大橋むつおのブログ

思いつくままに、日々の思いを。出来た作品のテスト配信などをやっています。

ジジ・ラモローゾ:010『ジャーマンポテト』

2020-01-27 13:17:30 | 小説5

ジジ・ラモローゾ:010

『ジャーマンポテト』  

 

 

 お祖母ちゃんが新じゃがを買ってきた。

 

 子どもの拳くらいのが四十個ほど。重さで二キロくらい?

「ジャーマンポテトを作ろうね」

 半分フランス人のお祖母ちゃんが作るんならフレンチポテトじゃろうがと思うんだけど、フレンチポテトというのは無いんだそうだ。

 ジャガイモはきれいに洗うだけで皮は剥かない。新じゃがの皮は柔らかいから、そのまま食べられるそうだ。

 スライスしたニンニクをたっぷりの油でゆっくり炒める。きつね色になったら、いったんニンニクを取り出して、厚切りのベーコンをぶち込んで炒める。

「あ、しまった!」

 お祖母ちゃんは、ジャガイモの加熱を忘れていた。

「ま、今からでもいいわ」

 ジャガイモを入れたボールにラップをかけ、レンジで七分間チン。

「あたしが出す!」

「火傷に気を付けてね」

「はいはい……アツッ!」

「そんな布巾みたいなのじゃダメよ、しっかりグローブのやつで」

「へいへい(;'∀')」

 焼けた鉄でも持てそうなグローブ嵌めて再チャレンジ。テーブルに置いてラップをとると、湯気と言うよりは蒸気がボワッとたって、もろに顔にかかってしまう。

「うお!」

 いっしゅん息が出来ないほど。小粒だけど新じゃがと言うのは凶暴だ。

 新じゃがを、さっきベーコン炒めたままの鍋にぶち込んで、チャッチャカ炒める。塩を振って黒コショウをパラパラ、とっておいたローストガーリックを戻して、しょう油を鍋肌に垂らすと香ばしい香りがキッチンに満ちる。

「味見しよう!」

 爪楊枝を出して、お祖母ちゃんと試食。

「ワッチッチ!」

 表面大人しそうになった新じゃがは、ひと齧りしただけで「オレはまだアチチだぜええええ!」と狂暴ぶりを発揮、上あごを火傷してしまう。

 アハハハハハハハハ((´∀`*))

 あ、えと……そんなに笑うことないでしょ、お祖母ちゃん!!

 

 夕食で敵討ちすることを誓って、ジージのファイルを開く。

 

『ジージのファイル』

 担任を持って第一にやる事は生徒の顔と名前を覚えること。

 書類や生徒手帳に貼る写真を預かっているので、予備になっている一枚の裏に氏名を書いて、全員分紐で閉じ、英単語を覚える要領で、何度も繰ってみる。

 一発で憶えられる子と、何度やっても憶えられない子がいる。

 どういう子が憶えられて、どういう子が憶えにくいのか、うまくは言えないけど、あるんだよ。

 そうやってると、この子はちょっと……感じる子が居るんだ。

 気になると、中学校や前の担任から預かった書類を見るんだ。

 そうすると、この子は、早くから関わった方がいいというのに出くわす。

 新入生なら入学式の日に、二三年生なら始業式の日に家庭訪問する。

 家庭訪問には理由が居る。何もないのに家庭訪問というのは、警戒されて逆効果になることもあるからね。連絡し忘れたことがありましたとか理由を付けて訪問する。多少抜けたように受け止められても、わざわざ来てくれたということで、まあ、一点先取という具合だ。生徒と言うのは学校と家とじゃ見せる顔が違うからね。うまく保護者に会えたら、二点先取。

 なにごとも先手必勝。

 あ、別に遠まわしの説教じゃないからね。

 

 

 ジージは、かなり気を遣う人だったんだ。

 説教じゃないからね……ちょっと気になる。

 わたしがファイルを読むときは説教というか……なにかメッセージを残そうと思ってたから?

