続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

デュシャン『自転車の車輪』②

2020-03-11 07:01:25 | 美術ノート

 片方だけの車輪、使いものにならない存在。
 機能、目的を遂行できない哀しみ・・・自転車の車輪としての条件の欠如、欠陥であり構造上の不備を指摘されるものとしての残骸になり果てた一輪。

 地に着くべき車輪を逆さに掲げる滑稽。ここでは車輪である理由や意味はすべて打ち消されている。
 意味の無いものへの敬意は払われない。除外すべきものですらある不要物にすぎない。

 否、不要物ではない、デュシャンはこの一輪(自転車の車輪)を選択したのである。
 この自転車の車輪の持つ悲しみを共有し、共感したのだと思う。むしろ機能(使うこと)を拒否した告白がある。

 車輪を回せば、見えていたスポーク(線条)は消えてしまう。在ったものが消えるのである。
 回転の持つ永遠性、始まりも終わりも不明確なまま時空を経由していく円環という構造への憧憬。
 自転車の車輪を白い丸椅子に上に掲げた理由である。


 写真は『DUCHAMP』より www.taschen.com


『忘れえぬ人々』105.

2020-03-11 06:36:08 | 国木田独歩

「いっそのこと山上の小屋に一泊して噴火の夜の光景を見ようかという説も二人の間に出たが、先が急がれるので愈々山を下りることに決めて宮地を指して下りた。


☆散(バラバラにする)章(文章)は衝(重要)也。
 逸(隠して)吐く(言っている)。
 粉(まぎれているのは)化(教え導くこと)也。
 考えを継(つなぎ)、兼ねて設(こしらえる)。
 字で訊(問いただし)推しはかる。
 詮(明らかにし)究(つきつめると)、弐(二つ)の詞(言葉)が解(わかる/さとる)。


『城』3375。

2020-03-11 06:21:14 | カフカ覚書

Kは、夫婦をなだめるために、いまうかがったような話はまったく初耳です、と言った。そういう事情とは知りませんでしたが、そんなに長いこと廊下にいたわけではありません。ほんとうにあそこにはなにも用事がなかったし、お役人がたを苦しめてやろうというようなつもりはなかったのです。


☆Kは、夫婦を安心させるために今の話は聞いたばかりだと言った。しかし、知らなかったにもかかわらず、経過は何も変わっていません。真実は分からず、誰かを苦しめようとしたものは一人もいません。単に非常に疲れていただけなのです。