『無題』
女と男のシルエットである。女の方は膨らみを持つビルボケ、男の方は平面状であり両者ともに全体楽譜模様である。
女の方は立体であり、枝葉が伸びている。再生を意味するだろうか、静物から生物は発生しないから、ここはこの世の律を外した世界である。
女の影は途中で切れている、フェンスの向こうに続く地上はなく、遠景(例えば山など)も見えない、ということは非常に高い位置にある世界らしい。
この二者の関係は…マグリットの両親だろうか、先に逝った女(母)の歳月と後からの男(父)の幻影かもしれない。音符は性格や心理を表している。
シンプルな情景、フラットであり無風・平穏であるが、二者の時空には差異がある。女には威風堂々とした貫禄があるが、男は単に小さく留まっているに過ぎない。
亡き両親を想い、亡き両親への追慕の比重がこの作品かもしれない。
写真は『マグリット』展・図録より
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