
『発見』
何を発見したというのだろう、『発見』と名付けている。
裸婦の肉体に木目がついてる、というより肉体が木目(木の質)に変容しつつある過程かもしれない。
背景の深い暗緑色はすでに現世でない(冥府)の律である。
マグリットは母の死体が『棺』に入っているのを知り、「母の死=棺」というように同化して記憶の中に収めているのではないか。母の肉体が木目を持った棺と同時に消えてしまうという驚愕の体験は、個人的な発想(発見)に過ぎないが、深く刻み込まれ消し難い幻想として作家の内に息づいてしまっている。内なる思いを外(作品化)に出すという客観的な仕事を介して、それを発見と呼んだのだと思う。
物質全部を電子に帰し
電子を真空異相といへば
いまとすこしもかはらない (宮沢賢治「春と修羅」より)
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます