思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、31番、32番 ゼルキンに深く感動 (1987年84歳のライブ)

2015-02-28 | 芸術

 ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第30番、31番、32番

ルドルフ・ゼルキン(1903年~1991年)

 

1987年のウィーンでのライブです。
評する言葉が空しくなるほどの超絶的名演です。
あまたの演奏が霞んでしまいます。
今まで聴かなかったのが悔やまれます。
ベートーヴェンの到達点の深さが身に染みて分かります。
慈愛に溢れる心の内からの音楽が、輝かしく透明な音で強靭に提示される様には、不覚にも涙してしまいました。
ああ、なんと84歳のゼルキン!!


☆追記
ただし、ゼルキンの演奏は、一音一音の意味を繋ぐような充実の運びで、テンポが遅く、ミスタッチもありますから、ファーストチョイスには向きません。
 

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防衛省が「お茶の間」に米軍と自衛隊とオスプレイ。国民馴致=戦争準備です。 新たな市民による憲法を!

2015-02-26 | 社会批評

自衛隊が、アメリカ海兵隊と合同訓練。
アメリカ西海岸で、水陸両用の装甲車で上陸訓練、
それに、実戦で傷ついた兵士を運ぶ訓練ーオスプレイが活躍、
というニュースが、
お昼の茶の間に流されていました。...
NHKですが、防衛省が意図して大々的に公開したものです。

自衛隊員の「訓練よかった!実戦に役立つ!」というインタビューなどもあり、いよいよ国民を戦争に慣らす準備のようです。戦後70年も戦争をしなかったので、さて、戦争も当然!のわが日本国へ、というわけでしょう。

武器製造会社の株もあがるでしょう。戦争屋さんがあちこちに出てきます。そいうい日本に安倍晋三とそれを取り巻く国会議員たちがするのです。とんでもな~~い人たちですね、わたし(あなた)の税金で雇っている首相などの公人が、他人のケンカを買って出るぞ!と意気軒高。

「集団的自衛権」の行使で、もうすぐ英米などと一緒に中東で軍事作戦しようと、ウズウズ、カッカ!

国民は望んでいなくとも、安倍の戦略通りに事は進みます。まあ、一般国民はずぐに慣れて、軍事力行使は当たり前になるでしょう。あっという間に「平和主義」は壊されます。安倍自民党軍団は、そこのけそこのけ、政府が通る!!と、狂気の凶器の狂喜の行進です。

主権在民の民主政など関係ない、官府が決めることに従うのが国民、というわけですね。集団的自衛権の行使には反対者が賛成者の2倍もいるのにです。なに?市民が主権者だと、それはね、お題目だよ、そんなことも分からんのかーーーー

主権者=納税者の「一般意思」に従う政治、そんなの関係ない!関係ない!主権は、安倍首相にある、それが現実なのさ。NHKもみな従ってるでしょ、民放もしかり。まあ、TBSとテレ朝は多少は逆うが、もうじき変えてしまうからね~~~ぼくちゃん、お金も人脈もあるから、みんななびくんだよね~~~~、いひひ。

やれやれ、なんとかに付ける薬はない。

わたしたちは、夜郎自大ー愚かで危険な権力者たちの行為と粘り強く闘い、臨機応変・当意即妙の言葉と行為で、ひっくり返しましょう!!!創意工夫じゃ。
明治維新から威張り続ける【国権派】(主に長州閥)を元から絶つために、
ネットの力で、最強の市民力を育て、【民権派】が中心になるのです。【市民の合力】を思い知らせてやりましょう~~~~~~~~。

これから、いよいよ、ほんとうの民主政をつくるぞ!! 主権在民ー皇室の民主化と皇族の人権回復ー平和主義(専守防衛に徹する)を柱に、新しい市民憲法をつくり、新たな日本をつくるのです。みなさん、ぜひ共に。


武田康弘

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自民党元幹部たちが口を揃えて、安倍首相はウヨク、と危険性を指摘。

2015-02-25 | 社会批評

昨日の講演で、元衆院議長で自民党の元総裁の河野洋平さんが、安倍首相を保守ではなくウヨクだと言いましたが、
元自民党幹事長の古賀さんと野中さんも先週のテレビで同じことを言い、危険性に警鐘を鳴らしていましたし、タカ派右寄りの代名詞のような中曽根元首相でさえ、安倍首相は危険だと言います。戦前に戻ってしまうと。

  

保守政党の自民党からさえ口を揃えて危険だと言われる首相とは何なのでしょうか?
これじゃ、日本はお終いになってしまいますね。保守とウヨクしかない異常国家!?

いやいや、われわれ公共的良識人=優れたリベラルがいますから皆でなんとかしましょう~~~
安倍を批判しないマスコミや、また、一般人もそうですが、「悪魔に魂を売った者」というほかないでしょう。
なお、「権力を批判しない者は悪魔に魂を売った者だ」とは、ドイツの文学者にして枢密顧問官だったゲーテの言葉です。

武田康弘

 

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「オウム・20年目の真実」 と 「戦前の天皇教」と。

2015-02-22 | 社会批評

 昨晩、白樺の「大学クラス」を終えて、近くの温泉に行きましたが、そこで「オウム・20年目の真実」(テレビ朝日)という番組の一部を見ました。ちょうど、元幹部の上祐(情宣担当者)ともう一人、核爆弾の開発(失敗)を担当してたという人へのインタビューを見たのです。

 彼らは、サリンによる無差別殺人を麻原に指示されたが、それを止めるという心=考えは持てなかった、と言います。ハルマゲドン(人類の滅亡と救済)という思想があり、その思想から導かれる種々の行為は「よい」ことだと思っていたそうです。

