武田 康弘
わたしは、キリスト教圏の人(とりわけ西欧人)が、彼らの日々の生活圏=キリスト教化された世界から、ギリシャ哲学を見て解釈するために、ソクラテス(前中期のプラトンの著作から類推する)思想と、アリストテレスとの大きな断絶をぼやかしてしまうことは、重大な思想問題だと見ています。
ソクラテスのイデア(典型・理念)という思想=人間にとっては、真に実在するものとは、意味の世界であり、ただの事実というのは存在しようがないことを看破したイデア論を否定し、
ソクラテスのイデア(典型・理念)という思想=人間にとっては、真に実在するものとは、意味の世界であり、ただの事実というのは存在しようがないことを看破したイデア論を否定し、
その替わりに、哲学の第一原理に「目的因」なるお話を導入し、自然の統一的理解を目論んだアリストテレスとの根本的違いを明晰に理解→了解しないといけないと考えています。
その断絶を不分明にするのは、神学の目から離れられない西欧人の根源的錯誤といえます。
その断絶を不分明にするのは、神学の目から離れられない西欧人の根源的錯誤といえます。
そうではなく、ソクラテスとそれ以前の自然哲学者たちと、
キリスト教という一神教は、根本的に異なることを明晰化することは必須のはずです。
ニーチェの「反哲学」的思想は、プラトニズムという言い方で、キリスト教の淵源をギリシャ哲学にしてしまいますが、それは、ニーチェが生まれ育ったキリスト教世界の精神風土からギリシャを見ざるをえないところの限界=誤りとわたしは見ます。
ニーチェの「反哲学」的思想は、プラトニズムという言い方で、キリスト教の淵源をギリシャ哲学にしてしまいますが、それは、ニーチェが生まれ育ったキリスト教世界の精神風土からギリシャを見ざるをえないところの限界=誤りとわたしは見ます。
この認識の違いは、あらゆる分野で大きなゆがみを生じさせますので、われわれ東洋人(キリスト教文化圏ではない)は、西欧化されたギリシャではなく、まっさらな目でギリシャを見つめなおすことが必要なはずです。
その意味で、先にKimさんがあげていた木田元さんの「反哲学」は、まだ西欧化した学の目で論じた「反哲学」であり=ニーチェの見方であるプラとニズムに超自然的な見方の淵源を求めている=西欧の学の常識の枠内にすぎないと思います。
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さらに言えば、西洋と東洋という従来の二区分は、西欧人の区分けをこちらも周到しているのではないですか?エーゲ海文明を西洋に入れる「常識」は変えなくてはならないと思います。西洋と中洋と東洋の三区分にすると、世界を西欧中心主義でみるヒドイ歪みを訂正できるように思えます。中洋(エーゲ海)文明を換骨奪胎して、西欧のキリスト教文明と合体させて大きく見せようというのは、西欧の詐術ではないでしょうか。西欧人の底知れぬ自我主義の強さを感じます。それは唯一神の信仰からくる世界制覇の思想。わたしは、人類文明の大転回が必要と考えています。
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Taechang Kim
その問題はすでに他の処で時間を掛けてじっくり議論したことです。また最近日本人の世界的なイスラム-中東研究分野の板垣雄三先生(93歳: 本東大教授)が東西二分法的な観点と立場を痛烈に批判して三分法的世界文明論とそのなかでの日本文明論の位置付けと役割を論じていますし、韓国の方でも何人かの比較文明論者たちが活発な議論を続けています。しかし現在わたくし自身はこの悪化し続く日韓-韓日関係の抜本的改善のための思想-哲学的土台構築の方がより緊急課題だと思っているのです。タケセンの仰ることは、また別のところでキチンとやってます。心配無用。しかし今まで日韓関係に集中した哲学対話を我々がやっているくらい誠実に根気よく継続しているのは日本は勿論、韓国でもその他どこでもやってません。すぐ直接関係の無い処に拡散して問題を直視しようとしないのです。-
そうですか。そういう議論は全然聞こえてこないので、学者はみんな馬鹿なのかと思っていました(笑笑・失礼)。わたしは、Kimさんの美学考察も、東西二分法でしたので、書き込んだのでした。それからさらに【重大な問題】は、その一つ前のわたしのコメント=プラトニズムという言い方でギリシャ思想をまとめて、キリスト教との違いをぼやかす西欧人の思想についての批判は、学者でやっている人はいるのでしょうか?プラトン前中期のソクラテスによるイデア(典型・理念)という思想と、アリストテレス思想(「目的因」による自然の統一と言うお話)とは断絶していることを明晰に認識しているか否か。学者はみなアリストテレスから始めるようですが、それは西欧のキリスト教思想の影響下にあるものであることを知ってのことか。ギリシャ哲学と、西欧哲学(キリスト教を背後にもつ、無神論というのもキリスト教へのアンチで出てくるので、一神教思想の枠内)との根本的な違いを明晰化した本があれば、ぜひご紹介ください。わたしの師の竹内芳郎も言っていませんでしたので。
字数オーバーになるので次に続きます。 -
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ので、次に続きます。
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