人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

珍無類の瞑想法

2014-12-07 14:12:04 | 祈りと瞑想
こないだ風の便りで珍無類、この世にたった一つしか無いという瞑想法を伝授している人が居ると言うので会いに行きました。
その名はドクター・ザボー…待ち合わせの公園のベンチで座っていました。
―ドクター・ザボーさんコンニチワ…
「挨拶はいいからまあ、座り給え!」
―これは失礼立ったままで…座るのを忘れてました…今日は是非、貴方の推奨しておられるという珍無類の瞑想法について、ご教示いただきたく伺った次第です。
「珍無類の瞑想法? そんなものは知らないなあ…」
―いやあ、有る筈でしょう? 特殊な呼吸法とか、マントラとか…
「私はそういう類のものは一切身に着けたことは無いよ!」
―じゃあ、どういう技法を使っているのですか?
「技法?…何にも。…技法、やり方、どうやって瞑想して、どうやって悟るかって事だね、うっかりそんなものに頼っていたら、それに溺れてしまうのがオチじゃあないかね。確かに巷ではイロイロな瞑想法が有り、イロイロな効能書きが有るのを知ってるよ。まあ何でもいいよ…でも私は一生懸命、何十年も例えば呼吸法のやり方とか、座る姿勢だとかに拘り続けている人を知っている。彼らは言うなれば、修行のための修行、瞑想のための瞑想をし続けているように見えてならない…。ところでアンタは一体何だって私をたづねてきたんだっけ…」
―ええっと、ですね…自分でもよく分からないのですが、無性に惹かれるのです。こういう道に…何か抵抗し難いものが自分の中に有るみたいで…
「…楽しいかね?」
―ええ、そりゃあもう…
「そいつあ、いい!だったら私がアンタに何も教示の真似事をすることも有るまい! 君はこの道を歩むという事がどういう事か分かっているんだ…。人は腹が減ったら食堂へ行くだろう?食堂の前でどうやったらメシにありつけるか、飯を食う方法はなんてこと考え続けていたら、そのうち餓死しちまうだろう。君の中にどうしても、こうしてもそれに預かりたいという、そうせざるを得ない内なる要求というか内なる意志さえあれば、ほっといても君は然るべきところに導かれるだろう。」
―その内なる意志というのは誰にも有るんじゃあないですか?
「その通りだよ!だから生きている、とも言えるんだよ…」
―みんなその内なる意志というものが有るから一生懸命修行に勤しむんじゃないのですか?
「いいや、そうじゃない!何十年も修行のための修行をやり続けている人は「やらなくっちゃならない」からやってるんだ。嫌になったらやめればいいのに…内なる意志というものが分かってる人には、そもそも修行する必要など無いんだ。この内なる意志というものをそっちのけにして、やれこの方法とかあの方法などが有っても一体何になるだろうか!」
―同じように内なる意志を持っていても、恩恵に預かれる人とそうでない人が居るのは一体何が違うのでしょうか?
「恩恵に預かれない人は1時間も経たないうちに、他のことに心が奪われて自分の中にある物を忘れてしまう。縁ある人にもそういう事が有るが、彼の念頭には何時だってそれが有る。何の努力も無しに…見えざる導きを受けているためだ。もう一つ、恩恵に預かれない人の特徴はまさに、今自分に
はそれに預かるにふさわしい何かが欠落していると思い込んでいるのだ。だから修行へと駆り立てられ、その欠落を埋めようとし、何年先だか見当のつかない遠い先の到達される日を待ちわびる…。」
―お話をお聞きしまして、貴方の道というものがいわば道無き道だという事が何となく分かりました、でも何らかの何というか瞑想的意識状態に導かれる時間というのも有るのですよね。
「それだったら、もうとっくにそうなってる。…何時始まり、何時終わるというものでも無く、こちらの努力とか行為の問題でもないんだからね。この道の内実はそういうところには無くて、恩寵の光を待ち、それを受け入れるというところに有る。恩寵無くして新しいことは何も始まってこない!」
―どのくらい待つのでしょうか?
「本当のことを言えば、1分だって1秒だって待つ必要は無い!」
―ゲゲッ…どういう事なんだろ…
「意識が向いたらそうなる。…ま、勿論君が思っているように、なかなかそんな事にならないことも多いよ。でもね、それは神が10分、1時間待たないと、お預けのままと言う意味じゃない。一定の時間待たないとならないのはこちらの都合でしかないんだよ。イロイロ頭の中がごちゃごちゃしてるだろ。お分かりのように…神は何時だって恩恵を与えるのは「今」なんだよ。ここでも内なる意志さえハッキリあれば、受け取れることが出来る。
”まだ自分にはその時は来てない”なんて言う人には永久にそんな時は来ないかも知れないよ!…」
―私はもう、何だか話を聞いてると、ここがどこだか分かんなくなってきそうだ…
「座っているのも忘れるくらいだろ…」
―いや、全くですよ!ドクター・ザボー…巷ではイロイロな流儀の瞑想法があふれている中で、こりゃあ実にシンプルで特別な方法、条件などまるでない…何とも珍無類の瞑想法があったものだ…。





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