 生きた神である麻原の教えが精神的な絶対の拠り所となっていた為に、教祖を「批判する思考」は存在しなかったとのことです。

 ここで、明治以降の戦前の歴史を振り返りましょう。

 生きた神、現人神(あらひとがみ・あきつみかみ)という思想は、戦前のわが国を覆い、小学校・国民学校から全国民に徹底された考え方です。「国体思想」と呼ばれます。

 唯一の神=神はただ一人である、という一神教の思想は、人々を一つにし、強力な国家をつくる上に欠かせないと判断した伊藤博文が中心となってつくった明治の新宗教がこの「天皇教」でした。伊藤らは、長州藩の金を横領して、イギリスに渡ったわけですが、そこでは、キリスト教原理主義=ピューリタン思想に基づき、民主政と資本主義が行われていて、それが生みだす巨大な文明に圧倒された伊藤らは、日本の近代化には強い宗教が必要だと痛感したのでした。

 この天皇が統治する日本というお話=「物語」を教育により全国民に徹底させたのが、近代日本です。一人ひとりのありのままの心ではなく、忠君愛国(天皇と皇室を敬い、従い、皇国の日本を愛する)という心をつくりあげることが何よりも大切にされました。

 そこでは、「批判する思考」は育たず、「目上の人に従うだけの」子どもがつくられました。麻原のオウム教とまったく同じ構図です。違うのは、戦前の日本は、政府=国家をあげて行ったということでしょう。全国民の教化でした。

 そういう教育、生きている一人の男性を神だとする思想(もちろん、いまの明仁天皇は、そのような思想を明確に否定し、現日本国憲法を尊重すると述べています)に基づく教育を、日本の政府(安倍首相の祖父、岸信介など)は、文部省と共に強力に推し進めました。これは「単純な歴史の事実」ですが、それへの反省がないまま、また、「愛国心を育てる道徳教育」を始めるというのですから、その愚かさに呆れ返ります。

 第二次大戦直前のアメリカの映画ー『日本を知れ』の中では、日本の学校や職場を紹介していますが、そこにナレーションが入ります「このように、日本には道徳は存在しない、ただ目上の人に従うだけである」と。修身と呼ばれた日本の道徳教育は、目上の人に従うだけの人間をつくり、「私」の判断能力(個人の自由と責任)を育てない=ゆえに道徳は存在しない、と評されていますが、いまなお、道徳を修身というレベルでしか理解できない文科省の官僚やウヨク政治家が跋扈するわが日本という国の次元の低さには言葉もありません。

 戦後の日本は、「現人神」という精神的支柱を失ったことで、ほんらいは、 「私」の自由・責任・自己判断能力を育てる広義のフィロソフィー(哲学・恋知)が何よりも必要とされたのですが、それには無頓着でした。ただ、「事実学」をため込むだけの学問や「受験秀才」の育成に邁進し、「意味論・本質論」はなく、人間とはなにか、人はいかに生きるべきか、わたしはどのような人生を歩むか、という何よりも大切な問いを封印しました。

 「東大病」という精神の病、「東大教」という宗教が知らぬ間に人々の心と頭を支配してきました。【世俗の価値】以外の価値を知らない薄ぺらな人生を歩む人々は、心を深く病んでいます。精神的な絶対の拠り所を求めて、オウム教の変種・亜種が後をたたないのは、当然です。

 個々人の心=精神の問題と、日本という社会の問題は、深くリンクしているようです。
  ☆ 「恋知とはなにか」をぜひご覧ください。

  武田康弘

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 泥憲和著【日本政府による従軍慰安婦問題】ーー英語版(三枝恭子訳)が完成。

2015-02-20 | 書評

このblogで昨年8月に、正鵠を射る 〈泥 憲和さんによる従軍慰安婦問題の論文〉を、「どなたか英訳して下さりませんか?」と呼びかけたところ、米コロラド州在住の言語学者である三枝恭子さんが名乗りをあげてくださいました。

昨年12月に一時帰国された際、三枝さんは、我孫子の拙宅と白樺教育館を訪ねられて楽しい時を共有しましたが、昨日、彼女の労作を白樺教育館ホームページにアップしました(アップは古林治)。

いま日本は、世界良心のシンボル=言語学者のチョムスキー氏も警鐘を鳴らす通り、ウルトラナショナリスト安倍首相の言動により、平和主義は風前の灯火です。
安倍首相に対しては、元の自民党幹事長たちも口をそろえて「保守ではなくウヨクである」と言いますが、戦前の国体思想を反省しない安倍首相の登場以来、ウヨク排外主義者たちが勢いずき、戦争責任(とりわけアジア近隣諸国に対する)を曖昧にしたり、ヒドイ嘘の言説が巷にあふれるようになりました。

とくに「従軍慰安婦問題」は、著しい女性の人権侵害問題ですが、その本質をうやむやにする恥知らずな言説がわが国を覆っています。その中で安倍首相をはじめウヨクの嘘と誤魔化しを完膚なきまでに批判して真実を明らかにした泥憲和さん(防空ミサイル部隊所属の元自衛官で平和運動家・昨日のblogをご参照下さい)の論文は、日本の民間人の良心を現したもので、極めて高く評価されるべきものです。

その論文の英訳完成により、国連をはじめ、世界の多くの人々が論文が読むことが可能となりました。同じ敗戦国のドイツは、政府・国をあげて戦争反省を徹底して行って来た為に却って尊敬を集めるまでになりましたが、日本では、戦前の権力者とその子孫たちの保守主義により、今なお、大日本帝国への郷愁が残るというテイタラクです。実に愚かで恥ずかしいことと言わねばなりません。日本は政府は三流ですが、志ある民間人には大変優れた人が大勢います(民高官低)。日本の名もなき民間人の驚くべき次元の高さを世界に示すのが、泥憲和さんの論文です。

世界に尊敬されるのは、過去の過ちに真正面から向き合い、深く反省する気高い精神をもつことです。夜郎自大の醜さは、軽蔑を招くだけのこと。


武田康弘

 

