大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

高校ライトノベル・魔法少女マヂカ・062『秘密基地』

2019-08-23 15:36:44 | 小説

魔法少女マヂカ・062  

 
『秘密基地』語り手:マヂカ  

 

 

 一度通り過ぎてから周囲をうかがう。

 光学迷彩をかけてあるので、秘密基地に入るところを気づかれることは無い。周囲の防犯カメラには十秒のブラフをかましてあるので、たとえ映像を撮られていても、ポリ高の女生徒が公園外周の角を曲がったとしか認識されない。

 しかし、昔の探偵アニメのようにカッコよく警戒してから迷彩ゲートを潜ることにしている。

 こういう遊びが無くては魔法少女はやっていられない。

「そうでしょ、だったらぼく達にも慣れてくださいよ」

 そう言って、テディ―一号が湯呑を置いてくれる。

「テディ―に偏見はないけど、こういうことは人型アンドロイドにならないかなあ。なんだか遊園地のパーラーみたいで、何を飲んでも甘く感じてしまう」

「テディ―は汎用アンドロイドなんだから、機能的にはなんの問題もない」

 テディ―は二頭身半の縫いぐるみの姿で、基地のスタッフなのだが、同じ姿かたちなので、背番号の数字で区別している。テディ―達が使う椅子や道具も、それに合わせてあり、保育所かなんかの遊戯室のようなのだ。もし、テディ―達に合わせるとしたら、こちらはキティーちゃんにならなければバランスが取れない。

「これだけの秘密基地つくる予算があるんだったら、アンドロイドくらいなんとかなるでしょ」

「防衛費はGDP1%の枠がはめられているので余裕がない。なんなら、わたしがメイドの格好でもして給仕してやろうか」

「いえ、司令は司令の仕事だけしていて欲しい……」

 

 横須賀で石見礼子を撃破して以来、この二週間あまり緊急出動が無い。毎日下校の途中で基地に寄るようにしているが、少々ダレてきてはいる。

 

「そういえば、石見礼子は、我々のことを『ふそう魔法少女隊』とか言っていたが、ふそうとはどういう意味なのだ?」

 ちょうど入ってきたブリンダが、通学カバンをテディ―三号に預けながら言う。

「ふそうとは、こう書く」

 司令がボードに『扶桑』と書いた。

「日本の美称でな、ここ一番という時に使う。例えば、わが国初の超ド級戦艦を『扶桑』と名付けたようにな」

「国は、ここを『扶桑基地』とは呼ばないなあ」

「最上級の美称を付けるのはためらわれたんだろう」

「なら、将来は『扶桑』という基地ができるということなのか?」

 それには答えずに、司令は別の事を言った。

「石見礼子は、まだ生きている」

「え? オレとマヂカで両腕を切り落としたんだぞ」

「知っているだろ、奴には『石見』としての姿と『オリヨール』としての姿がある。生きていても不思議ではない」

「司令、舞鶴司令部から通信です」

 テディ―二号が通信文を持ってやってきた。

「……舞鶴で、石見礼子が目撃された」

「出動かな?」

「ああ、今回も二人で行ってくれ」

「了解、ところで二号」

「なんですか、マヂカ?」

「おまえがメイド服を着てもしかたないんだからな」

「ちぇ、気に入っていただけると思ったのにい」

 

 ブリンダとともにオブジェに跨ろうとしたら「飛行機で言ってくれ」と注文がついた……。

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高校ライトノベル・高安女子高生物語・65〔女子高生甘う見たらあかんよ〕

2019-08-23 06:47:21 | ノベル2
高安女子高生物語・65
〔女子高生甘う見たらあかんよ〕



 
 遠くから見たら女子の他愛ない会話に見えたやろと思う。

 実際うちの話は他愛もなかった。総合理科のテストがガタガタやったいう話、自業自得。
 けど、美枝の話は違た。

 学校を辞めるかもしれへんいう話。これだけでもすごいのに、本題は、もっとすごい。
 義理のお兄ちゃんと結婚したいという、とんでもない話。

 美枝のお父さんとお母さんは再婚同士。で、互いの連れ子がお兄ちゃんと美枝。美枝が小学校の六年生、お兄ちゃんが中学の三年生。お互い異性を意識する年頃。それが親同士の再婚で兄妹いうことになってしもた。家族仲良うなれるために、お誕生会やったり家族旅行も気に掛けて両親はしてくれたらしい。で、二人ともええ子やさかい、仲のええ兄妹を演じてきた。

