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喜劇の精神は人のみに宿る感情である。
この人型(擬人化された紙片のようなもの)のいる状況に『喜劇の精神』があるという。見えない精神を具象化し垣間見せた作品を前に考え込んでしまう。
喜劇とは何だったかと…。
立ち姿というより、何気ないが踏ん張っているポーズである。下り坂であるにもかかわらず、上半身は直立している。大変さを見せない、水面下で足を忙しく掻く水鳥のような平静さである。
足は下方に向かっているのに顔は上方に向き、行動と思考が相反している。すなわち《葛藤》があり、常に上昇志向に身を挺している。
何かを求めるための眼差しがそこに潜んでいる、隠しているが秘めているという風である。
薄っぺらな身体、坂は身体的な年齢、死へと向かう道筋かもしれない。しかし思考ばかりはそれに逆らっている。
儚い抵抗・・・滑稽に映る現象。すべては幻であるという前提に立てば、喜劇であるほかないではないか。わたくしの告白であり、自画像である。
(写真は新国立美術館『マグリット』展/図録より)
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