せやさかい・372
撮影の続き……
日差しが合わない……と突っ込むのはソニー。
登校風景を撮るんやけど、授業が終わってからの撮影なんで、お日様は、とっくに上がってます。
「これでは下校時の太陽高度だ、いくらプロパガンダ映像としてもずさん過ぎないか?」
「プ、プロパガンダ(;'∀')」
「もとい、広報映像としても」
「レフ版とか補助照明とかも使うから、ま、いいんじゃない(^_^;)?」
留美ちゃんがフォロー。
「普段通りでいいからね」
ディレクターのおっちゃん。
「校門入る時と、マリア様の前を通る時は、キチンとお辞儀!」
長瀬先生は、うちが時々忘れてることを知ってる。
「じゃ、一回テスト。カメラ目線にならないでね。ライトやレフ版も直接見たら、しかめっ面になっちゃうから」
「「はい」」「了解」「Understood」
で、テストをしてると、いつの間にか野次馬さんたちが集まって来る。
なんちゅうても放課後すぐやしね。
でも、たいていの生徒はええ子やから、邪魔をしたりはせえへん…………ねんけど、例外が数名。
「わあ! なにやってんの?」「ロケだ!」「リアル撮影!」「生徒会は聞いてないぞ!」「混ぜて欲しい!」
頼子さんたちと、生徒会執行部と執行部のOGの人ら。そう言えば、生徒会の引継ぎが今日やったような(スマホでチェックした行事予定表にあった気がする)。
「長瀬先生、これ学校紹介の撮影ですよね?」
真鈴会長、いや前会長が目をカマボコ型にして聞く。
「ああ、邪魔せんとってな」
「ねえ、先生、どうせだったら、わたしたちも入っちゃダメですか? 文化祭とかの企画で慣れてますから!」
そう言えば、真鈴先輩は文化祭では大活躍やった、芝居の脚色・演出・主演、それに駅前パレードの企画も大当たりさせた!
「ああ、動画で観たけど、すごかったですね!」
「カメラワークも良かった!」
「演出ピカイチ!」
撮影班もノッテきた。
「しかし、日程がなあ……」
長瀬先生は、ちょっとしぶい。
「ちょっと、コンテ見せてもらえます!?」
先生がウンという前に、ディレクターのコンテを覗き込むご一統様。
「会長、これなら、チョロいっすよ!」
「前会長だ、現会長は!?」
「このまま帰るのも寂しかったから、いいんじゃないですか」
「よし、では、新旧生徒会とファンクラブで、いっちょう行ってみよう!」
おお!!
「乗っとちゃった……」
留美ちゃん一人呆然として、さすがの長瀬先生も腕を組んで黙ってしまう。長瀬先生も文化祭の大成功は知ってるし、声優百武真鈴とヤマセンブルク王女のネームバリューは使えると思てる。
それにね、ソフィーが領事館の用事で、この場を外してる。ソフィーも単に頼子さんのガードいう以外に領事館でも重要なポジションに就きつつあるとか。
リアルにはクリスマスも過ぎてんねんけど、面白いから、もうちょっと続きます(^▽^)
☆・・主な登場人物・・☆
- 酒井 さくら この物語の主人公 聖真理愛女学院高校一年生
- 酒井 歌 さくらの母 亭主の失踪宣告をして旧姓の酒井に戻って娘と共に実家に戻ってきた。現在行方不明。
- 酒井 諦観 さくらの祖父 如来寺の隠居
- 酒井 諦念 さくらの伯父 諦一と詩の父
- 酒井 諦一 さくらの従兄 如来寺の新米坊主 テイ兄ちゃんと呼ばれる
- 酒井 詩(ことは) さくらの従姉 聖真理愛学院大学二年生
- 酒井 美保 さくらの義理の伯母 諦一 詩の母
- 榊原 留美 さくらと同居 中一からの同級生
- 夕陽丘頼子 さくらと留美の先輩 ヤマセンブルグの王女 聖真理愛女学院高校三年生
- ソフィー ソフィア・ヒギンズ 頼子のガード 英国王室のメイド 陸軍少尉
- ソニー ソニア・ヒギンズ ソフィーの妹 英国王室のメイド 陸軍伍長
- 月島さやか さくらの担任の先生
- 古閑 巡里(めぐり) さくらと留美のクラスメート メグリン
- 百武真鈴(田中真央) 高校生声優の生徒会長
- 女王陛下 頼子のお祖母ちゃん ヤマセンブルグの国家元首