 

 あ、こういう気の回し方はネガティブだよね。

 思いついて、ジャーマンポテトをお供えすることにする。

 

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ライトノベルセレクト・『俺の従妹がこんなに可愛いわけがない・1』

2020-01-27 06:20:39 | ライトノベルセレクト
ライトノベルセレクト
『俺の従妹がこんなに可愛いわけがない・1』 


 気が付くと連休だった。

 今年こそ、がんばるぞ! と決心して三週間ちょっと。最初の一週こそは遅刻もせずに、授業中もちゃんとノートをとり、先生の話も聞いていた。
 それが、先週になって遅刻はするは、授業中に居眠りはするは、ノートは数Ⅱだけでも、三時間。全教科一週間分は取り遅れている。選択教科を入れて十教科。もうノートを借りて写そうという気持ちもおこらない。
 もっとも友達の大半が似たり寄ったり。ラインで連絡取り合うだけ無力感にさいなまれるだけ。

 このまま没落の一年の予感。

 ま、こう言っちゃなんだけど、学校がショボイ。我が県立H高校は、偏差値42。県内でも有数のダメダメ高校。
 俺の人生は中学三年で狂ったと言っていい。いろいろ理由というかワケはある。例えば数学。
 二年までは、公式は「成り立ちを理解してから使え」だったけど、「とりあえず覚えろ、使って暗記しろ!」に変わった。俺は、物事の因果関係がはっきりしないと落ち着かない人間だ。

 例えば、中一のとき「日本はニッポンとニホン、どちらが正しいのか?」で、悩んだことがある。

 先生は明確に答えてくれた。
「ニッポンが正しい」
 理由は分かり易かった。昔の日本人は「H」の発音ができなかった!
「なんで、そんなことが分かるんですか?」
 俺は、すかさずに聞いた。
「平安時代のナゾナゾにこんなのがある『父には一度もあわず、母には二度あうものはなにか?』で、答は『唇』なんだ。つまり『母』は『ファファ』と発音していた」
 そう言われて唇をつけて発音すると……なるほど『ファファ』に、ぶきっちょにやると『パパ』になる。
「そうなんだ、江戸時代の最初ぐらいまでは『H』の発音ができなかったんだ。だから『ニホン』とは発音できずに『ニッポン』と言っていた。ただ時代が進んで『H』の発音が出来るようになると使い分けるようになった『ニホンギンコウ』とは言うけど、サッカーの応援なんかの時は『ニッポン』だろ」
「そうか、ここ一番力をこめる時は『ニッポン』なんだ!」

 そういう理解をする子だった。

 ただ分かっていても、ことの本質が理解できなければ、分かった気にもならないし、学習意欲も湧かない子だった。
 それが、やみくもに「覚えろ、とにかく公式を使え!」は受け付けなかった。

 で、結局は三年生はつまらなくて、よく学校をサボったし、授業も不真面目、あっというまに成績は下がり、高校は県内でも最低のH高校しか行けなかった。ここだけの話だけど、家出もした。高校に入る直前にはバージンを失い……そうになったこともある。

 あ、ここで誤解を解いておく。
 
 一人称は「俺」だけど、俺は女だ。中一までは世間並みに「あたし」と言っていた。ときどき「ボク」という言い方もしていた。世間でいう「ボク少女」だった。
「ボク」と「俺」の間には大きな開きがある。「ボク」は年下の子なんかに「自分は世間の女の子とは違うんだ」という感じで使ってた。それが中三の時に好きだった男子に使うときは、ちょっとした媚びがあった。その男子も「ボク」を可愛いと思い、ボクを女の子から女にしようとした。けっきょく、そいつは最低な男子だったけどな。

