学校で教えてくれない経済学
オレンジ相場急落が教えるものは何なのか?-
学校で教えてくれない経済学
オレンジの産地米国フロリダの今年の冬の気温が、
華氏50~60度(摂氏:10~16度)、最高:華氏70~80度
(摂氏:21~26度)と例年に比べて暖かい。それを
背景にして、米国フロリダのオレンジジュースの相場が急落したと
ウオールストリートジャーナル紙電子版が伝えていた。
ここ数週間の気温から見て、この先今年の冬は
寒くならないとヘッジファンドがオレンジジュース相場に
見切りを付けて売り急いでいるためだそうだ。
一方、原油相場は、イラクでの政情不安を材料に
して一端買い戻されたが、バレル46ドルまでつっかけたあと、
いまひとつ相場が盛り上がらない。これも寒くなるとはやした
ものの、暖冬が響いて当てが外れたようだ。
果物に限らず生り年と不作とはくりかえすが、地球温暖化の影響か
暖冬が続いている。冬気温が高いと生り物には幸いする。相場は
基本的には需給で動くから、収穫が増えると下げ材料に使われる。
原油相場も例外ではない。最盛期のいまが稼ぎどきであるが、
寒くなるべき時に寒くならないのでは売れ行きにひびいて、
当然値段は下がる。
日本もご他聞にもれず暖冬だ。旧暦のカレンダーによると今年は
新暦の2月8日で冬が終わることになっている。つまり冬が短い
年まわりなのだそうだ。
冬が短いとなると、早めに冬物衣料を売りさばいておく必要がある。
大量の在庫をかかえて半値・8掛け・2割引きという悲惨な結末を
迎えることになるだろう。
寒い季節には寒くなり、暑い季節には暑くならないと商売にならない。
商品問わず、古今東西、いくら時代が変わっても変わらない。
為替市場では、年度末には動きには多少敏感であるが、寒い暑いは
余り影響されない。ところが、どうしたことか、年明け早々から、
ユーロ急落、ドル堅調の地合いが続いている。
相場の世界では高をくくるとしっぺ返しがきついと
昔からいわれる。昨年末にかけての1ユーロ=1.36ドル台の急騰も
予想外だった。しかし、年初来の1ユーロ=1.30ドル台への急落も
それに劣らず厳しい。
ところで、昨日の日曜テレビ討論を聞いていたら、ドル安を材料に
1ドル=80円やひどい人は、1ドル=50円台の円高を公然と言い放って
いたのにはたまげた。
ここまでくるとドルもバカにされたものだ。しかし、ドル安必至と
高をくくっているとどうなるか。ここは尻馬に乗って行動しないほうが
安全かもしれない。
1月9日、スノー米財務長官は、Bloombergテレビでのインタービュー
で
「強いドルは米国の国益である。」といつものセリフを口にした。
そこまでは従来と同じパターンであった。問題はそのあとである。
記者に「強いドルとはどういう意味か?」と聞かれたスノー氏は、
「節約に努め、成長を持続し、財政赤字を削減して強いドル政策を
支援する。」と神妙に答えたようだ。
スノー長官の今回の答え方を為替ディーラーは、ブッシュ政権の
政策変更ととらえ、ドル買い材料に使ったと外電は伝えている。
スノー発言の直後から、取引開始後さげていたドルは、一転、
ここ6週間での最高値を更新して取引を終了した。
為替市場、國際商品市場は魑魅魍魎の世界である。
妖怪がうようよしていると言われる。
昨今若者の間ではは妖怪という言葉自体が死語に
なっているかもしれない。魑魅魍魎(ちみもうりょう)
という言葉を使って悦にいっていること自体
物笑いの種になるのかもしれない。
平たく言えば、相場の世界に限らず、世の中
何が起こるかわからないと言う教えではなかろうか。
寒い季節に寒くなり、暑い季節に暑くならない限り
妖怪が鎮まることはないであろう。
オレンジジュース相場の急落と年明けからの
予想外のドル堅調は相場の世界を越えて、我々に
何かを教えてくれているような気がしてならない。(了)