 それが、いつの間にか男と女として意識するようになった。

「あたしが、16に成ったときにね、お兄ちゃんが言うてん。ミナミでうちのお誕生会やったあと『美枝にプレゼント買うたるから、ちょっと遅れて帰る』お父さんとお母さんは、安心してあたしらを二人にしてくれた。店二三件見て、大学生としては、ほどほどのアクセ買うてくれた……」

「美枝、ちょっとお茶でも飲んでかえろか」
「うん」
 あたしは気軽に返事した。心斎橋の雰囲気のええ紅茶の専門店。そこの半分個室になったような席。うちらが行ったら、店員さんがリザーブの札どけてくれた。お兄ちゃんは、最初から、その店を予約してたんや。あたし嬉しかった……けど、あんな話が出てくるとは思えへんかった」
「16言うたら、親の承諾があったら結婚できる歳やねんで」
「ほんま? あたしは、せいぜいゲンチャの免許取ることぐらいしか考えてなかった」
 それから、しばらくは、お互い大学と高校の他愛ない話しててん。ほんなら、急に二人黙ってしもて、お兄ちゃんは、アイスティーの残りの氷かみ砕いて、その顔がおもしろうて、目ぇ見て笑うてしもた。あたしは妹の顔に戻って話しよ思たら、お兄ちゃんが言うねん『美枝。オレは美枝のことが好きや』」
 その言葉の響きで分かった。妹としてやないことが。
「……それは、ちょっとまずいんちゃう。あたしら兄妹やし」
 なまじ良すぎる勘が、あたしの言葉を飛躍させた。お兄ちゃんはその飛躍をバネにして、一気に本音を言うてしもた。
「義理の兄妹は結婚できる」
 あたしは、頭がカッとして、なんにも言われへんかった。それからお兄ちゃんとの関係は、あっという間に進んでしもた。
 連休の終わりに、明日香とラブホの探訪に行ったやんか。あれ、下見。明くる日、お兄ちゃんと、もういっぺん行った。ズルズルしてたら、ぜったい反対される。あたしは、お兄ちゃんとの関係を動かしようのないもんにしたかった」

「そんなんして、高校はどないするつもりやったん?」
「どないでもなる。出産前の三カ月は学校休む」
「せやけど……」
「よその学校の例を調べてん。在学中の妊娠出産はけっこうあるねん。私学は退学させることが多いけど、公立は、当事者が了解してたら、どないでもなる。そのことを理由に退学はさせへん」
「そんな、うまいこといく?」
「あかんかったら、学校辞めて大検うける。そこまで、あたしは腹くくってる」
「ゆかりは、知ってんのん?」
 美枝の固い決心に、言葉がのうて、うちはゆかりのことを持ち出した。
「ゆかりは、反対や。でも自信がないよって、明日香に相談できるようなとこまでもってきてん」
「え、そのために……!?」

 うちは、ショックやった。頼りにはされてんねんやろけど、混乱の方が大きかった。
――手ぇ握ったれ――
 正成のオッサンが、急に呟きよった。
「うちは、美枝の味方やで」
「ありがとう!」
 美枝は、つっかえが取れたように泣きながらうちに抱きついてきた。

 うちは、美枝のことを全部引き受ける気になってきた。

 美枝のお兄ちゃんに、最初に言う言葉は決まってた。
「女子高生甘う見たらあかんよ……」

 そのとき頭がクラクラしたんは、中庭いっぱいに満開になったバラのせいばかりやない。

 しかし、どこかで力抜かなら、うまいこといかへん。うちは、美枝から明日の試験の山を教えてもらうことで、なんとか心のバランスをとった……。
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高校ライトノベル・須之内写真館・37『キューポラのある街・1』

