『彼岸』
お墓と地平、そして天空の遥か彼方にある太陽。
それっきりの作品であり、それだけに遮るものなく墓と太陽が直線で結ばれている世界である。
《墓=死》肉体を失った魂は果たして在るのだろうか。決して断じて答えを見いだせない問いに人は思いを重ねる。
隔絶された世界、異空間は見ることはできない。しかし想像することは可能である。
愛しい人の死、二度と会えない人の所在は地の果てにさえも見いだせない。巡るということのない断ち切られた断絶は永遠の神秘である。
探した果ての、ずっと向こう、太陽よりもずっと遥かな向こう。
指針の太陽は存在の軸である。
(墓=死)と(太陽=生の源)を結ぶ一本の線条を仰ぎ見るとき、人はその神秘に震撼とするのではないだろうか。
(写真は国立新美術館『マグリット』展・図録より)
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