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一本調子な安倍総理、挑発だけで外交できず 「外に律儀で国民には二枚舌というのは逆」 泥憲和さん談

2015-02-18 | 社会批評

  以下は、テロや外交や軍事などの問題で、いま一番強い説得力をもつ泥 憲和さんのFbhttps://www.facebook.com/norikadzu.doroからです。コメント欄から一部を抜粋したものですが、人質問題への安倍総理の対応についての簡潔な結語です。政府関係者や外務官僚、国会議員の方もよくお読みください。

 

Atsufumi 

うーん。今回の件で日本はテロには非常に弱い事が露呈しました。
なのでテロ対策を強化していこう、人質を奪還する訓練もしていこうという議論はそんなにおかしな事ではないと思います。
人質奪還はむずかしいしアメリカでも失敗するなどの理由はあるでしょう。じゃあ今後、同胞が人質になったときにまた他国に任せるのですか?それこそ笑い者です。
それに何の罪もない日本国民が殺されて『テロリストを許さない。罪を償わせる』ということが何故、批判をされるのか理解出来ません
安部総理は当たり前のことを言っただけに過ぎないと思います。

 

泥 憲和

Atsufumi さん テロに強い国なんかありません。テロ組織ISに国民を拉致された国は10ヵ国を超えます。そのうち、国民を殺された国は、アラブ諸国を除けば米国、英国、ロシア、日本の4ヵ国だけです。米英は武力行使の当事国です。ロシア人の人質はスパイでした。武力行使や武力支援をしている国でも、フランスやドイツは交渉で人質を取り戻しているのです。武力行使をしておらず、人道支援しかしていないのに殺されたのは日本だけです。安倍総理の馬鹿な挑発が原因です。日本はテロに弱いのではなく、最もバカな外交をして、しかも交渉が下手だったのです。

 

Atsufumi 

泥さん、いつも丁寧な説明ありがとうございます(^^)
でもやはり原因はお金を払う意思を示さなかったからだと思うのですよ
安部総理発言はまあ利用はされたかなぁ.........
それにフランス、ドイツ、スペインなどは身代金を払ったとNYタイムズに書いてあったように思います。
まあ今朝もエジプト人21人斬首したニュースもありましたし、信用の出来る相手ではないので我々の物差しでは計れないから難しいんですよね。

 

泥 憲和

Atsufumi さん 世界はなかなかしたたかです。安倍総理みたいに一本調子ではダメです。外に律儀で国民に二枚舌というのは逆ですよ。 

【アメリカ政府の二枚舌の検証】

 人質交換に関する米国政府の言い分が正しいのかどうなのか、それは問わないが、それとは別に、米国政府が日本政府に求めている原則的態度を、米国自身が守っていないのは明らかだ。

◆米国 テロリストに身代金を支払ってはならない!
.
 米国は身代金を支払って解放させた実績がある。
  2001年、宣教師であるアメリカ人夫妻、マーティンとグラシアバーナムがフィリピンのテロリスト・アブサヤフに誘拐された時、ブッシュ政権は身代金の支払いと引換に解放させた。
  支払ったのは100万ドルと推定されている。
  この行為がテロリストの身代金相場を高騰させたと、米国内で批判されている。

 昨年、米海兵隊員ボウ·バーグダールをタリバンから取り戻した時にも、オバマ政権は人質解放と引換に、グァンタナモに収監しているタリバン捕虜の解放に加えて、金額不明の身代金を支払った証拠があると共和党が攻撃している。[1]
 .

◆米国 人質交換に応じてはならない!.

 上記のとおり、米国は海兵隊員を解放させるために人質交換に応じている。
.

◆米国 わが国が応じたのは戦争捕虜の交換であり、国際法上の合法行為である。

 米国はタリバン兵を国際法で交戦資格を有する正規兵・義勇兵と認めず、したがって捕虜ではなくただの犯罪者であると定義づけ、正規の軍法会議にかけないまま長期拘留している。
  都合によって捕虜扱いしたり犯罪者扱いするのは二枚舌である。
.

◆米国 テロリストや犯罪者を解放してはならない!

 今年1月25日、米政府が14年間拘束していたカタール人アルカイダ要員を釈放した(写真)。
  米政府はその理由を公開していないが、カタールで養女不審死に関与した容疑で拘束中の米国人夫婦を解放させるためだと言われている。[2]
 犯罪者を釈放させるためにテロリストを解放するのは、どんな理屈をつけても言語道断だろう。

.
 [1]https://www.google.co.jp/url
 
[2] http://theconservativetreehouse.com//they-hope-he-changed/
http://www.washingtonpost.com//0ada86ec-a0d0-11e4-9f89-561

 

※泥さんの原点、集団的自衛権についての名演説は、現在までに22万件の「いいね!」ー共感を呼んでいます。

※また、この演説がきっかけになり誕生した「安倍首相から日本を取り戻せ」は、必読本です。

 

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辺野古への移設は、普天間の代替ではなく、基地の大幅拡張と永久使用ーー今日の志位共産党委員長の代表質問

2015-02-17 | 社会批評

  今日の共産党の志位委員長の代表質問は、普天間の辺野古への移設は、移設ではなく、米軍基地の大幅な拡張であり、その永久使用=耐用年数200年という工事であることを暴いていましたが、安倍首相は、質問内容にはまったく答えませんでした。
  沖縄は、独立して琉球に戻らない限り、永遠に巨大な米軍の基地の島であり続けるわけです。日本が市民主権の独立した民主政国家にならない限りは。

   (昨日に続き、口パクで原稿を読む練習をする安倍首相・クリックで拡大)

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21世紀の世界の良心・言語学者のチョムスキーがウルトラナショナリスト安倍首相を強く批判。非常に危険。

2015-02-17 | 社会思想

 

