旧神戸市立住吉幼稚園解体工事始まる
画・江嵜 健一郎
旧神戸市立住吉幼稚園は3年ほど前に閉園になったあと隣接して
建てられた住吉保育園の園児が庭で元気に遊ぶ姿を見かけた。
その後、昨年4月にその庭の半分で弥生式時代の古墳の発掘調査が
行われた。遺跡は調査後埋め戻され,昨年年末にかけて更地になっていた。
旧幼稚園の建物は幼稚園廃園のあともそのまま残っていた。そこへ
年明け早々から本格的解体作業が入った。大きなクレーン車が2台入った。
防音の幌が建物全体に掛けられ、解体作業が始まった。瓦礫を積み
出入りするトラックが目立つようになっている。
今住む自宅マンションの5階窓からも旧幼稚園越しに左手に六甲の山、
正面には阿弥陀寺、その前を東西に走るJR東海道線を電車が往来する。
右正面はコープ神戸Livと六甲アイランド線住吉駅が入る建物が見える。
自宅マンションの住民の関心は跡地に何が建てられるかである。一番気に
なるのは見晴らしが効かなくなることである。
工事現場の入り口で車の出入り監視の係のおじさんに、そこのマンションに住む
住民だと名乗ったあとで、それとなく何が出来るのかと聞いた。「今住吉神社の
境内に格納している山車(だんじり)を入れる倉庫になる」とあっさり答えてくれた。
別の人の話ではだんじり会館が出来るとの未確認情報もある。
一息置いておじさんは「一等地でこれだけの土地はいまどき、滅多におまへんで。上に
マンション建てるんと違いまっか。」とポツリ。そのあとすぐにおじさんは「高さ制限が
あるから余り高い建物は建てられへんとおもいまっせ。表通りとは違いまっさかい。
北側の裏のお宅は陰になりますけどなあ。」と言葉を添えた。
帰宅後、記録に残しておこうと、いつものように絵心を刺激されスケッチした。
先のおじさんの話では桜の木も藤棚も撤去されるだろうとのことだった。当然非公式な話であろう。
しかし、毎年春になると爛漫と咲き誇って道行く人を楽しませてくれた桜の花が見れなくなる。
時代のながれとはいえ誠に寂しい限りである。(了)