『ジョルジェット』
この絵はジョルジェット(妻)の肖像であり、マグリット自身の心象風景である。
海、水平線・・・ずうっと向こうばかり見つめている日常。しかし、内側には妻(ジョルジェット)がいる。ありのままの真実を教えてくれる唯一無二の存在であるジョルジェット。
室内の壁には、卵、緑葉、鳥の羽、鍵、手紙、ろうそくの燭台(灯り)・・・これらは重力によらず心の中で自由に浮遊している。時間に左右されず、空間の律にも順当でない《自由》、これらは秘密の世界の最大にして最小のツールである。
灯りに浮かび上がるジョルジェットの真実、彼女もまたわたし(マグリット)と同じ水平線を見つめている。真っ直ぐな眼差しを持つジョルジェットはわたし(マグリット)の真ん中に位置している。
手紙には彼女への感謝と愛が綴られているに違いない。
写真は『マグリット』展・図録より
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