  生成文法や言語生得説で著名な言語学者のノーム・チョムスキー氏は、アメリカという一国家を超えた「世界の良心」と呼ばれる存在ですが、

彼は、現在の日本の危うさをもたらしている「ウルトラナショナリストの安倍晋三を強く批判しています。

 

  2分50秒に凝縮された〈行動し発言する碩学〉の言葉をぜひお聴きください。
2014年5月19日にイギリスの王立国際問題研究所 (Royal Institute of International Affairs)で行われた講演『アメリカ外交政策の再考 (Rethinking US Foreign Policy)』からの抜粋です。
https://www.youtube.com/watch?v=wbUqrajckxs#t=17

 

 

 以下に、書き起こした文章も貼り付けます。(書き起こしの労を担われたのは、setsuo fujiwaraさんです。改行と太字は武田)

 

「日本は現在、ある種のウルトラナショナリストの首相とその政権が支配しているわけですが
この人物は明らかに、9条ー憲法の平和主義条項を切り捨てようとしているわけですが、私は最悪だと思います。

アジアの人々たちは、まだいくらか日本帝国主義についての記憶が残っているわけです。

それからもう一つ、日本では長い間、自国のアジアにおける戦争犯罪を過小評価しようという試みがなされています。
歴史家の家永三郎氏はそうした中で、最低限の事実を歴史教科書に含めようと闘い、いくらかの進歩があったのですが、それがまた後退してしまいました。
たとえば南京虐殺否定論であるとか、そんなような類です。

ちなみに、この土台はアメリカによって作られたのです。戦後、アメリカは単独で日本を占領しました。
本来ならば全ての戦争関係国を含む極東委員会による統治であったはずでした。アメリカはそれを全部追い出して単独で勝手に占領支配したのです。
それから対日講和条約として、1951年にサンフランシスコ講和条約が結ばれました。

この講和条約は日本の戦争犯罪を告発していますが、良く見て下さい。

その戦争犯罪とは1941年12月7日(真珠湾攻撃)からのものなのです。それ以前に行われた10年間の恐ろしい犯罪は一切考慮されないのです。
なぜですか。結局、それはアジア人に対する犯罪だったからです。ジョージ・オーウェルの言葉を借りれば「非民(unpeople)」というわけです。1941年12月7日(真珠湾)は違いました。それは「人間」に対する犯罪だったからです。

この講和条約の内容はあまりに恥知らずなものであり、当時のアジア独立国は会議出席も拒んだほどでした。インドも拒否しました。セイロンは当時イギリス植民地であったため出席しなければならず、フィリピンは義務的に出席せねばなりませんでしたが。しかし独立していたアジア諸国は出席を拒否しています。そして、それが土台になっているわけです。

さらに言うと、1947年の有名な「逆コース」によってアメリカは実質的に戦前の日本の体制を復古させ、社会に存在していた民主的な要素を壊していきます。

それが日本はこういった復古的政策を維持し続けることができるようになった基盤になってしまったのです。私はこれは物凄く悪いことであると思います。
それは別に中国が今やっていることを褒めるということではありませんし、ベトナム等に対して中国が現在行っていることなど本当に酷いものだと思いますが、それは別の話です。日本が平和主義憲法を捨てるということについて、私は非常に危険なことだと思います。」

 

 (注)1947年の「逆コース」とは、民間人(高野岩三郎・鈴木安蔵ら)による憲法案を基に「日本国憲法」案をつくったアメリカ民生局の民主主義派から、タカ派のトルーマン大統領の国家主義派(日本を対ソビエトの防波堤にする)への転換のことを言います。占領からわずか2年もたたずしての急旋回は、その後のさまざまな矛盾の原因となり、戦前の日本権力者たちの復古的な保守主義を再興しました。A級戦犯の安倍の祖父(岸信介)が戦後に総理大臣になることができたのも、いま安倍首相が強権をふるえるのも、「逆コース」ゆえです。(武田康弘)

 

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岡田氏の代表質問は、聴きごたえ十分。安倍首相の珍答弁まで引き出した岡田氏の圧勝と言えます。

2015-02-16 | 社会批評

今日の民主党岡田党首の代表質問は、内容が充実し、気力も十分で、聴きごたえがありました。

岡田代表の、「集団的自衛権」への踏み込んだ批判、海外派兵の具体的事例あげるべし、との質問は、安倍首相の「ホルムズ海峡の有事に出す」という返答を引き出し、
また、経済格差拡大の追求に対しては、「格差はひろがっていない」という首相の珍答弁を引き出すという成果もあげました。

総じて、戦後の「立憲民主主義」の遺産を継ぐ岡田代表の質問は、明晰で充実した内容でした。民主党として政権を担当した経験が、観念的批判とは異なる内容豊かな批判となり、
安倍首相は、岡田氏の踏み込んだ質問の大部分には答えられず、官僚の作文を読み上げるだけ、上滑りな美辞麗句の羅列という事態となり、岡田氏圧勝の代表質問となりました。

なお、安倍首相は、岡田氏の質問の間ずっと原稿読み上げの練習を口パクでしていて、滑稽。読み方・言い方の稽古に精を出すのは、学生時代でしょ(笑・呆れ)。

実力を上げた岡田氏の今後におおいに期待がもてそうです。委員会や党首討論が楽しみです。


武田康弘

 

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2月の2週間で37万人の訪問者、とても感謝です。メールの返信ができず申し訳ありません。

2015-02-15 | 社会批評

2月1日から14日までの2週間で、37万人(59万件)の方に訪問していただきました。とても感謝です。

数えきれないほど大勢の方にツィートして頂いていますが、お返事ができません。申し訳ありません。

アナクロニズムの異常な政治を正し豊かな市民生活とよろこびの多い実存を生きるためにわたしたち市民は共同しましょう。

海外に自衛隊を出したいーゆがんだ欲望につかれた政治家から日本を取り戻したいと思います。

「徳」も「得」もない愚かな行為に血道をあげる安倍政権は、諸悪の源泉であり、わたしたち「公共的良識人」の敵といえます。

 

武田康弘 (フィロソファー・ 元 参議院行政監視委員会調査室 客員調査員 哲学講師)



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私が一番多く聴いてきたピアノ曲は、ベートーヴェン「ディアベリ変奏曲」(ポリーニ)

2015-02-14 | 芸術

 

 


  おそらく、わたしが今まで一番多く聴いてきたピアノ曲は、小曲を除けば、ベートーヴェンの「ディアベリの主題による変奏曲」です。

 
 
演奏は、マウリツィオ・ポリーニ。どういうわけか、この曲はこれにつきるのです。というよりも、この演奏に出会って、この曲に開眼したというのがほんとうです。

 

 実は、わたしはポリーニはあまり好きなピアニストではありません。ベートーヴェンのソナタも一般には評判ですが、わたしには少しも面白く感じられません。固いのです。若い時の高評価の演奏も超絶技巧ですが、豊かな広がりがなく、音楽の悦びに乏しいのです。

 

 ところが、比較のために聴いたこの「ディアベリの主題による変奏曲」にはドップリはまりました。なぜでしょうか。発売から15年近くたちますが、いつ聴いても面白く、少しも飽きません。一時は、毎朝起きるとかけていました。CDなので「かけて」というのは変ですが。

 

 わたしは、変奏曲が好きで、ベートーヴェンに限っても、トルコ行進曲によるもの、エロイカの主題によるものなど昔(大昔)よく聴きました。リヒテルの演奏を、LPで聴いていたのですが、CD化されてすぐ買い、その後音質のよいゴールドCDも買い、という具合です。

 ただし、同じベートーヴェン変奏曲でも、この「ディアベリの主題による変奏曲」は、リヒテルの演奏は面白味がなく、聴き通すのが難儀ですらありました。

 

 それが、情緒音痴?のようなポリーニの演奏がなぜか、すばらしく面白いのです。最初に聴いた時、えっ、この曲、こんなに面白くていいの?と思ったくらいです。いや~、不思議、摩訶不思議。

 

  知情意のバランスが完璧で、そして、なんとも色っぽいほどの美しさ! 師のミケランジェリゆずりの輝かしく明るい音色は聴く者を強く惹きつけます。

ポリーニが弾きながら歌う声も入っています。ああ、そうか、彼はとても知的だが、オペラの国のイタリア人、この長大な難曲(50分もかかる)を前にして、余るほどの知性と技巧はようやく所を得て、よろこびが自然と声に出た、のかな?と勝手に思っています。

 

とてもお勧めです。


武田康弘

 

 

 

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テロは戦争により拡大する。「イラク人殺害を楽しむ米兵たち」 NHK BS1

2015-02-13 | 社会批評

 
  (マニング上等兵)

 2011年7月9日にHHK BS1で放映された『マニング上等兵の戦争~米「機密漏えい事件の衝撃』では、アフガニスタンやイラクで「楽しみのために市民を殺す」米兵たちの姿が紹介されています。

  アメリカ兵たちが自分のビデオで市民を殺害する場面を撮っています。

  映画のように「はい、カット」と言いながら、バイクで走る若者に何十発も打ち込む場面を撮り、殺した後で写真も写します。
 
また、銃を連続で打ち、さんざん逃げ惑わせた上で殺す様子。弾を命中させた瞬間には、「ナイス・ショット」というナレーションを入れています。

  アメリカ軍にとって都合の悪いこれらの情報を漏洩したマニング上等兵はイラクで逮捕され、終身刑ではないかと言われますが(その後2013年に35年の禁固刑が確定)、彼を励ますアメリカの市民たちの集会の模様も紹介されています。「I AM BRADLEY MANNIHG」(わたしは、マニング)というプラカードを掲げて。

 
 「TF373」という暗殺を任務とするアメリカの特殊部隊についても説明していました。テロリストを殺すことが任務です。
 リスト(2000名以上)に載るある人物を殺害するために教会にロケット弾を撃ち込み、子どもを含む市民を殺しました。誤爆ではなく、意図的です。この作戦は失敗で、市民だけが殺されました。

  元は、アメリカが対ソビエトのためにつくった「アルカイダ」のトップ、オサマビン・ラディンを殺害したのもこの「TF373」です。

 「対テロ戦争」ー正義の戦いだ と言います。
  テロは、アメリカの過去の戦争が生みだしたものですが、アメリカ政府や軍は、反省するどころか、ますます、対テロ戦争ーテロには屈しない、と声高に叫びます。

  わが国でも、安倍首相は、無思慮、無分別の言動で、アメリカの「正義の戦い」と歩調を合わせます。いったいどこまで愚かなのか。
安部晋三よ、子どもじみた強がりはやめなさい。少しは成長したらどうですか!



武田康弘(元「参議院行政監視委員会調査室」客員調査員 哲学講師)

 

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自著でアケスケに語る安倍首相ー『明治憲法』の肯定=天皇制への回帰

2015-02-12 | 学芸


 わたしは、安倍首相の『美しい国へ』が刊行された2006年から繰り返しその異様な思想ついて書いてきましたが、この本はきちんと読まれていないためか、民主政とは背反する驚くべき安倍イズムについては批判されていません。恐ろしく危険なことです。以下は、核心部分ですので、ぜひご熟読をお願いします。

 

  安倍首相が自著でアケスケに語る「明治憲法」の肯定ー天皇制への回帰


 人は、生まれた国や地域などにより、表層は異なりますが、深層は共通です。それは言葉の違いと同じです。
生まれた地域や国により言語は異なりますが、「言語という共通の世界」は、国や地域の違いに関係なく、先天的にもっているわけです。
「違い」は表層的で、深層では「共通」です。それゆえに個々の文化の違いを超えた共通認識が可能です。


 ここに力点を置かない限り、人間世界の平和的発展は築けないのですが、安倍首相の『美しい国へ』(及び改定版の『新しい国へ』)では、「人間」という概念が、「国民」という概念の下に位置づけられ、「リベラル」「個人」「地球市民」という言葉=概念にひどい嫌悪感が表明されています。「ののしって」いると言った方が適切でしょう。

 かわりに宣揚されているのが、日本人という自覚、ナショナリズム=愛国心ですが、その意味は、以下の通りです。 『美しい国へ』の101~102ページ(改訂版の『新しい国へ』2013年1月では、105=106ページ)

 日本の歴史は、天皇を縦糸にして織られてきた長大なタペストリーだ。日本の国柄をあらわす根幹が天皇制である。 
 
憲法第一条では、天皇についてつぎのように規定されている。
「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く」
  GHQ(連合国軍総司令部)から憲法の改正草案が日本側に手渡されたのは、1946年の2月13日。それは、2月8日に政府がGHQに提出した改正要綱にたいする拒否の回答と同時であった。
 政府は、「日本は歴史はじまって以来、天皇によって統治されてきたので、いまさら共和国にするとか大統領を元首にするとかという案は国民が許さない」として、天皇が統治権を総攬・行使するという明治憲法の基本を引き継ごうとした。しかし、GHQはそれを許さなかった。
 両者の間には激しい攻防があったが、結局「GHQ案をのまないと天皇制そのものが存続できなくなる」という危機感から、象徴天皇制を受け入れることにしたのであった。」

 ここにアケスケに表明されている安倍首相の思想は、到底、民主政とは相いれないのものですが、この国体思想への回帰という安倍イズムが、日々、強烈な国家主義の政策を生み出してる源泉なのです。ただし、現天皇の明仁さんや皇后の美智子さんは、安倍首相のいう「天皇を頂く国体」という考えには明確に反対を表明しています。明仁天皇vs安倍首相という構図です。

 日本は、再び、戦前思想=国体思想=靖国思想へ!それでいいはずはありません。
 主権在民、市民が主役の自治政治への転換は、500年以上前の惣村、自治都市、一向宗自治区への回帰でもあり、日本の民衆の伝統です。わたしたち市民は、旧支配階級(A級戦犯とその子孫たちー明治の長州藩の末裔)のアナクロニズムと決別しなければなりません。
 直接民主制は、古代ギリシアのみならず、中世日本の伝統でもあるのです。わたしたちは、誇り高い「市民精神」=豊かな人間性をもつ自立した市民の共同体をつくりましょう。みなさま、ぜひ共に!


 武田康弘(元「参議院行政監視委員会調査室」客員調査員 哲学講師)

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今日は、「恋知の会」 。 自民党が、紀元節の復活を目論んだ「建国記念日」です。

2015-02-11 | 学芸

今日は、2月11日、自民党が戦前の紀元節を目論んだ「建国記念日」です。
この記念すべき日!?の 午後1時30分から「恋知の会」をします。

いつも通り、『白樺教育館』で、午後1時開場
飛び入りの方も歓迎です(授業料は2000円)。

どうして安倍首相が独走できる日本になったのか?」ーそれを哲学します。

白樺派、志賀直哉の朝日新聞への投書は、さすがに「小説の神様」の文章ですが(生原稿のコピーをお見せします)、一度ならず敗退した2月11の建国記念日を佐藤栄作首相は、執念で実現しました。これが今日の安倍イズムと同じ「国体思想」による行為です(安倍晋三の祖父・岸の実弟が佐藤)。安倍自民党の思想とは、わたしたち日本人の恥部と言えます。

みなで深い理解=了解をつくります。


以下は、二年前の2月11日に書いたものです。


「恋知」第一章 の (2) です。

(2) 「建国!?記念日」に  

   幕末にはじめて黒船を間近に見た日本人は、西洋文明の高さに驚愕あるいは感動したと言われますが、このショックは、欧米の進んだ文明がどこからくるのかを考えさせました。

   伊藤博文は憲法を研究するためにヨーロッパに行き、宗教がなければ憲法をつくっても意味がないことを知りますが、わが国にはキリスト教のような強い宗教=一神教がないので、その代わりとして、幕末に武士たちが心酔した尊王思想(日本は神国であり天皇は現人神)を用い、皇室を利用して天皇を神とする新宗教をつくることを思いつきます。
   「憲法を制定するにあたっては基軸を定めなければならず、それはヨーロッパでは宗教であるが、日本では基軸となるべき宗教がない。わが国において基軸とすべきは独り皇室あるのみ。」と伊藤博文は1888年(明治21年)に枢密院で演説しています。翌年には、「将来、いかなる事変に遭遇するも天皇は、上元首の位を保ち、決して主権は民衆に移らない。」と府県会の議長たちに説示しました。
   彼は、神の前の平等という欧米の民主主義に倣って、天皇の前の平等という日本的民主主義をつくったのですが、尊王思想をバックボーンとした「天皇教」を創作したことで、日本はアジアで唯一の資本主義国となり、天皇の恩寵(おんちょう・上からの恵み)として一定の民主化にも成功しました。

伊藤博文
伊藤博文・明治天皇所持の写真

  このように日本の近代化は、キリスト教思想のかわりに天皇教思想を用いて遂行されました。憲法制定による人権と民主主義の政治と資本主義経済という『近代化』には強い宗教が不可欠であることを見抜いた伊藤博文の慧眼が、わが国を歴史上例をみないスピードで近代国家へと押し上げたと言えるでしょう。しかし、天皇教思想はまた、戦争や植民地政策の正当化と、わたしたち日本人に世界にも稀な「精神の負債」(哲学の貧困)をつくり出し、現在に至るも個人の生の輝きを奪う「不幸」を生み続けています。

  明治前半期までは国民の過半数の支持を得ていた自由民権運動は、伊藤博文、山県有朋(やまがたありとも)、桂太郎らにより明治天皇を中核とする保守政治の敵とされ、「民権運動の息の根を止める」という根絶やし戦略により潰されました。個々人の自立、一人ひとりのかけがえのない人生という考え方は後景に追いやられ、「公=天皇=国家」のためを当然とする国体思想で全国民は一つにされたのです。その意味では天皇教とは竹内芳郎(よしろう)さんの言う通り、日本的集団同調主義の別名だと考えられます。

捕虜の首を切る皇軍兵士
皇軍将校がオーストラリアの
     飛行士を切る瞬間
ー日本兵撮影・ライフ社所有

  このような考え方は、今日の保守政治家にも引き継がれています。もし太平洋戦争による敗北がなければ、天皇教者たちによる保守政治は今日までそのまま続いていたわけですが、現代の保守主義をかかげる政治家も思想の本質は同じで【国体思想】(多様な人々の自由対話によりつくられる政治=社会契約に基づく近代民主主義を嫌い、天皇制を中心とする日本というあるべき姿の枠内に個々人を位置付かせるという国家主義。従ってその枠外の人間は非国民となる)なのです。戦前との違いはハードかソフトかだけです。

  では、明治政府作成の新興宗教と言うべき『天皇教』とはいかなるものなのか、それを「靖国神社」の理論的重鎮である小堀桂一郎さん(東京大学名誉教授)に聞いてみましょう。

  「靖國神社の誕生は、官軍(天皇側の軍)の東征軍(江戸を征伐する軍)の陣中慰霊祭からはじまったのです。 
 慶応四年(1868年)5月、まだ京都にあった新政府の行政官である太政官府からの布告で、嘉永六年(1853年)のペリー来航以来の「殉教者」の霊を祀ることが書かれています。「殉教者」とは「皇運の挽回」のために尽力した志士たちのことで、その霊魂を「合祀」するという考えです。またこの布告には、合祀されるのは、今度の兵乱のために斃れた者たちだけではなく、今後も皇室のため、すなわち国家のために身を捧げた者である、と明示されています。
   靖國神社は、陣中の一時的な招魂祭にとどまることなく、王政復古、【神武創業の昔に還る】という明治維新の精神に基づいてお社(やしろ)を建立した点に特徴があります。・・靖國神社の本殿は、あくまでも当時の官軍、つまり新政府の為に命を落とした人達をおまつりするお社である、という考えで出発したのであり、それは非常に意味のあることだと思うのです。日本の国家経営の大本は、「忠義」という徳ですが、この「忠」というのは、「私」というものを「公」(天皇)のために捧げて、ついに命までも捧げて「公」を守るという精神です。この「忠」という精神こそが日本を立派に近代国家たらしめた精神的エネルギー、その原動力にあたるだろうと思います。・・その意味で靖國神社の御祭神は、国家的な立場で考えますと、やはり天皇の為に忠義を尽くして斃れた人々の霊であるということでよいと思います。」

靖国神社パンフ
平積で売られている
   パンフレット・300円

  以上の小堀桂一郎さんの解説(靖国神社売店の最前列にあるパンフレット『靖国神社を考える』より)で「天皇教」とは「靖国思想」と同義であることがよく分かります。

  なお、ここで、【神武創業の昔に還る】と言われている神武天皇とは、初代天皇とされる架空の人物ですが、その伝説は以下の通りです。

 「日本書紀、古事記によると、初代天皇とされる神武天皇(在位:前660年~前585年)は日向(宮崎)地方から、瀬戸内海を東に進んで難波(大阪)に上陸しましたが、生駒の豪族に阻まれたため、南下して熊野に回りました。そこで出会った3本足の「八咫烏」(やたがらす)というカラスに導かれて、吉野の険しい山を越えて大和に入り、周辺の勢力も従えて、大和地方を平定しました。そして、紀元前660年の1月1日に橿原宮で即位し、初代の天皇になりました」
〔奈良県橿原(かしはら)市のホームページより〕。 神武の在位は75年間、126歳の長寿で、弥生時代前期の人ということになります。

神武天皇
伝説上の初代天皇・神武
ー明治天皇に似せて描かせた

   時間・歴史をも天皇教に合致させるというのが「紀元節」ですが、明治5年(1872年)に、神武天皇が即位したとされる2月11日(太陽暦換算)を紀元節の祝日とし、西暦より660年も古いことを誇りました。世界の中心は日本の天皇である。という思想は、田辺元(天皇制は宇宙の原理と合致する)や西田幾太郎(国体は、皇室を中心にリズミカルに統一されてきた)という戦前を代表する哲学教授たちが主張し広められましたが、紀元節と共に戦後は一旦は廃止されました。しかし、1967年に多くの反対を押し切って佐藤自民党内閣は2月11日を建国記念の日として祝日とし、「紀元節」復活に道をつけました。ここには、自民党など保守派政治家の根深い「天皇教」への思いがあらわれていますが、これは「靖国神社」を敬愛することと軸を一にしているのです。

   自民党は、現『日本国憲法』を廃棄して新たな憲法をつくることを「党の約束」としています。それは、彼らが天皇教を引きずる国体思想から抜けられないことをあらわしています。安倍首相は、自著『美しい国へ』で「日本の歴史は、天皇を縦糸として織られてきた長大なタペストリーで、日本の国柄をあらわす根幹が天皇制である。」と述べていますが、これは、《人間存在の対等性に基づき、互いの自由を承認し合うことでつくられるルール社会》という近代民主主義の原則とは明らかに矛盾します。

