からくり出張所

様々なからくりを徒然なるままに書くつもりです。
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鞄の中の宴会

2010年10月14日 21時22分11秒 | 偶成

 殺風景な小田急線・経堂駅のコンコースですが、たまに露店が出ます。最近は青森の食品、アクセサリ各種、化粧品PRなど定着した感があってちと変わり映えがしなくなりました。 唯一楽しみなのは古書屋です。この店の品揃えには意外に渋い本が多く、昨日は、和綴じ本や日露戦争写真帳、明治以来の戦前の大衆本、教科書等がいろいろ。黒岩涙香の巌窟王を見つけて驚きました。それにカストリ本や英語本も色々。回りを気にしてちらり。(汗)

普通の古本屋とはちょっと違う匂いがします。あれは(笑)

ずらっと並んだ古本らしい文庫本にも面白そうなものが・・・内田百閒翁の随筆が数冊あります。読んだものが多いのですが、まだの「御馳走帖」が美味しそうです。ついでに私にぴったり?の「へんくつの発想」、当時横綱審議委員の高橋義孝氏著の二冊を求めると500円を300円にまけてくれました。

 お二方の書いた文章が内容も含め相づちを打ちつつスルスル入るのも歳のせい。なかなか面白く味わい始めました。ところが、高橋氏の本を読んで驚いたのは百閒翁の知己なのですね。正しくは後輩、お二方が私の鞄の中で宴会を始めたようです。どちらも有名な酔っ払いであります。私も加えていただきたいのですが、まだ若造、それにあちら側にいらっしゃいます。(汗) こんなお偉い方との宴会は肩が張って・・・いや酔っ払うと一緒ですか。しばらくは夜会にお付き合いが楽しめそうです。百閒翁の「深夜の初会」という著作を思い出しました。書物は時空を越えて色んな方々に会えるのです。

日本語は達人の手にかかると実に心地よくイメージを膨らませてくれるものとなります。その反面、文章を書いて楽しむにはとても足元に及ばないことを達人らの謦咳に接すると心底感じてしまいます。そのような世界にもかかわらず短文で間違いなく意志を伝えられるのであろうかと今流行の「さえずり」にはどうしても尻込みしてしまいます。 四六時中フォローできない私としては無責任な「つぶやき」であれば可としていますけどね。(苦笑)

ところで、百閒翁は鐵道好きの文士として名声高く、これを継承するのが阿川弘之氏。阿川氏の「食味風々録」にも驚かされましたが、「御馳走帖」が元祖でありましょう。各氏の本を読んでいると日本語の良さを何となく感じられて脳内リゾートに遊ぶ気分になります。真似ることは出来ませんが読むことは出来る。ということで300円が10倍100倍に増えたような気分です。

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老父の通院手伝いから自分の歯医者通いと忙しい日でありましたが、このような本があったのであっという間に今の時間です。それにご近所のいつもの方と遭遇したこともあり、からくり生活がゼロでも充実の一日でした。

(深夜の初会を夜会と勘違いしていたので修正しました。(ペコリ))