2019-08-23 06:35:58 | 小説・2
須之内写真館・37
『キューポラのある街・1』         


 どっちにする、と聞かれた。

 編集のシゲさんが、山下公園の写真を見ながら言った。
「この氷川丸描いてる爺ちゃんいいね……」
 直美が悩んでいる間にも、シゲさんは、掲載する写真を選んでいる。選びながら、次の仕事を振ってくる。プロとは言え器用なもんだ。
「編集の器用さに感心してても、仕事は進まないぜ……」
 見透かされたように言うシゲさん。ま、実際その通りだけど。

 仕上がった写真を持ってくると、二つから一つの仕事を選ばされた。

 一つは、成城にあるお屋敷の取り壊し。もう一つは川口にある古い工場の取り壊し。
「消えゆく昭和」というようなことがコンセプトのようだ。

「昭和ってのは、一筋縄じゃいかない時代だからな……」
「川口にします」
「じゃ、いい絵を頼むよ」
 それで川口と決まった。理由は、シゲさんの姿に職人を感じたから。けして良い意味じゃない。
 直美の写真なんて、記事の挿絵みたいなもんで、巻頭グラビアなんかになるもんじゃない。印刷も悪く、こうやって実物の写真を持ち込む必要なんかない。メールの添付で十分なんだけど、シゲさんは、自分で焼いた写真を持ってくるとを仕事の条件にしている。
 最初は無駄なことだと思ったけど、こうやってコミニケーションしながら仕事を進めていくのはいいことだ。今だって、シゲさんの後ろ姿を見ていなければ、成城を選んだだろう。

 川口の街は、どこにでもある地方都市だった。

 変わったところと言えば駅前にある「働く喜び」という、鋳物工場の男の人が、溶けた鉄を鋳型に流し込む銅像ぐらいのもの……で、直美は思い出した。ここは『キューポラのある街』のロケ地だったことを。
 駅前のコーヒー店で荒っぽく予備知識を獲得する。『キューポラのある街』は知っているが、肝心のキューポラが分からない。
――コークスの燃焼熱を利用して鉄を溶かし鋳物の溶湯(ようとう:溶解され液体状になった鉄)を得るためのシャフト型に分類される溶解炉である――
 今は電気炉が主流だから、こんなもの無いだろう。今から行くところを除いて……と思ったが、キューポラのカタチそのものが分からない。画像で検索するといろんなカタチがあることが分かった。要は煙突なんだけど、迅速に熱や炎を逃がすため、真ん中や、上部が太くなっているものが多かった。

 川口の陸橋を見て、記憶が蘇った。

――ここ、映画に出てきた。吉永小百合がだれかと話をしながら歩いていたっけ――

 映画の記憶もうすぼんやりしたものだったけど、確か、周りは小さな鋳物工場がいっぱいあった。
 でも、陸橋から見る分には、その痕跡は無い。典型的な東京のベッドタウン。大きな高層住宅がひしめいていた。
 スマホに登録しておいたナビを頼りに現場に向かう

 それは、高層住宅街の中に忽然と現れた。キューポラのある街角。

 古色蒼然とした町工場。でも、生きてはいなかった。音がまるでしない。工場というのは生き物と同じで何かしらの騒音が、たとえファン一つが回る音でもしているものである。それが、一つもしない。
 廃業し解体を待つだけなんだから、仕方ない。

 すると、工場の引き戸がガタゴト鳴って、中から白髪交じり、作業服のお爺さんが現れた。思わず連写で、昭和の昔から現れたような姿を写した。
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高校ライトノベル・小悪魔マユの魔法日記・11『ダークサイドストーリー・7』

