続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

マグリット『神の客間』

2015-07-27 06:57:34 | 美術ノート
『神の客間』・・・月の光、星が瞬く神秘的な空間である。

 月は二十六日(くらい)の月、この月が星空の深夜に在るはずがない。在るはずがない光景を描くために選択されたこの月(二十六日の月は深夜に出現しない)。
 雲がかかり虹色の暈が見える。雨の予兆であるが、神秘的なムードを醸し出し神々しいとも思える光景である。


 邸宅と丈高い樹木に囲まれた庭、中央に立っている男は牧師さんだろうか。小さな図版で判別が難しいけれど、祈りを捧げているのかもしれない。

 客間というからには特別のもてなしが施される部屋(空間)という意味だと思う。
 神さまが出現なさる特別な空間である客間はこのようである。
 
《非現実》
 現実の猥雑さを否定した神々しさ、世間を隔絶する丈高い樹木(林)、月は虹色の暈で飾られ、祈りの対話をする人…精神的な場所と言えるかもしれない。

 神の客間は、現世の渾沌にはなく、異世界の虚空間にこそ現出する。明らかなる疑似的世界に開かれた妖気漂う現場は現実の条理を否定している。
 繰り返すけれど、この二十六日の月を闇(夜)に描くこと自体虚偽の月、虚偽の幻想空間なのである。

(写真は『マグリット』㈱美術出版より)

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