 それから一人称は「俺」に変わってしまった。

 H高校の一年生も最低だった。俺は、これでも高校に入ったらやり直そうと思っていた。一人称を変えてもいいと思った。でもダメだった。

 予感は、入学式の時に気づいた学校の塀。

 塀には忍び返しって、鉄条網付きの金具が付いている。普通、これは外側に俯いている。外からの侵入を防ぐために。
 しかしH高校のそれは、内向きに付いている。つまり、中から外への脱走を防ぐためにな。

 授業は、どれもこれもひどいものだった。33人で始まったクラスで進級した者は20人しかいなかった。かろうじて俺は進級組に入っていた。だから、なけなしのやる気を振り絞った。最初のホームルームの自己紹介で「あたし」と言おうと思ったが、先生やクラスの人間の顔をみていると「俺、一ノ瀬薫。よ・ろ・し・く!」とやらかしてしまった。ケンカも二度ほどやって、一目置かれるようになったけど、群れることはしなかった。

 そんなこんなで、連休初日。昼前に起きてリビングに行くとオカンが叫んだ。

「ちょっと、これ、由香里ちゃんだよ!」
 
 テレビは、日曜の朝によくある、その道の有望新人のインタビュー番組だった。

 そして、そこに映っていたのは、我が従妹の由香里だった。MCの質問にはにかんだり小首をかしげたり、可愛く顔の前で手を打ったり、笑うとつぶらな瞳がかまぼこ型になって涙袋が形よく浮かんだり……。

 俺の従妹がこんなに可愛いわけがない!

 大波乱の連休の始まりだった……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

巷説志忠屋繁盛記・19『アイドルタイムはアイドルタイム・5』

2020-01-27 05:52:18 | 志忠屋繁盛記
巷説志忠屋繁盛記・19
 『アイドルタイムはアイドルタイム・5』  
 
 
 マスターの喜怒哀楽の半分は演技である。
 
 子どものころから心がけていて、生の感情は見せないようにしている。
 
 生の感情をむき出しにしたとき、かならずトラブルがおこるからだ。
 捨てられていた子犬がめっぽう可愛くて抱きしめているうちに心肺停止状態にしてしまったり、煽りをかけてきた車にブチ切れて、車を降りて相手のフロントガラスを軽くたたいただけで粉みじんにしてしまったり、愛おしさのあまり彼女を抱きしめ肋骨を折ったりした。
 
 子犬を仮死状態にしてしまった時など、最初に見つけた幼なじみの百合子に鬼畜のようになじられた。
 いっしょに居た酒屋の秀が「おばあに頼もや」と提案、おばあとは町内で古くからオガミヤをやっているヨシ婆で、子犬を連れて行くと「このバカタレが!」と一括した後、見事に子犬を蘇生させた。それ以来、なにかにつけて生の感情を爆発させないようにしている。ヨシ婆は向かうところ敵なしのマスターにとって数少ない鬼門筋になった。
 
 だから、このロケでの驚きを制御するのは並大抵ではなかった。
 
「マスター……やっぱ怒ってる……?」
 中川女史が恐る恐る声を上げた時は、撮影が中断してしまった。
 マスターの驚きオーラが強すぎて、人には静かに激怒しているように見えるのだ。
「な、なにかありましたか!?」
 ロケ現場の異様な空気に交番の秋元巡査まで飛び出してきて、マスターの大魔神のような顔に思わず拳銃のホルスターに手を掛けたほどだ。
「みなさん、滝川浩一はただただ驚いているだけです! 秋元はん、拳銃は抜かんように!」
 長年の付き合いの大橋が出てきて、真実を叫ぶまで呪縛は解けなかった。
 
「え……あ……いや、さっき夢子やってたんもお母ちゃんやってたんも上野百合さんなんでっか!!??」
 
「え、あ、は、はい……」
 身体を張って百合の縦になったチーフADの陰から小動物のように百合は応えた。
 
 な、なんちゅうーーーこっちゃーーーーー!!
 