2019-08-23 06:28:53 | 小説5
小悪魔マユの魔法日記・11
『ダークサイドストーリー・7』


 こめかみから流れ落ちた汗が、頬をつたって制服の襟に達するまで、マユは何もできなかった。

 片岡先生の心は閉じている。
 いや、心を閉ざした自分の側にマユが座ったことに、不快感さえ感じている。
 こんな人に、下手に声をかければ逆効果である。
 一時的に魔法をかけて、先生の自殺を止めることは簡単だ。たとえば、先生をベンチから立てなくするとか、電車を停めてしまうとか……。
 しかし、それは一時しのぎにしかならず、不思議な出来事で先生を余計に混乱させるだけである。
 シンディーさんの記憶を消してしまえば、先生の心は楽にはなる。でも、有ったことを無かったことにするのは、悪魔の良心が許さない。有ったことを無かったことにしたり、悪いことを良いことと思いこませることは神さまや、天使のオハコである。恋のキューピットなどもっての他である。天使の中には、これをゲーム感覚でやっているものもいる。天使のイタズラ(天使は、適切なカップリングと言うが)による恋は冷めるのも早く、結果は、離婚率と非婚率の増加というカタチで現れている……人間は、結婚に対して臆病になってしまった。そんな中で、片岡先生のシンディーさんへの気持ちは本物である。馴れ初めと、シンディーさんの死による別れまでを小説にしたら、海の底に沈んだ宝石のように美しく、悲しい物語になる。

「一番線、急行が通過いたします……」

 駅のアナウンスが、急行の間もない通過を告げた。
 レールがカタコト鳴って、列車の通過が間近に迫っていることを感じさせた……。
 先生の心は揺れていた。この特急に飛び込んでしまおうか……でも、横の女生徒は何かを察している。下手に止められたら、この子まで巻き添えにしてしまいかねない。
 片岡先生は、優しく、気配りのできる人なんだ。先生の思念が伝わってくる……。
 急行の気配は、もうすぐそこまで来ている……でも、マユはどうしていいか、まるで考えが浮かんでこない。急行の先頭車両がホームにさしかかった。

 マユは、自分でも思わない行動に出た。

 マユ自身が、急行に飛び込んだのだ。

 悪魔の勘というか、あとで思い出しても、その時は、ただの衝動だった。

「危ない!」
「NO!」

 二つの声が同時にした。
 日本語の主は片岡先生。瞬間身体を抱きかかえられ、ホームの端を二人で転がった。
 急行は警笛とブレーキ音をさせながら、転がった二人の横五ミリほどのところをかすめ、ホームを二百メートルほど通り過ぎて、停止した。
 英語の主は、駆け寄ってきて、マユの頭を抱え、英語でいっぱい罵声を浴びせかけてきた。そのほとんどが日本語なら放送禁止になるようなスラングで、とても声の主とは思えなかった……声の主はメリッサ先生だった。
 マユは小悪魔なので、英語でまくし立てられても、しっかり意味は解る。
 「dud! hell! idiot! jerk! knucklehead! nerd! punk! shit! sissy! sly! spaz! turd! wimp! wuss!」と盛りだくさん。
「u potface……poor girl……」
 そう結んだあとで、メリッサ先生は泣きながらハグしてくれた。

 急行は、この影響で五分停車して、その日K電鉄のダイヤは一時間乱れた。かつらをやめた校長と、副担任のトンボコウロギが、電鉄会社に謝りにいった。むろん、わたしの父親(になっている人間。この人の事情は、この話の後で出てくる)も。
 マユは、身体が痛いふりをし、救急車で病院に連れていかれ、いろいろ検査をされた。片岡先生とメリッサ先生は、ずっと付き添ってくれた。

 そして、マユは、電車に飛び込むほど心に傷をおった生徒として、スクールカウンセリングを受けることになった。マユは、しばらく傷心の女子高生を演ずるハメになった。意外に、担当の悪魔からのおとがめは無かった。
 片岡先生とメリッサ先生は仲の良い……とりあえず、友だちになっていた。学校は、一時この話しで持ちきりになった。知井子などは、大感動して、日記帳に、このことを短いエッセーにして書き残した。

 で、片岡先生の授業は……

「……というわけで、接続詞の用法はわかったな」
 一瞬、みんなは先生の方を向くが、すぐにそれぞれ勝手な事を始める。
マンガやラノベを読む奴。ヒソヒソ声で話している奴。中には、携帯を教科書で隠してメ-ルを打っている奴。むろん率先してやっているのはルリ子たちだけど、マユの友だち、沙耶、里依紗、知井子さえも、この授業の間は内職をやっている。

