三宮ブティック風景
江嵜企画代表・Ken
家族の買い物につきあって、三宮三丁目にあるさるブティック店風景をスケッチした。スケッチの効用にはいろいろある。まともにご婦人の買い物にはとても付き合えない。ただ、スケッチしていると少なくともその間だけでも,気がまぎれるから楽だ。
この日の神戸は、連休の日曜日ということもあり、まるで祭りのように賑やかだった。年の暮れのルミナリエほどではないが、JR元町界隈、三宮商店街は、大袈裟でなく、ごった返していた。
自宅マンションの傍を東西に走る国道2号線も奈良や大阪ナンバ―の車が目立った。海岸近くを走る43号線は、東から西へ向かう車で、既に先週末から渋滞していた。高速道路1000円効果もあるかもしれない。
店の奥の椅子に座ってスケッチしたが、大勢の人が、路地を往来していた。当のブティックにも結構、人が入ってきた。しかし、半分以上が冷やかしと言うか、とりあえず物色するが、いざ財布を開けるかというとそうではない。おびただしい数のブティックが三宮界隈にあるから当然であろう。実際に買って帰る人は、意外に少ないこともわかった。
近くに「チビ豚まん」の愛称で親しまれている中華店がある。ここは通常の日でも結構人が多いがこの日は、行列が出来ていた。豚インフルエンザもこの店には無縁のようだ。近くにあるデパートものぞいた。ここも一杯だった。馴染みのレストランでお目当てのキ―ルを飲んだ。「店長に結構な人出ですね」、と水を向けたら、「お陰さまで」とニコニコ顔で、嬉しい返事が返ってきた。
「阪神なんば線」が3月20日に開通した。開通後初めての大型連休である。奈良方面からのお客さんも結構多いのではないかと勝手に想像した。なんばから甲子園まで20分で行ける。大阪方面からの足場が良くなった甲子園球場の昨日のナイターに4万6,440人と今朝の新聞に出ていた。
不景気だ、不景気だとマスコミは騒ぐが、昨日の神戸の賑わいを地元の新聞でさえ、1行も報道していない。人が集まる限り、なにがしかのお金を落とす。控えめに見てGDPの60%は個人消費である。ささやかでもいい。個人がお金を落とさない限り、永遠に景気は良くならない。
阪神難波線開通で神戸から奈良方面へ出かけたという声はあまり聞かない。むしろ、奈良方面、大阪方面、和歌山方面、遠くは吉野からも神戸へ出かけたという人の声をよく聞く。先日、神戸発祥のさる菓子メーカーの株主総会に出たら、「巣ごもり需要」を掘り起こしたいと社長さんが力説しておられた。
昨日、神戸の街を散策していて、季節外れだが、「啓蟄」という言葉を思い出した。神戸へひとりでも多くのひとが、観光を兼ねて買い物をしてくれると、神戸の街も元気が出るだろう。いまの日本では、口を開けば東京である。関西の地盤沈下が叫ばれてから長い月日がたった。
関西の人間は、余りにも恵まれ過ぎて、肝心要の足元の素晴らしさ、そのありがたさに、気づかないのかもしれない。大きく言えば日本全体にもいえる。日本と言う国ほど恵まれた国はない。不平不満を言い続けても問題はなにひとつ解決しない。
現実は甘くない。しかし、阪神難波線の開通が、「巣ごもり需要」掘り起こしの一つの起爆剤になれば、景気回復に間違いなくプラスになると思う次第である。(了)