隠すのは秘めることより苦いかな銀杏の樹皮をぬらしゆく雨
隠すことと秘めることに差異はあるだろうか。隠すのは秘めることより苦いのではないかという作者の心情である。
見つからないように悟られないように隠すことは、外からわからないように内部に隠しもつことと同義である。(確かにニュアンスは微妙に違う)
しかし、作者は言い切っている。《隠すのは秘めることより苦いかな》と。
銀杏の樹皮を濡らしゆく雨、銀杏の樹皮が主語ではない、雨が主体である。
雨は例えば、彼女かもしれない。(銀杏の樹皮は作者の比喩か)
銀杏の樹皮が濡れてゆく様子を改めて見たことがないけれど、濡れても濡れなくても樹皮は樹皮という大雑把な感想が普通であるが、ここは恋情の高まりの時間の経過を言っている。
しかし、ぬらしゆく雨(彼女)によってわたし(作者)の心は、隠すのは秘めることより苦い(苦しい、辛い)と、判断が朦朧とするほどに彼女への愛が高まるのを隠し切れないでいる、否、秘めている。
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