Ⅱ-4-p 《地下のデイジー》
デイジーとは、花のデイジーだろうか。確かに正四角形の枠の中に放射状に花びらの形が見える。
地下のデイジー、地下で花が咲くだろうか。絶対にあり得ないことではないか。
あり得ないことを有るという。無を有であるという。見えないものを、あたかも見えるように確信する。この落差・・・地下への夢想。
《地下のデイジー》とタイトルすることで、地下にはデイジーが有るのだと信じ込ませる。疑う術もなく、信じる確証もない。デイジーは強い繁殖力をもつ植物だけれど遮光の地下で花を開くとは思えない。デイジーの種は地下で死滅せず活きている。
活性、闇の中での猛威、エネルギーは驚嘆するものがあるが、誇示することなく沈黙のうちに主張している。少しの光があれば必ずや地上に出て花を咲かせる。
花びらの形に開けられた穴、そこにデイジーは芽を出すだろうか。とてつもないエネルギーを感じさせるデイジーは、地下と地上を行き来する。地下のデイジーの秘めたエネルギー、主張は生きることの声なき声かもしれない。
写真は若林奮『飛葉と振動』展より 神奈川県立近代美術館
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