魔法少女マヂカ・125
じろじろ見るんじゃないッ!!
ダークメイド討伐のために魔法少女たちを集めたのだが、この視線には耐えられない。
「だったら、いつもの格好にしとけばいいのに……」
ノンコの言葉に他の魔法少女たちもジト目になっている。
ダークメイドを封印するため、大塚台公園の秘密基地にみんなを集めたのだが、ノッケからバイ菌を見るような目つき。
理由は分かってる。
わたしが聖メイド・バジーナ・ミカエル・フォン・クルゼンシュタイン一世のコスで現れたからだ。
ここまでのいきさつを知っている読者には分かっているだろうが、この聖メイド・バジーナ・ミカエル・フォン・クルゼンシュタイン……長い! 略して聖メイド服は、十四年前、アキバでメイドクィーンとして活躍していたころのコス。今ではアキバの聖遺物とされる、いわば神の衣なのだ。
いや、神の衣とかはいいんだけども、なんたって十四年前だ……つまり、サイズが合わない。
腕や腹、太ももからはみ出ているのは見た目通りのハミ肉。背中のジッパーは閉まらないのでゴムひもをかけ、ベストを着ることでごまかしている。むろん、ベストの前も閉まるわけはなく、飾りのチェーンをかけて帳尻を合わせている。
では、なぜ、そんなに無理して聖メイド服を着ているかと言うと、ミケニャンがこう言うからだ。
「聖メイド服を着ていないと、聖メイドの力が発揮できないばかりか、聖メイドの自覚も忘れるニャ」
「でも、アキバではサイズピッタリだったぞ」
「それはニャ、ダークメイドの危機を目前にして聖メードパワーがマックスになって体形まで昔に戻したからニャ。黄泉平坂まで行って緊張したら、十四年前のスタイルに戻るニャ」
「そ、そうなのか(;'∀')」
「おう、みんな、戦闘配食ができたぞ!」
ブリンダがトレーに載せたハンバーガーのバリューセットみたいなのを運んできた。ブリンダの後ろにはテディ―たちが、同じものを人数分持って運んでくれている。
「隊長も食ってくれ、黄泉平坂に着いたら、すぐ戦闘の可能性が高いからな」
「うん、ありがたいんだが……」
「あ、ああ……」
「よせ、そんな憐れみで見るような眼差しは……」
『出発準備よーし! 各員出航配置に着けえ!』
チーフテディ―の指示があって、メンバーは配られたばかり戦闘配食を持ったり口にくわえたまま配置に着く。
ヨッコラショっと……ビリ。
ウ……スパッツが破れてしまった(;゚Д゚)
「見セパンだけなら、脱いで繕えばいいニャ」
「そ、そうか……」
動き始めた高機動車北斗のコマンダーシートで裁縫することが、最初のミッションになってしまった。