『応用弁証法』
一枚の絵の中に二つに区切られたことなる情景が描かれている。
左はこれから戦争に向かうという軍隊・戦機の集合であり、右は闘い破れ、戦禍に財を失っての帰還である。
左右は始まりであり終結である。そのように見えるが、歴史は繰り返されるから、始まりも終わりも一つに括られてしかるべき事象でもある。
戦争の対義語は平和である。しかし、平和はこの絵の範疇からは見えない。この絵を客観視している鑑賞者の側に平和という概念が定着していることを画家は想定したに違いない。
平和(勝利)はこの絵に見る戦争と敗退の上に成立する危うい構図の中にあるのだと。
写真は『マグリット』展・図録より
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