酷い膝痛の時に使う巨鍼療法
先日、膝痛を含めて、いろいろな症状を訴えて来た方がいました。
というのは、この方はいろいろな事情があり、無理して立ち座りをしたみたいで、膝が曲がらなくなってしまったらしいのです。
膝痛の治療は、骨盤や仙腸関節、膝関節の捻れ調整などで、だいたい治まるのですが、この方の場合はそのような治療ではどうにもなりません。
仕方がないので、写真のような巨鍼をしました。
この治療法は、私が巨鍼を習ってきた直後から使っていますが、効果は抜群です。
しかし、見てもわかるように、下から上に向かって刺鍼します。
それは、「寫法(しゃほう)」と言い、エネルギーを抜くことにもなるのです。
ですから、あまり使いたくない手法です。
※鍼灸での「寫法(しゃほう)」は、伝統的な東洋医学の一つで、体内の余分な「邪気」や「病気の原因」を排除するための技法を指します。
具体的には、鍼や灸を用いて、身体の特定の経穴(ツボ)に刺激を与えることで、身体の調和を取り戻し、健康を回復させることを目指します。
寫法は、主に身体に「実証(じっしょう)」と呼ばれる状態がある場合、つまり体内に過剰なエネルギーや毒素が蓄積していると考えられるときに用いられます。
この技法は、過剰なエネルギーを外へと放出し、バランスを整えることを目的としています。
瀉法は、体内のエネルギーバランスを整えるために重要な役割を果たしており、症状や体質に応じて使い分けられます。
でも、この方のように、「膝を曲げることもできない」となると、この方法を使います。
治療効果は抜群ですので、この治療を受けた患者さんは、必ずと言っていいほど屈伸運動をして見せてくれます。
膝の痛みが取れたので、確認のためにやっていると思いますが、嬉しくてやっている可能性もあります。
他の方で、腰椎を手術した方の膝痛の治療にも使いました。
その方は寝ても膝が常に曲がった状態でしたが、その膝が伸びてきたのです。
それは私も嬉しくなって、「膝が伸びているのがわかりますかねー」とその方に聞いたぐらいです。
膝痛の治療で、これほど効果のある治療法は他にはないと考えています。
ただ、巨鍼療法を使い慣れてない鍼灸師は、「対処法」も学んだ上でやらないといけないです。
瀉法は、「エネルギーを抜く」方法でもあるからです。