続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『嵐の装い』2.

2021-10-27 06:38:11 | 美術ノート

 幾つかの人型に刻んだ切り紙細工模様、よく見ると同じ平面のものを切ったのではなく、それぞれ異なる模様である。模様は一点を軸にどこまでも連鎖を可能にする模様(形)であり、無限を内包していると思う。
 つまり、肉体を失った人型、霊(精神)である。

 この場所は光がさしており、両脇に壁のような仕切りがあるが、上方や前後の空間には遮蔽がないと思われる。仕切りは何を意味しているのだろう…同族だろうか。
『嵐の装い』・・・華美に着飾っているのだろうか、現世の基準は当たらない世界かもしれない。

 嵐、荒天の海(現世)を見ているような配置である。
 冥界では常に現世の嵐などお見通しなのだろうか、しかし、「装い」とあるから儀礼を尽くし尊いものとして照覧しているのかもしれない。

 声を上げることも、手を差し伸べることもできない隔絶された現世を、来世の側から描いている。難破船の災害、悲劇は玩具の小ささであり、どんな苦しみも乗り越えられぬものではなく、もし命を落とすようならば、喜んでこちらに迎えようと。

『嵐の装い』とは難破船での命の喪失を、「こちら(来世)では礼を尽くし、美しく着飾ってお迎えいたしましょう」という光景ではないか。

 写真は『マグリット』展・図録より


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