人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

それでも私はやっていない

2014-12-13 19:22:56 | 回想
私は容疑者だった!
これは創作でなく、本当の話です。
今から6年前、私は警察の取調室で尋問を受けた事が有ります。
容疑は運転免許証偽造。
私はバイク運転で交通違反が重なり、免停を免れるべく講習を受けにF試験所に赴いたのでした。
まず手続きとして免許証を提示するのですが、何故か見つからなくなってしまいました。
おかしい…いくら探しても出て来ません。
仕方ないという訳で、再交付をしようとしたのですが、そこで疑いを掛けられてしまったのです。
「なあに、どうせ家のどっかに置いてきたのだろう、すぐ済むだろうから…」などとタカを食っていたのですが…。
取調室に連れて行かれ、手荷物、身体の検査を念入りにされたところ、何と出てきてしまったではありませんか!免許証が…
カード入れに紛れ込んでいたのです。
これでもう、私は犯罪者扱いです。
「免停を免れようと、故意に隠してたんだろ!」と…何だか事態を飲み込めないまま尋問が始まりました。
そこで展開されたのは、まるで刑事ドラマそのままでした。
「いつまでも白を切ると、ためにならんゾ!」と突然机を叩いて恫喝する主任係官。
「やってないだって…みんなそう言うんだよな…」「アンタ、今眼を逸らしたよな、やましいことしてるヤツってのは大体そうするんだよ…」と傍らのサブ係員。
あまりにドラマじみているので、私は夢を見ているのかと思いました。
そして「自白さえすれば罪を軽くしてやる!」と詰め寄り「あくまで白を切るんなら…」と処罰をにおわすようなことを…
これは冤罪事件で自白のやり方が社会問題になる前のことでした。
一瞬、心が動きかけたのですが、故意にやっていないという事実はどうしても曲げられません。
昼時になり係官たちもイライラしてきた様子です。
「最後にもう一度聞く。本当にやっていないと言い張るのか、否か!さあ、答えるんだ」主任からこう切り出され、私が最後の返答をするのに5分間くらい経過したかと思います。
「2,3日は拘束覚悟だと…処罰されるかも分からない、仕事も失うな…」様々な事が脳裏に去来しましたが、やがて全てを委ねようという心境になり、眼をつむったままでいたら、グーッとあの身に覚えのあるバイブレーションに包まれました。
「大丈夫!」と内なる確信と共に私は答えました。
「やってない、やってないものはやってないとしか言えません!」
して…無罪放免。
自分の不徳とはいえ、何でこんなことになってしまったのか?
一大事に至る前にもっと運転に気を付けろということなのか?
まあ、5年間無違反ですが…
私はあの夢のような、それも悪夢のような状況の中で、真実というものが示される瞬間をどうしても知りたかったようです。
現実世界には理不尽な事、耐え難いような苦痛も有るでしょう。
でも状況そのものに翻弄されようとする中にも、全てを受け入れようとすると別の局面も開かれてくるものです。

免許の更新とかで、その後も試験所へ行ってますが、F試験所へは二度と行ってないのは言うまでも有りません…


コメント
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