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ストレステスト無視、NYダウ164ドル高、原油バレル58ドル(学校で教えてくれない経済学)

2009-05-09 10:41:20 | 経済学
 今朝のWSJ紙電子版は、トップにトヨタが、円高と世界景気悪化により、59年の歴史初の赤字で、さらに今期も赤字見通しであることを発表したと伝えていた。今期見通しについては、主力市場のアメリカ、ヨーロッパでの販売不振と、中国での小型車販売不発を指摘した。

 渡辺社長談として、欧米での販売不振と円高を赤字の理由に上げた。当面、厳しい経営環境を余儀なくされる。GMとは、情報交換とカリフォルニアでの業務提携を継続するなどと語ったと紹介している。

 日本の新聞でも、円高の影響がトヨタの決算を赤字に転落させた大きな要因としている。トヨタは、今期の円ドル相場を1ドル=95円とみている。前期が1ドル=101円だった。為替の差だけで営業利益を4500億円押し下げるそうだ。円が強いのではない。ドルが沈めば円が上がるにすぎない。ドルが沈む可能性が少しでもある限り、トヨタの今期の決算は、まだまだ油断できない。

 5月8日のNY外国為替市場では、ドルが、対ユーロで売られ、1ユーロ=1.3629ドルまで値下がりした。4月の米雇用の減少数が予測の61万減が53万9,000減にとどまった。NYダウが前日比164ドル、2%上げ、8,574ドルを記録した。安全通貨としての米ドルの相対評価が落ち、資金がドルからドル以外の通貨へ移動したとWSJ紙は為替専門家の見方を紹介していた。

 このあたりは「鳥」に聞いてみないと分かりにくいところであるが、売られるから下がる。下がるから売られるという相場の世界特有の動きである。WSJ紙は、1ユーロ=1.3740ドルの当面の心理的壁を越えれば、1ユーロ=1.4720ドルまでドルは値下がりするとの為替ディーラーの予測を紹介していた。この日、30年物米国債入札が不調に終わりドル売りを誘ったという見方もある。債券相場の値下がり(利回りは増加)は、先行き金利上昇の含みを残す。

 ユーロが買われる理由は見当たらない。そのユーロに対してドルが売られた。ドルは、対英ポンド、スイスフラン、カナダドルでも売られた。ブラジル通貨レアルに対して、1ドル=2.078レアルまでドルは値下がりした。WSJ紙によればこれは7ヶ月振りのドル安値という。

 7ヶ月前と言えば、リーマンショックでブラジル通貨のみならずルーブルなど、軒並み投げ売りされた時期である。ブラジル政府は昨年9月以降初めてのドル買い介入を実施した。日本ではアメリカのニュースは新聞はじめマスコミはこぞって取り上げる。ブラジルの出来ごとも伝えて欲しい。

 ドルは対円では、1ドル=98.52円前後で取引された。ユーロは対円で、1ユーロ=134.19円前後で取引された。トヨタは、1ドル=95円で計算して4500億円の利益を押し下げるとしている。何が言いたいのか。業績悪化の理由を為替のせいにしている限りトヨタは永遠に浮かばれない。

 一方、任天堂は5月7日、営業利益、販売利益ともに過去最高を記録したと発表した。円高は前期に限りかもしれないが、任天堂には被害を与えなかった。ただ、今期は、円高を予測している。今期の売上、利益は減るとみている。海外での携帯型ゲーム機の好調は続くが、国内では販売不振が続くためだとしている。

 米FRB(連邦準備制度理事会)は、5月7日、米19の金融機関のストレステスト(資産内容検査)を実施、そのうち10行については、バンカメ339億ドル、ウエルズファーゴ137億ドル、GMの金融部門のGMAC115億ドルなどいれて合計746億ドルが資金不足であると発表した。

 先に触れたが、ストレステスト明けの5月8日のNY株式市場は、金融株主導で値上がりした。資本増強の必要なしとされたアメリカンエキスプレス10%、JPモルガン11%値上がりしたのはわかりやすい。ところがバンカメ4.9%、ウエルズファーゴ14%、シティーグループ5.5%など資本増強を求められた金融機関もそれぞれ値上がりした。

 アメリカには6000もの銀行が存在している。今回の金融危機で30数行以上が既に倒産したと言われる。今回ストレステストの対象にならなかった地方銀行の中でも、フィフスサ―ドバンコープは11億ドル、レジョンドフィナンシャルは25億ドル資本増強を必要としている。それぞれ今朝の株価は59%、29%値上がりしたとWSJ紙は伝えている。

 株高につられて、NY原油相場はバレル58.74ドルを付け、今週だけで10%値上がりした。米国の失業率は早晩10%を超えると見られている。足元のアメリカの経済は決して良くない。逃げていた「鳥」が餌場と見て集まると、相場は上がる。「鳥」はもの知りだ。「鳥」の動きを注意深く見守りたい。(了)

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