学校で教えてくれない経済学・・・江嵜企画代表
1月27日、国会論議のなかで小泉首相が、民主党の
島聡議員との為替談義の中で出た言葉である。
小泉首相は、「これだけ大量の国債を発行したら、
金利も上がって、円安になってもいいはずだが、
現実の経済はなかなか理論通りにはいかないと
いうことの現れだ。」と話したと日本経済新聞も
そのくだりを紹介している。
「ところが歴史的な超低金利で、これだけ
財政状況が悪いのに円安どころか円高を心配する
状況だ。」と小泉首相は答弁した。
何気ないやり取りだが、国会論戦を久しぶりに
聞く機会があり、興味深く二人がやり取りする画面を
眺めた。
2月4,5日にロンドンでG-7(財務相・中央銀行総裁
会議)が開催される。ここで久しぶりに為替問題が
討議されるとのうわさで持ちきりとなっている。
大方の論調では欧米はアジア通貨高をねらい、
矢面に立つのは人民元である。そうなれば日本円も
高くなると見られている。果してどうか。
日本ではどうしたことか円が高くなることを警戒する
気運が強い。昨年初めまでは円が高くなるときまって
巨額の介入を続けていた。それがいま急に静かである。
欧州はユーロ上昇をむしろ歓迎していた歴史がある。
自国通貨の値下がりでインフレになった苦い歴史が
特にドイツ人に強いからだろう。
ところが、このところのユーロ急騰で欧州関係者の
ユーロ高を忌避する発言が強まり、返す刀でアジア通貨、
とくにドルと固定するドル・ペッグ制度を採用している
アジア通貨に矛先を向けている。
肝心の米国は2005年度4,200億ドルの財政赤字予想を
発表した。財政赤字はイラク・アフガニスタンへの軍事介入が
継続する可能性から、財政赤字が減る可能性は低い。
ドル安が歯止めなくすすめば取り返しがつかなくなる。
そんな米国の危機感が年明け以降ブッシュ大統領の
発言に強く感じられる。それでもアジア通貨高に米国が
もろ手を上げて賛成するか。ハゲタカ為替デイーラーは
立ち木の上から虎視たんたんと舌なめずりしながら
獲物を狙っている。
為替市場は1日1.5兆ドルが飛び交う投機資金の修羅場
でもある。各国要人発言もいとも簡単に自分たちの売りや
買いの材料に利用する。
「理論通りにはいかない現実」と小泉首相は昨日
国会で述懐した。貧乏籤を常に引かされるのはいつも
国民である。
小泉首相は、「財政がいまより不健全だったら
国債は暴落する。」とも昨日答えていた。
郵政民営化が叫ばれているが、郵便貯金と簡保
合わせて運用資金の1/3は国債で占めている事実も
昨日の国会論議で紹介されていた。
利率1%の日本の国債を買うということは並みの
常識では考えられない。常識では考えられないから
日本の国債の外人比率は4%に過ぎない。
日本政府は日本の国債セールスキャンペーンに先日
欧米出かけたと報じられた。
本当に価値ある商品ならいまやIT時代である。
本来なら飛ぶように売れるだろう。ハゲタカ外国人が
日本の国債を買わないのは、彼等が日本の国債が
早晩暴落することを予見しているからだろう。
災害は忘れた頃にやってくる。
自分がいま住んでいる家は地震に堪えられるか。
当然コストが伴う。
自分の健康は当然ながら自分で守る。
それにも当然コストが伴う。
自分の財産も自分で守る。
それにも当然コストが伴う。
自分の健康はいうに及ばず、
リスクの伴うものにはコストがつきものである。
国民一人一人がまじめに自分自身の足元をいま改めて
照らして見るいい機会かもしれない。
『理論通りにいかない現実』との昨日の国会での
小泉首相の発言がむしろ不気味である。
考え過ぎだろうか。(了)
1月27日、国会論議のなかで小泉首相が、民主党の
島聡議員との為替談義の中で出た言葉である。
小泉首相は、「これだけ大量の国債を発行したら、
金利も上がって、円安になってもいいはずだが、
現実の経済はなかなか理論通りにはいかないと
いうことの現れだ。」と話したと日本経済新聞も
そのくだりを紹介している。
「ところが歴史的な超低金利で、これだけ
財政状況が悪いのに円安どころか円高を心配する
状況だ。」と小泉首相は答弁した。
何気ないやり取りだが、国会論戦を久しぶりに
聞く機会があり、興味深く二人がやり取りする画面を
眺めた。
2月4,5日にロンドンでG-7(財務相・中央銀行総裁
会議)が開催される。ここで久しぶりに為替問題が
討議されるとのうわさで持ちきりとなっている。
大方の論調では欧米はアジア通貨高をねらい、
矢面に立つのは人民元である。そうなれば日本円も
高くなると見られている。果してどうか。
日本ではどうしたことか円が高くなることを警戒する
気運が強い。昨年初めまでは円が高くなるときまって
巨額の介入を続けていた。それがいま急に静かである。
欧州はユーロ上昇をむしろ歓迎していた歴史がある。
自国通貨の値下がりでインフレになった苦い歴史が
特にドイツ人に強いからだろう。
ところが、このところのユーロ急騰で欧州関係者の
ユーロ高を忌避する発言が強まり、返す刀でアジア通貨、
とくにドルと固定するドル・ペッグ制度を採用している
アジア通貨に矛先を向けている。
肝心の米国は2005年度4,200億ドルの財政赤字予想を
発表した。財政赤字はイラク・アフガニスタンへの軍事介入が
継続する可能性から、財政赤字が減る可能性は低い。
ドル安が歯止めなくすすめば取り返しがつかなくなる。
そんな米国の危機感が年明け以降ブッシュ大統領の
発言に強く感じられる。それでもアジア通貨高に米国が
もろ手を上げて賛成するか。ハゲタカ為替デイーラーは
立ち木の上から虎視たんたんと舌なめずりしながら
獲物を狙っている。
為替市場は1日1.5兆ドルが飛び交う投機資金の修羅場
でもある。各国要人発言もいとも簡単に自分たちの売りや
買いの材料に利用する。
「理論通りにはいかない現実」と小泉首相は昨日
国会で述懐した。貧乏籤を常に引かされるのはいつも
国民である。
小泉首相は、「財政がいまより不健全だったら
国債は暴落する。」とも昨日答えていた。
郵政民営化が叫ばれているが、郵便貯金と簡保
合わせて運用資金の1/3は国債で占めている事実も
昨日の国会論議で紹介されていた。
利率1%の日本の国債を買うということは並みの
常識では考えられない。常識では考えられないから
日本の国債の外人比率は4%に過ぎない。
日本政府は日本の国債セールスキャンペーンに先日
欧米出かけたと報じられた。
本当に価値ある商品ならいまやIT時代である。
本来なら飛ぶように売れるだろう。ハゲタカ外国人が
日本の国債を買わないのは、彼等が日本の国債が
早晩暴落することを予見しているからだろう。
災害は忘れた頃にやってくる。
自分がいま住んでいる家は地震に堪えられるか。
当然コストが伴う。
自分の健康は当然ながら自分で守る。
それにも当然コストが伴う。
自分の財産も自分で守る。
それにも当然コストが伴う。
自分の健康はいうに及ばず、
リスクの伴うものにはコストがつきものである。
国民一人一人がまじめに自分自身の足元をいま改めて
照らして見るいい機会かもしれない。
『理論通りにいかない現実』との昨日の国会での
小泉首相の発言がむしろ不気味である。
考え過ぎだろうか。(了)