人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

この世界にたった一人(前)

2019-08-20 04:28:52 | 創作
「私は地を見た...それは形がなく、又むなしかった
天を仰いだ...そこには光がなかった...
私は見た...人は一人もおらず、空の鳥はみな飛び去って行った...
主はこう言われた、"全地は荒れ地となる...このために地は悲しみ、上なる天は暗くなる
私はすでにこれを言い、これを定めたからだ
私は悔いない、又それをすることをやめやしない..."」(エレミヤ書第四章)

"たとへ、この世界が滅びたとしても、私は我が道を行きたい"

まさか、このことが現実になってしまうとは...
私はこの地球に生きて帰ることを諦めていた

"絶望視されていた、宇宙船乗務員の奇跡的生還i"

私はこんなセンセーショナルなニュースの見出しで、多くの人から祝福を受けて、この世界に戻ってくるはずだった...
ところがどうだろう...誰も迎えに来ないじゃないかi ここにはもう誰一人生きちゃいないのだi 何というタイムラグだろう...神のイタズラ...
私は助かったのか?...本当に? 本当に受け入れなければならないことは何なのか?
一体、ここに人間は居るのだろうか?
人間が居るとは、人間の生活、営みに触れてこそ言えることではないのか?
この世界でたった一人だけの私...これが人間が生きているなどと言えることなのだろうか?
私はもう私が誰だか、何者なのか皆目分からなくなってしまったi

巨大彗星ルチフェル(明けの明星)の地球激突は、避けることが出来なかった...人類はこの絶望的状況を一体どんな気持ちで迎えたのだろうか?
たった一人の生存のことなど誰も知ったこっちゃ無かっただろう
私は地球でたった一人の男...生きることを諦めた人間が生きていて、大多数の生きたい人間は救われなかったのだi
こんな自己中な人間は居るだろうか? 人類の裏切り者...しかし...フハハハ、一体誰が非難、糾弾すると言うのかi
世の中という神が居なくなったら、何も恐れるものなど無いではないかi
それにしても...酷い、酷すぎる...どこに行けども、累々たる屍の山...
むき出しになった崖の断面に地層が顕わになっていた...それは、屍の山が幾重にも重ねられた、人類の歴史のように見える...
神よこれは何の報いですか? どういう戯れなのですか?
あなたの創造の御業は、すべてこのためだったのですか?
全人類の苦悩は、そのための肥料となったのですか?
ああ...あなたをどうしても許すことが出来ない...生きるべきか...いや、今生きているのか、死んでいるのかも分からなくなってきた...
いつの間にか、私は疲労と混乱と絶望の中で昏睡に陥った...
(続)
コメント
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