第63回定期演奏会
画・江嵜 健一郎
大阪府立大学混声合唱団EWA COHOR,第63回定期演奏会が1月15日(土)午後3時45分からたかいし市民文化会館アプラホール大ホールで開かれ楽しみにして出かけた。
2023年に大阪市立大学と大阪府立大学は統合されるため大阪府立大学の校名での最後の演奏会となった。私ごとながら第2回定期演奏会、1961年12月の朝日会館開催を最後に卒団してから60年経つ。EWA CHOR(エヴァコール)のEWAは「永遠の」を意味するドイツ語の古語EWAにちなんでつけられたという。この先,いく世代にも様々な試練を乗り越えてエヴァコールは生き続けていくことだろう。
ここ2年、特にエヴァは厳しい試練に見舞われた。コロナ感染拡大である。さらにメンバーがソプラノ6,アルト9、テノール5,バス6合計26人と減ったことだ。ようやく2ステージに絞っての演奏会開催にこぎつけたことを会場で配布されたパンフレットで知った。
3時45分、定時に懐かしい部歌から演奏が始まった。第一ステージは混声合唱とピアノの為の「いのちの木を植える」。詩:谷川俊太郎、木下牧子、指揮:前田悠貴、客演伴奏:木下亜子。
「樹下」、「梨の木」、「木」、「木を植える」と4節に分かれた詩に曲がつけられた。「樹下」では曲は静かに進んだ。「梨の木」ではピアノの音から始まる。鳥のさえずりが聞こえてくる。第3節の「木」ではクレッシエンドに変わり、木がどんどん空に向かって突き進む感じだ。木が伐られる。削られる。刻まれる。そして塗られると詩に沿って歌声のボリームが上がった。「木を植える」で「それは智慧。それは力。生きとし生けるものを結ぶ」と力強く締めた。
インターミッションのあと第2ステージ。混声合唱組曲「月天子」詩:宮沢賢治。作曲:千原英喜。客員指揮:当間修一。客演伴奏:木下亜子。
演奏の前に指揮者の当間修一さんは「この1年、思い通りに練習が出きませんでした」と話し始めた。「1回練習を飛ばすと影響が大きい。連絡をとりながらやったが、だめでした。そんなことがなんかいも続いた。どうするとなって、第3ステージが中止になった。その時団員が選んだ曲が宮沢賢治の「月天子」だった。お互い中身が分かっている曲だった。皆がこれでいこうと決めてくれました。涙が出てきます。この詩は宮沢賢治が明日も分からぬ病床で書いた詩に曲を付けた歌です。聞いてください。ありがとうございました。」と挨拶された。
通常演奏が終わるとエントランスホールへ向かいそこで歌う。この日はステージで2曲が歌われた。歌い終わったあと部長の宇山千晴さんは「1年間エヴァを守っていきますと宣言して部長になった。コロナの影響が続きました。1年間、先生方、ご家族、関係者の皆様からのご厚情のお陰で今日を迎えることができました。ありがとうございました」と話し涙をぬぐった。大きな拍手とともに暖かい声援が飛んだ。大いに元気ももらって家路についた。
会場の様子をいつものようにスケッチした。今回はじめて色紙にもスケッチして自宅で彩色した。色紙の原画はエヴァ会報に光栄にも文と画をここ数年掲載いただいた幹事の久米秀樹さんにささやかながらお礼として郵送させていただいた。(了)
第63回定期演奏会
画・江嵜 健一郎