昨日の古林治さん、内田卓志さんの哲学コメントにつづき、
青木里佳さんと綿貫信一さんのコメントです。
「恋の比喩、ソクラテスの優位」に対するものです。
自分の中のモンスターと向き合う 青木里佳
これを読んで感じたことです。
人間は生まれ持っているものを忘れてしまい、成長と共に外にある価値観に縛られるようになってしまう生き物。
学歴・地位・お金等、後から得るものによって思考も人生も支配されてしまう。それが全ての判断の基準になってしまう。
良い学校に入れるか?一流企業で昇格できるか?お金持ちになれるか?あるいはお金持ちと結婚してセレブ生活が送れるか?
自分が元々持っているもの(個性・才能)を育て、活かすよりも、外の価値観を身に付け、人々や社会に自分の存在を認めてもらおうと努力する。
「ありのままの自分」ではいられない状態に置かれ、強迫観念が自然と生まれる。それは人によって程度の差はあるが「人々や社会に認められないのではないか」という不安と恐怖感を糧にしてじわじわと成長していく。
気が付いた時にはその観念は巨大なモンスターと化して、自分をコントロールしている。
そのモンスターの存在を自覚し、徹底的に向き合って闘わないと一生支配され続けてしまう。
ちなみにソクラテスによる哲学者(恋知者)の定義は、「知恵を求め、美を愛し、音楽(詩)を好み、恋に生きるエロースの人」(プラトン著「パイドロス」)なのです。
(タケセン)
これは本来の豊かな生き方を示しているが、現代はこの生き方・考え方から随分離れてしまっている。
生まれた時からこの生き方を知らず、教えてくれず、外の価値観で固まってしまった環境に放り込まれる。
現代の人々が恋知者のように生きることができれば、とても豊かで充実した人生を送れるのではないかと思います。
1人でも多く恋知を実践し、それが広がっていけば世の中少しはマシになると思います。
まずは自分の中にいるモンスターと向き合ってみませんか?
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源は想像力ー不毛な修行に過ぎない「哲学」 綿貫信一
初めて「ソクラテスの弁明」を読んだ時、従来イメージしていた哲学書(論文)とは全く違うものだと感じました。ガチガチの論理言語とは程遠いものの、内容の分かりやすさ、深さ、面白さ…は抜群です。
豊富なイメージを喚起するには、文学的とも言える「比喩・たとえ話し」が必要です。これらを非論理的なものとして排除する従来の哲学書は、ストイックなだけで、不毛な修行に過ぎないのではないかとすら思えます。
それともう一つ、(「豊富な比喩を用いた」)「問答的対話」と言う点も恋知にとってとても重要だと思います。書き言葉ではなく、話し言葉。
人間の創造性の源は想像力だと思います。
想像力を喚起するために、比喩・たとえ話、対話。まさに恋知にとってとても大切なことだと思います。