古林治さんと染谷裕太さんの
「オーデイオ体験談」 ① &
②の続きです。
コードで音が変わることについて。
誤解を避けるために、少し書きます。
オーディオ装置は、スピーカー、アンプ、CDプレーヤーで構成されますが、これらのもつ個性、とくにスケールの大小で、基本の骨格が決まります。
もちろん大型装置では、スケールが大きく、エネルギー量も豊かです(スピーカーに一番左右されますが、アンプやプレーヤーにも関係します)。
ただし、聴く環境や音量や聴き方により、大型装置ではマイナスとなることがあります。
現実には、小型装置の方が適することも多いのです。それぞれ違う「よさ」があるのです。
コードを変えることで、この基本の骨格・性格(特にそのスケール)が変わることはありません。基本の骨格は変わりませんが、音質の変化は、かなり大きなもので、おそらく、オーディオにあまり関心のない方が想像するよりもはるかに大きく、その変化に驚かれると思います。
コードで変わる、というのは、音の濃やかさ、質感、色模様、締まり、濃淡、余韻、硬柔、ある程度のエネルギー感などですが、何十万円もするハイエンド用のコードにしたら、元の音の骨格まで変わってしまうという意味ではありません。当たり前の話ですが。
なお、教育館本部(武田宅)のオーディオシステムは、
【CDによるコンサート】(新旧の演奏を味わうことや演奏の聴き比べ)のためにつくったものですので、一般家庭における再生音とは異なり、スケールが大きく、情報量が多く、ダイナミックレンジと周波数帯域が広いですが、そのためには、装置が大型化してしまい、建物の堅牢さも必要ですので、これを基準にして一般家庭用のオーディオシステムを組むことはできません。
総重量は200キログラムほどで、ピアノと同程度ですが、音楽の支えである低音を余裕をもって再現するためにはどうしても大がかりになってしまいます。
電源も家庭内配線とは別に200ボルトで引き、それをオーディオ用の大型トランスで100ボルト下げて使っています。
もう少し一般向きのオーディオの場合、大エネルギーは必要としませんので、量よりも質を確保すれば、気持ちよく聞くことができ、満足感が得られます。体全体で音圧を受けるような聴き方をするのでなければ、大きなシステムはいらないのです。
武田康弘