 マスターの雄たけびで半径五十メートルの建物のガラスにヒビが入った。
「百合さんは、うちのはるかが居た乃木坂学院高校の先生だったんですよ。分けあって退職されてからは女優に転身されたと聞いていましたけど……いや、こんなに演技幅の広い女優さんだとは思いませんでした! 夢子の時は完全にハイティーンでしたもの!」
「え、え、じゃ、坂東はるかさんのお母さんでしたの……?」
「はい、はるかの母でございます。『春の足音』でははるかがお世話になりまして」
「いえ、あ、その節はこちらこそなんですけど……てっきりアルバイトの女子大生くらいにお見受けしておりました」
 これには志忠屋の一同も驚いた。
 毎日接しているから分からなくなっているが、トモちゃんは、とても二十歳の娘の母親には見えなかったのだった。
 
 ロケは、協議の結果、月に二回のペースで行われることになった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オフステージ・(こちら空堀高校演劇部)・22「なんですってえ!?」

2020-01-27 05:45:12 | 小説・2
オフステージ(こちら空堀高校演劇部)22
「なんですってえ!?」                     


 

 かゆ~いいいいいい!!

 寝ていた須磨が飛び起きた。

 

「どうかしたんですか?」
 ワンピース8巻目から目を上げて、千歳が聞く。
 PCゲームをやっていた啓介も、マウスをクリックする指が停まってしまう。
「なんか居るんじゃないかなあ……あちこち噛まれてるよ……ウウ、手が届かない。千歳ちゃん、ちょっと背中掻いてくれない」
「は、はい」
 千歳は器用に車いすを旋回させて、須磨の後ろに回ってブラウスの上から背中を掻きはじめた。
「……それじゃ、たよりない……直接やって」
「はい」
 千歳は、須磨のブラウスに手を突っ込んで、直接背中を掻いてやる。
「たしかかゆみ止めが……」
 啓介は部室奥のロッカーをかき回し、数分後に、まとめ買いされていたムヒを発見した。
「先輩、これを……」

 ムヒを手に振り返ると、須磨はスカートをたくし上げてマタグラを。千歳もブラウスのボタンを外してボリボリかいている。

「あ……いちおう、オレも男子やねんけど」
「「あ……」」
 さすがに二人の手は停まった。
「オレ、ちょっと外出てるさかい、ムヒ塗っておさまったら呼んでもらえます?」

 廊下に出て、啓介は二人のかゆみが収まるのを待った。

「この部室、虫が湧いてるわよ」
「ほんと……キャ、これってダニじゃないですか!?」
「この大きさは虱だろうね……」
 血を吸ってまん丸になった虫を掃き集めた。
「ウウウウウ、なんで、こんなのがいるのよ!? ちょっと、啓介せんぱーい!!!」
「え、え、え、なにかなあ……って、その前に服装なおしてもらえませんか」
 須磨も千歳も、ムヒを塗ったり、痒いところを掻いたりで、あられもない姿になっている。
「いや、あの、だーかーらーー!!」
「信じらんないわよ、この不潔さ!!」
 かゆみとおぞましさと怒りのために、恥ずかしさを忘れて、啓介に噛みつく二人。
「ところでさ、小山内君は、どうして痒くならないわけ?」
「あ、そりゃ、オレは虫除け塗ってますから」
「「なんだってえ!?」」
「え……オレ、なんか間違えてる?」

 女子二人のジト目に耐えきれなくなってきた啓介であった……。
 

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

不思議の国のアリス・14『星に願いを……』

2020-01-27 05:38:02 | 不思議の国のアリス
不思議の国のアリス・14
『星に願いを……』
     


 
 ベルボーイがチップを取らないことに驚いた。

 アメリカじゃ、当たり前にチップを取る。ほんの一ドルかそこいらなんだけど、部屋まで荷物を運んでくれたベルボーイは笑顔で、やんわりと無言で――けっこうです――の意思表示をした。

