続・浜田節子の記録

書いておくべきことをひたすら書いていく小さなわたしの記録。

M『凌辱』

2021-12-14 07:14:45 | 美術ノート

   『凌辱』

 凌辱とは、人を侮り恥をかかせること、女性を力づくで犯すことである。
 この絵を見ると、顔面が胸や陰部に置き換えられている。

 たしかに恥をかかされたような被害意識が過る。顔面が、本来隠すべき胸部や陰部であっては他者と対面することは難しい。

 なぜか、何故隠すべき部位であると全ての人が共通に認識するのか。醜悪だろうか、否、人間の本質的な部位、欲求・生理の根源であれば、秘めて然るべきだという感情は自然である。
 ゆえに自然に反するこの絵への反感は抑えがたい、一つの暴力でもある。

 鑑賞者が作品を見る場合の起点(照準)は自分自身である、自分自身に比しての感想は当然目を背けてしまう俗の領域に他ならない。
 しかし作家は、あえて問いを発しているのである、なぜ悪寒が走るのかと。
 根源的な問いに応えて見よと、まさしく問いを投げかけているのである。

 

 写真は『マグリット』展・図録より


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