あのコルトを狙え

TOKYO2020 子供たちに負債を(笑)

「錆びたナイフ」

2011-01-02 10:44:42 | 錆びたナイフ
新春恒例?高層廃墟ホテルエンパイアの探索記です。
お待たせしました。

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急いで階段を駆け降りるが暗くて思ったほど早く降りられない。
「ここまで来たら…」と19階の展望会議室を見る。


パンフレットより

他の階と違いインターフォンやガラス扉があったりしたが
何しろ時間が無い。
駆け足で走り抜ける。
そして再び階段を駆け降りる
無我夢中で駆け降りていると「行き」ではさほど感じられなかった
得たいの知れない恐怖感が湧いてきた。
早く降りなきゃ!途中で何度か足を踏み外しそうになった。
見てはいけない!極力、周りを見ないようにしていた。

やっとの思いで一階のロビーに戻ってきた。ホテルを出て宴会場へと向かう。
厨房に入り眩しいほどの蛍光灯の光にホッとする。

「戻りました!」

約束の時間を5分は過ぎていた。

『 どうだった?上まで行けた?』と管理人さんは笑いながら尋ねる。

「ハイ・・・。とても素晴らしい世界でした。
見られて…良かったです。
念願の世界でしたから…本当に良かったです。
ありがとうございました」

『そう、それはよかった。
あなたがそう喜んでくれたならそれでいい。
さて、行きましょうか』

出口に向かおうとする管理人さんに
「あの、これ記念に頂きたいのですが…」
ヒップポケットから錆びたステーキナイフを差し出した。
『(笑)。そんなのどうするの?いいよ、持っていきなさい』

エンパイアを後にして出口で管理人さんに何度もお礼を言って別れた。
車に乗り込む前に後ろを振り返る。

横浜ドリームランドの墓標がそびえ立っていた。

ほんの数分前まであの最上階に私はいたのだ。


翌日、目覚めると昨夜の出来事は夢だったのか?
と不安になったが机の上はレストランから持ってきたステーキナイフが確かにあった。




エンパイアに行ったらナイフかフォークの食器を持ち帰り
私の職場の小さなレストランで使いたかったからだ

エンパイアはレストランとしての機能を失っても
人知れず別のレストランで食器はその使命を果たす。

そのような事を思い描いていた。
しかし、持ってきたナイフを研磨剤で磨いてみても錆は刃の奥まで浸透しており
とても客用に供せるものではなかった。




併しいつかこのナイフを使って私の食事に使用してみよう。
「ホテルエンパイア」の供養になるかもしれない。

おわり



あけましておめでとうございます。
長い間引っ張ってきたホテルエンパイア探検記も
これで終わりです。

【初めて稚ブログをご覧になる方へ】
前回の伊豆スカイラインの続きから飛んでしまいましたが
カテゴリー「錆びたナイフ」からご覧ください。

あの頃は横浜薬科大学にあのような形で残されるとは
思っておらず訪れるのは最後になると考えていました。

現在ではすっかり整備され最上階の回転レストランは
二度と廻る事はないが展望台としてイベント時には
公開される事もあります。

でも、もう二度と電気も点かず他に人がいない高層ビルの最上階に
1人立つなんて事は味わえないと思うと貴重な体験が出来た事に
感謝しております。

もうお会いする事のない管理人さん
本当にありがとうございました。











今回は画像が無いので当時の料金表をパンフレットから転載致します。

完結まで長い間お待たせしてしまいました。
いつかまたあのエンパイアを訪れる日が来ましたら
「錆びたナイフ」に書こうと思います。

本年もよろしくお願いいたします。

 彩雲4号
コメント (15)
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