 片岡先生の授業下手は、どうやら天然のようだ。

 ただ、心は閉ざされてはいなかった。日ごとメリッサ先生の姿が大きくなってくる。
――どんな手を使ったのさ!?
 利恵が、心で聞いてきた。
――なにも、ちょっとした事故よ、事故!
――事故って?
――わたしよ。電車に飛び込んだでしょ。
――あれ、小悪魔のヘタクソないたずらなんじゃないの?
――そう思ってりゃいいでしょ。あたしカウンセリングまで受けてんだから。
――まさか……あんなアナログな、魔法も使わないやりかたで!?
――あたしたちが思っているより、人間て複雑なのよ。
――でもさ……。
――授業中だから、もう話しかけないで。お互いオチコボレってことよ!

 節電のため冷房を切った窓から、初夏の青空が見えた。
 青空の中を一羽のカラスがよぎり、瞬間カラスと目があった。

 アホー……と、カラスは一声残して飛んでいった。それは、どこに打っていいか分からずに、さまよっている片岡先生の板書のピリオドに似ていた。
 
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高校ライトノベル・連載戯曲:サクラ・ウメ大戦・3

2019-08-23 06:16:51 | 戯曲
連載戯曲:サクラ・ウメ大戦・3
 
  大橋むつお
 
 
※ 無料上演の場合上演料は頂きませんが上演許可はとるようにしてください  下段に連絡先を記します
 
 
 
 
時 ある日ある時
所 桜梅公園
人物 
(やさぐれ白梅隊)   (はみだし八重桜隊)
 ゆき(園城寺ゆき)    さくら(長船さくら)  (ITVスタッフ)
 咲江           百江           リポーター
 ルミ           純子           カメラ
 春奈           ねね           音声
 千恵           やや
 その他いっぱいいれば なお良し 
 
 
 
 
 
 カメラ、ゆきとさくらの鍔のアップからひいて、舞台を上手から下手へ、ゆっくりなめる。(平行移動しながら撮る)、舞台が狭い時は、カメラ、音声共に舞台下に降りて撮っても良い。しかし、ここ一番撮ってますっていうカメラマンの気迫は示してほしい。カメラ下手までまわりきったところで、リポーターのOKサイン。
 
リポーター: オッケー!
カメラ: よかった、バッテリーちょうどいっぱいでした。
やや: 一分無かったよ……
カメラ: アップとロングくりかえすと、早くあがっちゃうのよバッテリー。
やや: そうなんだ。
さくら: みんなありがとう。
ゆき: ギャラは出ないけど……
リポーター: テレホンカードあげるわ、人数分、カメラさん、くばってあげて、
一同: ワーイ!
 
   テレホンカードが配られている間、レポーター、爪をかんで考えていたが……
 
 
リポーター: 音声さんはまだバッテリーいけたわよね。
音声: はい、まだ大丈夫です。
リポーター: みんなね、絵は撮れないけど、音声が生きてるの、あの婆ちゃん(なるべく古く、でも観客のみんながのりそうな歌、例「青い山脈」「上を向いて歩こう」等々)の歌が好きだから、どうだろ、大先輩のために、アカペラだけど歌ってもらえるかな番組のBGMに使いたいの、お婆ちゃん、きっとよろこぶよ。
 
   「わたし知ってる!」「賛成賛成!」「やろうやろう!」「全部は知らない」「知ってるところだけでいいよ」「アアアアアー(発声練習)」などなどあって……
 
レポーター: じゃいきます……オオ?!(カラオケが鳴り出す、文化祭などなら、カラオケという設定でピアノなどの生演奏の方がいい)
音声: ちょうどカラオケテープがあったんで……
リポーター: さすがITV(田舎テレビの略)の音声さん! さあ、観客のみなさんもごいっしょに! せえの!……
 
 
   舞台全員、そして観客席もまきこんだ大合唱になり、のり方により曲の途中でワンコーラスで、ツーコーラスで、幕。
 
 
【作者情報】《作者名》大橋むつお《住所》〒581-0866大阪府八尾市東山本新町6-5-2
 
 上演される時はご連絡ください。上演料は入場料を取らない無料公演(文化祭・コンクールなど)の場合必要ありません。入場料を取る公演では一回上演につき5000円の上演料をいただきます。 
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