人生の裏側

人生は思われた通りでは無い。
人生の裏側の扉が開かれた時、貴方の知らない自分、世界が見えてくる・・・

八月の濡れた砂

2019-08-25 11:52:42 | 映画・音楽など
盆も過ぎると、夜間は熱帯夜も収まり、秋の虫がさえずる頃ともなりました。
私は一年で、晩夏から初秋にかけての今頃の季節が一番好きです。
厳しい残暑の中にも、心地好い涼風が、何かやるせなさ、哀愁、郷愁を運んでくれる...
私の生涯で、印象に残っている音楽というのも、数多くこの時分に巡り合っています。
(ボレロ、ワルツ、パシージョ...知らないですね? スミマセン...)
中学3年の夏休みの終わり頃だったか、友人に誘われて映画を観に行きました。
全然内容など知らず、ただ付き合っただけで、その意味ありげな題名に、ある期待感を持ちましたが、はたして...その場面に異常にコーフンしただけで、ストーリーのことなど全く頭に入りませんでした。
その題名は「八月の濡れた砂」(中学生は入場可だったかどうか定かではありません)。
ただ、石川セリが歌う、その主題歌が何ともやるせなさ、哀愁を呼び起こされ印象に残ったのでした。(従って、ここでは映画のことでなく音楽について書くのです)
少し後、ラジオ深夜放送「パック.イン.ミュージック」で、カルト人気のあった、パーソナリティー林美雄さんがよく取り上げていて、ハマってしまいました。これは隠れ名曲と言うに相応しい傑作だと思います。
それから何十年か経ち、中南米音楽に興味を持ち初めて、この曲は南米ベネズエラの"パサーへ"と呼ばれる音楽の形式を借りていることが分かりました。(検索してみても、このことに触れている記事は全く見つかりません)
大雑把に言うと、同国では元々"ホローポ"という牧歌的で、陽気なリズム形式が知られていますが、より短調に、メロディアスにしたのがパサーへです。
どちらも南米産ハープ(アルパ)、クアトロと呼ばれる四弦ギターをメインに、リズム用にギターを配し、マラカスで細かくリズムを刻むのが、標準スタイルですが、後者の場合旋律は実にメロディアス、叙情的ながら、リズムは"チャチャチャ"っと、トロピカル風味なところが何とも不思議な味を醸し出していて、これが実にこの時節にピッタリなのですi
ナット.キング.コールもスペイン語でカヴァーしていた、「アンシエダー(ansiedad)」という曲は、多分ラテンアメリカ中で知られている(仕事仲間の日系ペルー人Mさんも勿論知ってる)パサーへの有名曲でしょう。
先の主題歌でも、そのハープ伴奏が一聴してこの感じを出しているのが分かりますが、細かいリズムは抑えられ、間奏のフルートとかには和風のアレンジが伺われます。石川セリさんの歌唱は、ラテン的な情熱と日本のシットリ感が程よくマッチしているようです。
日本の夏の終わりはカリブ海と違って、濡れてシメっぽいのでしょう。

本場のパサーへの名曲「アンシエダー」は、ベネズエラのクラシック、テノール歌手出身の「アルフレード.サデル"Alfred Sadel"」の堂々たる歌唱なども有りますが、これはインストで聞きたいものです。
「Los Saucelitos」という情報不足で全く正体の分からない、アルパ、クアトロ、マラカスどれをとっても、スゴテクの楽団のCDを愛聴しているのですが、残念ながら動画では見つかりませんでした。
同国を代表するアルパの名手、「ファン.ヴィセンテ.トレアルバ」のメドレーが聞けます。

*Juan Vicente Torrealba/Cuand No Se De TiーAnsiedad
コメント
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