 そして、入った部屋にびっくりした。

 さすがにスイートではないし、広さも千代子と二人で使っている部屋とあまり変わりはなかったが、その清潔さは世界一だ。洗面台やバスは、まるで自分たちが初めて使うようにピカピカで、水滴一つついていない。アリスは、バスのカランの裏側まで見たが、そこもピカピカで、むろん髪の毛一本落ちていない。
 窓からは、大川の向こうに大阪城がライトアップされて、とてもファンタスティック。

 やっぱ、千代子と東クンが……とは、思わなかった。もう吹っ切って千代子とパジャマパーティーのノリでやるつもりだ
 
「あと二週間なんだね……」
 
 千代子がポツリと言った。
 
――そうだ、あと二週間で、日本を離れなければならない。―
 
 バカみたいだが、アリスは全然忘れていた。日本に来て、いや、大阪に来ての半年考えもしていなかった。特に、この十日あまりは、千代子と東クンを、どうゴールインさせるかで、月日のたつのを忘れていた。
「ほら、あそこの駅ね、桜宮いうて、季節になったら、満開の桜で一杯になるのんよ」
「惜しいなあ、もう一カ月のばせたらなあ……」
「あっちいくと……」
「造幣局の通り抜けやろ?」
「なんや、アリス知ってんのん?」
「うん、となりのオバアチャンから、よう聞いたわ。そのオバアチャン、娘時代に、通り抜けでダンナさんと見合いしたんやて」
「うわー、素敵やなあ。そのダンナさんといっしょにシカゴに移住しはったん?」
「……ううん。ダンナさんは、すぐに戦争に行って戦死」
「え……ほんなら?」
「戦後大阪に来た進駐軍のダンナさんに出会うてオンリーさんにならはった」
「オンリーさん?」
「なんや、千代子、なんにも知らんねんなあ……」

 それから、アリスはTANAKAさんのオバアチャンから聞いた話をした。
 
――ウチは、幸せな方や。ダンナがちゃんと結婚してくれて、アメリカに渡って生きてこれた……――
 TANAKAさんのオバアチャンは、それ以上のことは言わなかったけど。同じような境遇の女性が不幸になったことは、オバアチャンの無言の語尾で、アリスにも分かった。
「ふうん……そんなことがあったんやねえ」
「なんで、アメリカ人のウチが、日本人のあんたに説明せなあかんのよ」
「せやかて、習うたことあれへんもん」
「なんや、けったいやなあ」
「ほんまやなあ……千代子の気持ちも分からんくせに、ウチて、変なとこで日本に詳しい。けど、その詳しいことは、ほとんど今の日本にはあらへん」
「なあ、アリス」
「なに?」
「アメリカ帰ったら、何すんのん」
「となりのオバアチャンに、大阪の話したげる」
「ちゃうやん。その先」
「ああ、進路か?」
「大学いくんやろ?」
「うん。この留学で、ハイスクールの単位はみんな取れるよって。大学で日本の勉強するわ」
「ああ、そう……ちゃんと考えてんねんね」
「当たり前やん、うちの人生やねんから」
「そやけど、えらい!」
「ああ、そう……ハハハハ」
 何を思いついたのか、アリスが笑い出した。
「どないしたん!?」
「発見した!」
「なにを?」
「『ああ、そう』は英語の『are so』と言葉も意味もいっしょや」
「ほんま?」
「うん、今の会話で気いついた……日本て、不思議な国や」
「アリスも不思議なアメリカ人や」
「あ……星が流れた!」
「ほんま!?」
「星に願いを……間におうた!」
「あ、アリスだけズルイ」
「ほんなら千代子も、空見ときいや」
「うん、バレンタインの流れ星。なんか効き目がありそうやなあ!」

 そうやって、春まだ浅い夜空を見ているうちに眠ってしまうアリスと千代子であった……。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする