思索の日記 (クリックで全体が表示されます)

武田康弘の思索の日記です。「恋知」の生を提唱し、実践しています。白樺教育館ホームと共に

マレイ・ペライア ピアノリサイタル(2013年10月24日・サントリーホール) ペライア、恐るべし。

2013-10-25 | 学芸

 

 

  ペライアの世界へ

 (開場前、偶然、目の前の少女がサントリーホールの電光ポスターに手を置いた瞬間です。)

  *追記:写真のデータについてのご質問がありましたので、お答えします。ソニーRX-1R ゾナー35mmF2  f5 1/80秒 iso 100

 

今日は、授業を古林さんに代ってもらい、マレイ・ペライアのピアノ独奏を聴きにサントリーホールに行きました。
いま、帰りましたので、演奏会の感想を書きます。

 

あれ、なにかおかしい、苛立っているようで音楽がスムースに進まない。
一曲目のバッハ・フランス組曲4番は、愉悦感に乏しく、ペライアとしたことがどうして?

不快な気候(湿度が多いし気圧は低いし)で体調がすぐれないのか?
ピアノの調子がピタッと来ないのか?
15日、19日の公演で疲れがたまっているのか?
NHKのテレビが入っているので、気が削がれるのか?

聴いていていろいろ頭に浮かびます。

二曲目は早くも大曲=名曲、ベートーベンの熱情ソナタ。
これは、さすがにペライア、まるで交響曲。ピアノ曲という枠組みを超えた総合音楽のよう。大きな波のようなユレは、作品の巨大なエネルギーを感じさせる。
最後のコーダは凄まじい迫力だが、どこまでも美音が続くのは、ペライアの真骨頂。
十分に満足。
だが、ほんとうに乗っているのとは違い、どこか頑張っている感じがする。

20分の休憩

シューマンの作品26ウイーンの謝肉祭の道化は、ベートーベンの続きのような豊かで大きな音楽で、とても面白い。だんだんペライアも弾くことに没入。

ショパンの二曲は圧巻。あふれんばかりの豊かな感情と、思索的な探求が一つになり、実に深みのあるショパン。この豊穣はかつて体験したことのない世界で、痺れた。最後のスケルツオ2番は、強烈な演奏で、それが終わるや、大拍手。アンコールは、その続きのようで、もう止まらない。ショパン、ショパン。即興曲 作品90-2  練習曲 作品25-1  練習曲 作品10-4  聴衆はもちろんわたしも含めて興奮。
ノクターン 作品 15-1、みな引き込まれて、誰一人身動さえできない。空気がピーンと張りつめて、静まり返って恐ろしいほど。最後の音の余韻が消えても拍手できない。間をおいて、凄い拍手。涙が出た。しばらくしてスタンディングオベーション。

ピアノ一台が、オーケストラを上回るという演奏会。ふーっ熱が出ました。愛と情熱と思索が美音と一体化したペライア、恐るべし。


武田康弘

 

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安倍晋三さん、危険思想の持主のあなたは、首相をやめなければなりません。

2013-10-24 | 社会批評

 

政府の教育再生委員に、自らの友人で、「反人権宣言」を唱える八木秀次を抜擢し、

自著「美しい国へ」で、日本の歴史は天皇を軸にしたもので、その悠久の歴史の大義に準じたのが特攻隊員だとして、彼らへの尊崇の念を表す必要を言い、

靖国神社の思想=「日本の戦争はすべて聖戦である」(靖国神社・遊就館でエンドレスで放映されている歴史映画)を支持しているあなたは、

人民主権の民主主義の根幹を揺るがす危険思想の持ち主=確信犯です。

よって、あなたには、人民主権の民主主義社会で首相を務める資格がありません。

市民にとって、民主主義を骨抜きにしようとするウヨク国家主義者は、敵以外の何者でもありません。

「反人権」を唱えるウヨク学者(ちくま新書「反・人権宣言」)を教育改革の中心者にすえる政府が、国連で認められるはずがありません。

戦後の世界秩序(ファシズムに対する戦いに勝利した世界)を覆す、明治政府以降の日本主義の復権が国連で認められるはずがありません。

そのような思想は、われわれ日本市民の敵であり、同時に世界の敵である、と断じるほかないのです。

安倍晋三さんは、首相を続けるならば、回心が必要です。それは最低条件です。

 

武田康弘

 

コメント (3)
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月刊『地方自治職員研修』 巻頭言  原理と現実と。 武田康弘

2013-10-23 | 社会思想

以下は、月刊『地方自治職員研修』11月号の巻頭言です。

11月号は、発売中です。

 

 

 

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分け合う優しさ、反戦こそ正義。やなせたかしさん(東京新聞一面) 自民党政府とは逆の言動を貫く。

2013-10-16 | 学芸

安倍自民党政府とは逆の思想と行動を貫いた漫画家&恋知者(考える人)のやなせたかしさん。

東京新聞朝刊一面です。

 

 

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あんぱんまんの歌は、恋知(哲学)そのもの。

2013-10-15 | 教育

 

あんぱんまんの歌は、恋知(哲学)そのもの。実に感動的です。

みなさまご存知のように、テレビでのテーマソングで、

こどもたちに向けて、何のために生きる? と問うています。

また、やなせさんは、

悲惨で愚かな太平洋戦争の体験を踏まえて言いました。

「正義のための戦争などどこにもないのだ。正義は、ある日突然逆転する。」と。

 

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佐藤忠良の「緑」-凛として美しい女性像をわたしの写真で。

2013-10-13 | 芸術

 

 

佐藤忠良は、わが国を代表する国際的な彫刻家(唯一、パリの「国立ロダン美術館」に招待され個展を開き、絶賛)ですが、

「わたしは職人だ、金も名誉もいらない。」というホレボレするような人間性の持ち主でした。

芸術院会員も文化功労賞も文化勲章も断った筋金入りの男でしたが、作品の凛とした美しさにそれは表れています。

小学一年生の教科書に載っている「おおきなかぶ」(ロシア民話)の見事な挿絵でも知られますが、福音館書店の絵本は、1966年からすでに157刷りという超ベストセラーです。

学歴社会を痛烈に批判し、また、教科書検定における文部省の役人の「滑稽なまでの愚かさ」を暴いてもいますが、一昨年、99才で亡くなりました。

 

広大な『川村記念美術館』の受付近くの木立に立つ凛として美しい女性像「緑」を、わたしの写真でご覧ください。
写真データは、SONY α99・ツァイス プラナー50mmF1.4 f3.2 1/100秒 iso1000(暗いので感度が上がりましたが、A3に伸ばしても実に美しい画像です)。Jペグ。


武田康弘

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アリスティード・マイヨール ギリシャのイデア世界と連結ー20世紀の奇跡。  「夜」の写真

2013-10-11 | 芸術
 
 
 
Amazonに出した書評です。
 <form id="handleBuy" style="margin: 0pt;" action="http://www.amazon.co.jp/gp/prime/handle-buy-box.html/ref=dp_start-bbf_1_glance" method="post" name="handleBuy">
【バーゲンブック】 マイヨール
 
 
 
 
 

</form>
 
 
 
形式:単行本|Amazon.co.jpで購入済み
 
なんとも評価しづらい本です。

日本語のマイヨール評伝はこれしかないので、フランス語や英語に通じていないと、選択肢は他にありません。

細かく調べ、現地でのマイヨールの彫刻写真も載せていますし、著者の思い入れも強いのですが、踏み込みが弱いので平板です。網羅的ですが深みにかけますので、芸術についての書であるのに「事実学」に留まっています。
その「事実学」に、著者の主観性が接ぎ木(内的な主観性の豊穣というのではなく、客観と主観が外的に接続)されているために、知らない人が読めば、著者の見方に誘導されてしまうのではないか、と危惧します。
マイヨールの発想の根源は、イデア的普遍性を支える「性=make love」への自由で健康な態度にあるのですが、それらについては、「ダフニスとクロエ」の章で遠まわしに記述するのみです。
また、マイヨールのバッハへの称賛を書きながら、モーツァルトへの熱愛、「もし、芸術家になるならモーツァルトにならなければいけない」とまで言っていた事実は完全に無視。

紙質も装丁もよい本ですが、マイヨールを著者好みに脚色しては困ります。
フランス語、英語、スペイン語、ドイツ語では、新しい評伝も出ていますので、翻訳本が出ることを望みます。


内的充実の極み・存在そのものの豊穣。20世紀のマイヨールは、ルネサンスさえ超えて、もちろんキリスト教を超えて、ギリシャのイデアに直結する奇跡をなし遂げました。その真価を21世紀に生きるわれわれは感じ知る必要がある、そうわたしは思っています。

 
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
写真は、
アリスティード・マイヨール(1861~1944)の「夜」
上野の国立西洋美術館で撮影(ソニー・RX-1R ツァイスゾナー35mmF2、F4 1/80秒 iso6400)
 
日本では、写真集を含めてよい本が出ていません。外国語ではたくさん出版されているのですが。
いま、買えるもの(中古ですが)でよいのは、1967年発行・河出書房新社の現代世界美術全集12「ロダン ブールデル マイヨール」です。
 
 
 
 
 
 
 
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犯罪者が天下り!!検察庁という役所の無責任性と底知れぬ腐敗は、目を覆うばかり。

2013-10-10 | 社会批評

小沢一郎氏の裁判で、調書や捜査報告書まで捏造した犯罪者である田代政弘元東京地検特捜部検事が、優良企業に天下りしています。

なんという国なのでしょうか。

官僚の腐敗、不正義、無責任、おぞましい行為と政治の保守反動化=ウヨク化、理性を失なった日本社会を正すためには、良識あるわれわれ市民が、しっかりと声をあげることが大切です。

わが日本に理性を!

個々人の主体性を取り戻さないと、民主的倫理は消え、政府による個人の抑圧が進み、戦前のようなおぞましい社会が現実のものとなってしまいます。

http://shimin-rentai.com/kizi/tasiro/2013_10_10_amakudaru.pdf

 

武田康弘

 

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『恋知』 わたしを輝かす営みーー「恋知とはなにか」 PDFファイル公開=ぜひ、拡散をお願いします。

2013-10-09 | 恋知(哲学)

『恋知』 ーわたしを輝かす営み

第2章「恋知とはなにか」のPDFファイルができました。

30ページですので、プリントアウトして、A4ファイル(20ポケット)に入れると本になります。

ぜひ、ぜひ、お読みください。

拡散希望です。広めて頂けると、とても嬉しいです。

http://members.jcom.home.ne.jp/samest/contents/Philosophos_2Renchi.pdf

(白樺教育館ホームページ 制作・古林治

 

(1) 概括

 わたしは、人間のよい生・優れた生・魅力ある生を、恋知の生と呼びます。

 恋知(れんち)という言葉は、古代ギリシャのソクラテスが命名したphilosophia(ギリシャ語)の直訳です。善美に憧れる恋心がつくる人間に固有のエロースの生を称揚する言葉です。プラトンによるソクラテスの対話編『パイドロス』及び『饗宴』をお読み下されば、「恋」がキーワードであることがよく分かります。
 西周(にしあまね・1829~97)により明治時代につくられた「哲学」という訳語は、近代西洋のPhilosophie(ドイツ語・フランス語)・Philosophy(英語)の邦訳ですが、これも直訳すれば同じく「恋知」となります。

 わたしは、以前より哲学を恋知と訳すべきと主張しています(書物としては、金泰昌[キム・テチャン]と武田康弘の哲学往復書簡30回=『ともに公共哲学する』《東京大学出版会刊》の84ページに書きました)が、そのわけは後に詳しく述べます。

 恋知の生とは、自らの「考える頭」をよく用い、意味を了解し、心身によろこびが広がる生き方のことですが、それは、名や序列を重んじて形式を優先させる従来の日本人の生き方とは異なりますし、強い一神教に従う生とも違います。世俗の価値に沿う集団主義でもなければ、超越者への信仰でもない第三の道と言えますが、その恋知を象徴する一人物が数年前に映画になりましたので、ご紹介します。

アレクサンドリア

 その名は、ヨーロッパ映画史最大の製作費を投じてつくられた『アレクサンドリア(スペイン映画・2009年公開・DVDは2011年)の主人公ヒュパティアですが、優れた天文学者・数学者で、新プラトン派の恋知者でもあった彼女は、キリスト教の司祭に「あなたは何も信じていない」と詰問された時、静かに揺るぎなく「わたしは恋知(哲学)を信じています」と応えます。
 身分の違いなく教え、みなに慕われた優しい教師でもあったヒュパティアは、紀元後415年にキリスト教徒たちによって惨殺されましたが、古代アテネの民衆によって有罪とされ死刑となったソクラテスと共に、真実を求めて愛と理性に基づいて生きる恋知者の受難でした。

 古代ギリシャの天文学者アリスタルコス(紀元前310年~239年)は、彼の直前で活躍したアリストテレスの学問的権威に影響されずに、アリストテレスの「天動説」(紀元後2世紀になってプトレマイオスが主著『アルゲマイスト』に記した天動説はアリストテレスに依拠したもの)を退け、「地動説」を主張します。その論拠は明快で驚くほど適確でした。学問の祖と言われる博物学者のアリストテレスには間違いが多く、現代のことばで言えば「科学的」ではありませんが、アリスタルコスは合理的でした。しかし、彼の地動説は、当時から自分を中心だ(地球は宇宙の中心のはず)と思いたがる人々の反発を買い、紀元後には、アリストテレスに依拠したプトレマイオスの天動説がキリスト教に合致するために支配的となったのです。

 明晰な理性と深い思考力をもつ天文学者・数学者にして恋知者であったヒュパティアは、ギリシャ文化を受け継ぐ古代最大の学問の都であったアレクサンドリアの図書館で、観測と実験と思考により「地動説」の正しさを確信していきますが、映画『アレクサンドリア』は、そこに焦点を当て、人間の宇宙認識の広がり・理知的思索的な能力への信頼・真実に憧れる透明な心・公正で豊かな愛情を美しい映像で表現しています。

 この映画には描かれていませんが、ヒュパティアは学生たちに次のように述べています。

「あなたが考えることで得られる『正しさ』を大切にしなさい、考えて間違えたとしても、考えないことより遥かによいのですから。」

「形式を整えた宗教は、すべて人を惑わせます。最終的に自己を尊重する人は、けっして受け入れてはなりません。」

「神話、迷信、奇跡は、空想や詩として教えるべきです。それらを真実として教えるのは、とても恐ろしいことです。子どもは、いったん受け入れてしまうと、そこから抜け出すことは容易ではないのです。そして、人は信じ込まされたもののために戦うのです。」      (英文からの翻訳は武田)

 ここには、みなが言うからという「一般的」なよいや正しさではなく、また、一神教が示す「絶対的」なよいや正しさでもない第三の道=「普遍的」なよいや正しさを求めるヒュパティアの精神が、明瞭な言葉となってあらわれています。

 現代の欧米人でも多くは、「絶対的」と「普遍的」を似たようなものとして並列に語りますが、絶対と普遍が一体化してしまうと、「一般的=世俗的」と「絶対的=宗教的」の二項対立となります。この不毛性を超えるのが第三の道=恋知です。そこでは、ヒュパティアの言葉に象徴される「普遍性」の追求がありますが、それは特別なことではなく、無自覚ではあれ、子どもやふつうの生活者がしていることです。

 

続きは、PDFファイルで。

http://members.jcom.home.ne.jp/samest/contents/Philosophos_2Renchi.pdf

 

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井筒俊彦全集刊行の記事が出ていましたので、思い出を書きます。

2013-10-01 | 書評

 

 今日の東京新聞夕刊に、井筒俊彦全集刊行の記事が出ていましたので、思い出を書きます。

 井筒俊彦さんの直筆を見ると、丁寧な楷書です。
わたしの師、竹内芳郎さんは、達筆だが個性的な崩し字でまったく異なりますので、たぶん性格も違うのでしょう。

 その竹内さんは、他者への厳しい批判で知られますが、井筒さんのことは珍しく尊敬していました。
 竹内さんが筑摩書房より出した『意味への渇き』の執筆時に、イスラムの項について竹内さんは井筒さんに意見を求め、井筒さんは竹内解釈に全面的に賛同するとの返信をしましたが、当時(1987年)竹内さんはわたしにそのよろこびを率直に語り、井筒さんからの手紙をコピーまでしてくれました。

 井筒さんは、白樺派の柳宗悦の宗教思想に影響を受けたのですが、わたしは、当時は白樺派とは縁がなく、1999年2月から始まる『白樺文学館』創設の仕事の中で柳と正対することになるのですから、不思議です。柳と井筒の重視する神秘的体験!と冗談を言いたくなります。井筒さんは、古代ギリシャのプラトンに傾倒し支持していました。

 この世界的碩学にして学者的権威主義のかけらもない井筒俊彦さんの全集が慶応大学出版部より刊行されるとのこと(すでに第一巻は出ている)よいニュースです。


 

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