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『ハゲタカの公園』
ハゲタカ、コンドルは主に動物の死骸を食べるが、太陽神とも崇められる大きな鳥である。
この作品を見る限り、太陽という《陽》のイメージは微塵もない。黒い山並みは陰鬱というより暗黒の脅威、恐恐として霊感あるいは冷たい空気感である。
地上は赤土、肥沃というのではなく、何かおどろおどろした動物の血を吸い込んだような赤い地面である。生を払拭した死の廃域という感じである。
しかし、なぜかパイプのようなものが突き出ている。人為、人の成せる作為…地下、あるいは異世界との連絡だろうか。背後の方がより高い位置にあるのも奇妙であるが、距離間が把握できないのも妙である。
手前には設えられた箱があり、等分に配置された白い点描(光の差し込む穴)があるが、意味は不明である。(等分ということは時間?)内部は唐突に樹が生えている。しかし箱の内部にあるため上部は抑えつけられ、これ以上の生育は不可能かもしれない。
すべてが《意味》に連結しない不気味な光景は、ハゲタカの死骸を食い尽くすという殺伐さ、負の恐怖が蔓延している。
写真は『マグリット』展・図録より
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