『回転ガラス版(精密光学)』
ペイントされた5枚のガラス板がの軸を中心に回転し、一メートルほど離れて見ると一つの円が現れる。
静止と回転の間・・・まったく同じものが異なる映像に転移する現象である。つまり、見えていたものが見えなくなり、新規の現象が姿を現すという視覚上の変化。
こうしたらこうなったという偶然は新鮮であると同時に繰り返されることにより必然と認可される。
精密光学、人為的な構築(操作)であり、自然界には起こり得ない現象である。エネルギーの媒介、人がエネルギーを利用して世界を変える見本でもある。
この機械仕掛けの仕組みは実に簡単である。回転という操作で今在った景色が消えるという驚異、そして異なる景色が現出するという発見は多くのことをもたらしている基因である。
精密光学という人智、進化は留まるところを知らないが、自然界には決して有り得ない現象を発見していくデータの集積。
時間と空間を操作する人知の原初を解説風に提示している。記念碑的なモニュメントであるが、機械文明のさなかにいる鑑賞者は(熟知している)とばかり通過していくに違いない。急速な発展の影で、忘れられかねない基本の風景である。
写真は『DUCHAMP』ジャニス・ミンク www.taschen.comより
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