Ⅲ-3-1 雰囲気
動物(犬?)と人が向き合っている。しかし何故か高い壁(草原を切断し層を人の頭上まで引き上げている)が立ちはだかっている。
あくまで(雰囲気)である。
これは相対する者の目線の高さによる景色の相違である。
二者が相対する位置関係にある時、二者は全く異なる景色を見ており、共有ということなない。
自分自身の視野が絶対であって、相手の視界などは感知できない。
しかし、わたし達は相対する者と遭遇した時、同じ世界(空間)にいるという共通観念(雰囲気)のもとに、見ている景色まで共有していると錯覚するが、それをことさら分析などしない。
曖昧である雰囲気によって、対峙する相手も同じもの(景色)を見ているような錯覚を抱くが、あくまで《雰囲気》である。
写真は『若林奮 飛葉と振動』展・図録より 神奈川県立近代美術館