オレンジ相場急落が教えるものは何なのか?-
学校で教えてくれない経済学
オレンジの産地米国フロリダの今年の冬の気温が、
華氏50~60度(摂氏:10~16度)、最高:華氏70~80度
(摂氏:21~26度)と例年に比べて暖かい。それを
背景にして、米国フロリダのオレンジジュースの相場が急落したと
ウオールストリートジャーナル紙電子版が伝えていた。
ここ数週間の気温から見て、この先今年の冬は
寒くならないとヘッジファンドがオレンジジュース相場に
見切りを付けて売り急いでいるためだそうだ。
一方、原油相場は、イラクでの政情不安を材料に
して一端買い戻されたが、バレル46ドルまでつっかけたあと、
いまひとつ相場が盛り上がらない。これも寒くなるとはやした
ものの、暖冬が響いて当てが外れたようだ。
果物に限らず生り年と不作とはくりかえすが、地球温暖化の影響か
暖冬が続いている。冬気温が高いと生り物には幸いする。相場は
基本的には需給で動くから、収穫が増えると下げ材料に使われる。
原油相場も例外ではない。最盛期のいまが稼ぎどきであるが、
寒くなるべき時に寒くならないのでは売れ行きにひびいて、
当然値段は下がる。
日本もご他聞にもれず暖冬だ。旧暦のカレンダーによると今年は
新暦の2月8日で冬が終わることになっている。つまり冬が短い
年まわりなのだそうだ。
冬が短いとなると、早めに冬物衣料を売りさばいておく必要がある。
大量の在庫をかかえて半値・8掛け・2割引きという悲惨な結末を
迎えることになるだろう。
寒い季節には寒くなり、暑い季節には暑くならないと商売にならない。
商品問わず、古今東西、いくら時代が変わっても変わらない。
為替市場では、年度末には動きには多少敏感であるが、寒い暑いは
余り影響されない。ところが、どうしたことか、年明け早々から、
ユーロ急落、ドル堅調の地合いが続いている。
相場の世界では高をくくるとしっぺ返しがきついと
昔からいわれる。昨年末にかけての1ユーロ=1.36ドル台の急騰も
予想外だった。しかし、年初来の1ユーロ=1.30ドル台への急落も
それに劣らず厳しい。
ところで、昨日の日曜テレビ討論を聞いていたら、ドル安を材料に
1ドル=80円やひどい人は、1ドル=50円台の円高を公然と言い放って
いたのにはたまげた。
ここまでくるとドルもバカにされたものだ。しかし、ドル安必至と
高をくくっているとどうなるか。ここは尻馬に乗って行動しないほうが
安全かもしれない。
1月9日、スノー米財務長官は、Bloombergテレビでのインタービュー
で
「強いドルは米国の国益である。」といつものセリフを口にした。
そこまでは従来と同じパターンであった。問題はそのあとである。
記者に「強いドルとはどういう意味か?」と聞かれたスノー氏は、
「節約に努め、成長を持続し、財政赤字を削減して強いドル政策を
支援する。」と神妙に答えたようだ。
スノー長官の今回の答え方を為替ディーラーは、ブッシュ政権の
政策変更ととらえ、ドル買い材料に使ったと外電は伝えている。
スノー発言の直後から、取引開始後さげていたドルは、一転、
ここ6週間での最高値を更新して取引を終了した。
為替市場、國際商品市場は魑魅魍魎の世界である。
妖怪がうようよしていると言われる。
昨今若者の間ではは妖怪という言葉自体が死語に
なっているかもしれない。魑魅魍魎(ちみもうりょう)
という言葉を使って悦にいっていること自体
物笑いの種になるのかもしれない。
平たく言えば、相場の世界に限らず、世の中
何が起こるかわからないと言う教えではなかろうか。
寒い季節に寒くなり、暑い季節に暑くならない限り
妖怪が鎮まることはないであろう。
オレンジジュース相場の急落と年明けからの
予想外のドル堅調は相場の世界を越えて、我々に
何かを教えてくれているような気がしてならない。(了)