続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

🈞マグリット『赤いモデル』

2019-01-10 07:11:08 | 美術ノート

   『赤いモデル』

 素足の指先が革靴に変容している。
《赤い》・・・赤は血をイメージしているだろうか。血であれば、肉をもった動物であり、生命体を指す。
《モデル》・・・模型/ひな型・複雑な現象を説明するために用いられる単純化した理論や仮説のことである。
 つまり『赤いモデル』とは《血(生命連鎖/弱肉強食)における仮説/ひな型》ではないか。

 地面(自然)を囲う石積みは、人智である。
 その人智が動物の殺戮の上で人間の足を保護する靴に仕立てている。野蛮な強欲による習慣は、システムの中に平然と日常化している。

 地上に等しく与えられた生命を、利便性のために一方が一方を殺しているのである。
 仮により強い動物が人間の足を利用して靴を作ったとしたら…という仮説も成立するのではないか。

 他の動物の生命を犠牲にしている途方もない習慣。それに依存している人間のおぞましさ。マグリットの深い嘆きに尊敬の念を禁じ得ない。


(写真は国立新美術館『マグリッㇳ』展/図録より)


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