調なこの時に追い討ちをかけるようにヘビーな内容。
カポーティの人を引き込む手腕によって読みすすめたいところだが、どつぼに嵌りそうなので勇気を持って本を閉じた。
今日の空は、日中は抜けるような青空、夜は星が煌いて、その美しさで私を励ましているようだ。
ひとまず今の状態を冬眠のようなものだと言い聞かせ、明日を迎えるとしようか。

エロスとタナトスを司る女神、ルーカス・クラナッハ

2014-01-09 23:05:14 | アート

ユディト


ユディトとサムソンの頭部


サロメ


自刃するルクレツア

16世紀北方ルネサンスの画家、ルーカス・クラナッハ。
彼の描く女性は蠱惑的だ。
陶器のように滑らかで白い肌、優美でしなやかな肢体、見るものを惑わすようなまなざしをしていて、西洋絵画において類を見ない女性を描き出している。
そして、退廃的な雰囲気の影に死のにおいが潜んでいるのだ。
サロメやユディトはいうに及ばず、貞淑なルクレチアさえも抗い難い魅力を備え、彼女達に導かれた先には死が待ち受けている。
そこで死は暗く恐ろしいばかりではない、甘美さが何にも勝る世界。
究極の性の女神。
インドのエローラ石窟群や日本の春画より、ソフィスティケートされたエロスと思える。
彼女達を目撃した者は男女を問わず、網膜に焼き付いて二度と忘れられなくなるだろう。
彼女の微笑みは、残酷なまでに美しい。

セリ・マジック

2014-01-08 22:22:45 | 食べ物たち
お昼に、うどんを食べた。
先日の鶏肉とネギだけのシンプルなそば用の汁の残りにちょっと手を加えて、うどんを食べた。
二人分には足りなかったから、市販のめんつゆで増量し、仕上げにたっぷりのネギとセリを入れてさっとひと煮立ちさせた汁にした。
それをうどんにかけて家人と食べる。
家人は、まず鼻腔いっぱいに汁の香りを吸い込んでからうどんをすすって目を閉じ少し上を向く。
そうして全神経を鼻と口に集中させ、味と香りのハーモニーを吟味するのだ。
「うん~ん、美味いっ!」
鶏の出汁と脂のまろやかさ、ネギの香りと甘み、そしてセリがえもいわれぬ奥行きを味と香りに与えるのだ。
もちろん、シャキシャキとした茎の食感もアクセントになっているのだが、香りの野菜であるセリは、少し加えるだけで汁を別次元に押し上げてしまう。
先日、セリのおすそ分けを親戚の料理好きの人に持って行ったときに聞いたことがある。
『きりたんぽにセリを加えると、味に調和が生まれて格別美味しくなる。』と。
おそらくこのことなのだろう。
恐れ入りました、セリの力。
セリの収穫は、寒中水に浸かりながらの重労働。
私はその労働の恩恵を受けて、こうして贅沢にセリを食べることができる。
だからセリの力を引き出した食べ方、その魅力を褒め称えよう。
「セリ・マジック」は存在すると!