からくり出張所

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ドイツ玩具で思うこと(2)

2012年05月13日 17時55分46秒 | からくり情報

 一昨日から鼻と喉の調子がおかしく、昨日からは寒気というか体が冷えてなりません。早く就寝し本日も静かにしていたら何とか復調気味です。気温の上下に体が付いていかないなと思ったらこれは不調になる前兆のようです。今日も一風呂浴びて早めの就寝だ。(^0^;)

ところで昨日のドイツ玩具の話はいかがでしたか?こんなものがあるという紹介になりましたが、今回は、なるほどと思っている点を考えてみました。精密でメカニカルなのは当たり前なのですが、玩具であるためのコスト管理が徹底していることです。模型であれば手抜きが許されないことでも玩具ではこんな具合に簡略化しています。

Dc081003 この写真で分かるのは前輪の上カバーは鳩目で止めてあります。模型ならば飾りネジやダミーの潤滑油カップなどで本物らしくしたいのですが、打ち抜いて塗装した金属板をカシメただけです。後部動輪の装着も実に簡単です。 前輪の操縦はハンドル経由でらせん棒を回転しチェーンで行う本物に似せた方式です。

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ボイラー部品、エンジンなどの主要なものは簡略せずに機能と強度を考えたものになっています。 ところが摂氏120度程度の飽和蒸気を扱う管路は銀ロウでは無く半田付けのようです。この措置が問題を起こしたことはこの数十年でありませんでした。

消防自動車のエンジンには小さな潤滑油タンクが付き、ピストンはダブルアクションで弁は洩れますが加工が簡単な金属棒に溝を入れたピストン弁です。 この写真で見る限りエンジン部は模型と云っていい作り込みです。

しかしながらこれが大量?生産品で数十年にわたって作り続けられているのです。

Dc013117消防自動車をひっくり返すとご覧の簡単な構造です。前輪はギア経由で操作できます。後輪片側だけを駆動して動かす仕掛けですけど平坦な場所ではスムーズに動いていきます。ボイラーを載せているのでフラットな場所で遊ぶことが大前提です。

書き忘れましたが、室内遊具として排気や廃蒸気を中央部のタンクに溜めて床を汚さないようになっています。これら蒸気模型では常識になっているようです。前出の蒸気ロードローラーは煙突直下の煙室が廃油と凝結水溜でピストン下の踏み台も凹みを設けて油受けになっています。こんなところに玩具としての伝統を感じます。

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さて、一方の定置型エンジンには産業革命へのノスタルジックな思いが込められているのか、あたかも工場で使われていた雰囲気を出しています。 本格的模型になると発電プラントや加工機械が並び、蒸気エンジンも本格的なコンパウンド(複式)エンジンのものがあります。 更にはガスエンジン等々の実際に使われたものがスケールダウンされています。

 日本人には奇異に感じるこれらの模型ですが、旧式機械の多くを産業記念物として保存している国では当たり前の機械のようです。我が國にもあったはずですが、とっくの昔に捨て去っており、水車小屋の木製歯車のメカニズムを懐かしく思うのが精一杯のようです。 この辺りにもこのクラスの蒸気模型が受け入れられない理由がありそうです。おそらく血のにじむ思いをしてオリジナルを開発してこなかったことに起因しているのかも知れないと思っております。

富岡の製糸工場を世界遺産にという話がありましたけど、あの立派な製糸機械群が全く動いていないのを見てこれは駄目だと思ったのは記憶に新しいことでした。 蒸気機関車の展示も同じで動かさなければ産業記念物としての価値が無いと思っています。さてどうなりますやら。

蒸気で動くドイツの玩具から考えさせられることを書いてみました。ドイツというより欧羅巴の玩具といった方が正しいかも知れません。