  「歴史的に天皇が中心の時代があった」というのではなく、市民社会が成立した後の現代もなお「天皇制が国の根幹である」としたのでは、「おじさん、勝手に言ってれば~~」の世界でしかありませんが、どうも「哲学の貧困」のわが国では、このような国体思想が跋扈(ばっこ・のさばり、はびこること)してしまうので危険です。

   なお、ここで注意しなければならないのは、明治からの天皇制とは、伊藤博文が中心となってつくった近代天皇制=天皇教のことであり、それ以前の日本の歴史・伝統とは大きく異なるということです。
   明治政府は、皇室独自の儀式に拠る「皇室神道」と「神社神道」を直結させて新たな政治神道=国家神道をつくったのですが、これは、日本古来の八百万の神=「多神教」を、天皇を現人神とする「一神教」に変えてしまい、祭司にすぎなかった天皇が現人神(あらひとがみ)となったのですから、ビックリ仰天!というほかありません。敵・味方の区別なく祀るという神道の教義も、味方だけを祀ると変更。なんとも強引な宗教改革ですが、これを官僚政府が政治権力を用いて徹底させたのですから驚きです。いまなお、わたしたち日本人が「私」からはじまる思想を恐れ、既成の枠組みに縛られて主観性の知を育てられずに受験知や事実学だけを貯め込み、また「餅は餅屋」と小さく固まってしまう生き方になるのも頷(うなず)けます。北朝鮮の比ではありません。支配者は将軍ではなく現人神だったのですから。

昭和天皇の裕仁
昭和天皇の裕仁・1945年敗戦時、
マッカーサーと並んだ写真の一部

 誰もが知る通り、太平洋戦争での敗戦により、一旦はこの天皇教は明確に否定されました。1946年に天皇の裕仁は、「天皇を現人神とし、日本民族を他の民族に優越するものというのは誤り」とし、天皇は人間であるとするいわゆる「人間宣言」を出しましたが、こんな珍妙な宣言をせざるをえないまでにわが日本人の意識は深く犯されてきたわけです。
   皇室の祭祀と政治を直結させていた天皇の祭祀大権は、『日本国憲法』の誕生により否定され、皇室祭祀は完全に天皇家の【私事】となりました。第5条―天皇は国政に関する権能を有しない。第20条―国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教活動もしてはならない。
   けれども、天皇家と国家とを結びつけることで日本国は成立すると考える保守的な政治家は、「天皇の男系DNAを守れ!」との言に象徴されるように敗戦による大改革を反故(ほご)にすることに激しい情熱を燃やし、既成事実の積み重ねにより成し崩し的に天皇教を復活させようとしてきたのです。
   いまに至る戦後の有力政治家の大部分は、戦前の権力者たちの子孫ですが、それにしても、敗戦による新しい日本を「戦後レジーム(体制)」と否定的に捉え、これを終わらせることを最大の使命だとする首相が現れるまでになったのですから、先祖返りもいいところです。

  では、次に、天皇教は私たち日本人にどのように作用しているかを書きましょう。

  国の近代化のために、キリスト教のかわりに天皇教を用いたことは、 「私」を消去してしまい、底しれぬ「精神の不幸」からの脱出を困難にしている、とわたしは見ていますが、聖書に象徴される豊かな内容をもつキリスト教とは逆に、まったく内容のない宗教である天皇教(教典すらなく、型・儀式だけがある)は、日本人の無意識領域までも犯しているために、これを顕在化させるのはなかなか大変です。

武田康弘

(3)に続く。

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「安倍首相が空爆支持とか言えばテロになる」(後藤健二)ーなぜ報道しない?安倍に支配された日本国?

2015-02-10 | 社会批評

 すでにこのblogでご紹介した通り、

現地の動静にたいへん詳し後藤健二さんは、出国直前に、大竹まことさんの人気ラジオ番組で、「もし、安倍首相が、アメリカとかの空爆を支持すると発言したら、日本人がテロや誘拐の対象になってしまいます」とはっきり説明していたのですが、

このきわめて重大な発言について、マスコミは、まったく触れようとしません。

「安倍批判をしない」というのは、まさに戦前の日本のおぞましい状況の再現ですが、同じ過ちの繰り返しではダメもダメで、お話になりません。
権力批判をしないマスコミとは、全体主義国家と同じで、民主政の
自殺行為です。

大本営発表! 安倍首相発表! テレビ局の多くがそのようになっていますが、とくに、NHKのニュースは、国会答弁まで安倍首相の発言だけを放映する(質問者の発言はなしで!?)という異常な報道で、まるで北朝鮮のようです。

  マスコミ人に限らず、わたしたちは、人間としてのプライドと、精神の自由と豊かさをもち、「善美に憧れる」人生を歩む日本人に変わらなければ、と思います。元気を出そう!勇気を持とう!

武田康弘


安倍首相の発言で殺害・テロ対象国に。後藤さんの直前インタビュー(大竹まことさんの番組)で明らかに。
2015-02-03 | 社会批評


イスラム国へ行く直前、後藤健二さんは、大竹まことさんのインタビュー番組に出演しています。

そこでの22分30秒、後藤さんは、自身の体験談を交えて、明快に中東情勢を説明しています。

とくに後半10分間は聞き逃せない内容です。

最後の2分間で、安倍首相の発言次第で重大な変化が起きる、と示唆しています。

殺害された意味がわかると同時に、日本がテロ対象国になったのが、安倍首相の思想・政策・発言にあることが明瞭に分かります。

https://www.youtube.com/watch?v=voxwOoyt-NI

(ウインドウズ8でない方は、8に更新と出ますので、クリックして更新してください。)

日本が、例えば安倍さんが、国連などでアメリカの空爆を支持するなどと言えば、日本も(欧米の)同盟国と思われて、今、日本人の方がたはいろんなところに旅行など行っていますけども、これから「テロ」や誘拐に気をつけなくちゃならなくなる。」(後藤健二)

必聴です。


武田康弘

 

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